競争激化の中国配車アプリ、滴滴を追い上げる美団とアリババ

  • Forbes JAPAN
  • 更新日:2018/04/18
No image

中国の配車サービス最大手「滴滴出行(Didi Chuxing)、以下『滴滴』」は2016年にウーバーを中国市場から追い出し、国内の巨大な配車サービス市場で独占的な地位を築くことに成功した。しかし、ここにきて大手企業の新規参入が相次ぎ、その地位が揺らぎ始めている。

この数週間でアリババ傘下の地図情報会社「AutoNavi」をはじめ、インターネットサービス大手「Meituan Dianping(美団-大衆点評)、以下『美団』」などが独自の配車プラットフォームを立ち上げた。これらの企業が今後、滴滴の牙城を崩す可能性は大いにあるとアナリストらは分析している。

AutoNaviの提供するデジタル地図サービス「Gaode」のアクティブユーザー数は4千万人に上り、同社はこれらのユーザーの中からドライバーをリクルートしている。AutoNaviの特徴は、ドライバーから手数料を徴収しないことだ。また、美団は評価額が300億ドル(3.2兆円)に達し、豊富な資金力が強みだ。同社はホテル予約やフードデリバリーなど幅広いサービスを展開しており、新たに立ち上げた配車サービス事業には少なくとも10億ドルを投資すると宣言している。

さらに、旅行サイト「Ctrip」も中国で配車サービスを展開するのに必要な免許を最近取得した。他にも自動車大手の「吉利汽車」が支援する「Caocao Zhuanche」や、政府と関係の深いリムジン予約サービス「Shouqi Limousine & Chauffeur」が合計1億ドル以上の資金調達を行い、事業拡大を図っている。

競合の参入が相次ぐ中、滴滴のユーザーの多くが他社サービスに切り替える可能性が指摘されている。北京に本拠を置く滴滴は、2017年の資金調達時に評価額が560億ドル(約6兆円)に達した。同社は中国市場で80%以上のシェアを握っており、コンサルタント会社ローランド・ベルガーは年内に評価額が600億ドルを超えると予測している。

ウーバーの撤退後、滴滴は値引きを止めるなど利益改善に努めてきた。しかし、アナリストによるとユーザーの多くは引き続き低価格を求めており、値引きやプロモーションを大々的に行っている新興サービスにスイッチするユーザーが増えると見られている。

ドライバーも滴滴から離脱

「中国の配車サービス市場は巨大で成長ポテンシャルも大きいが、価格競争が熾烈だ。消費者は価格志向性が強く、滴滴へのロイヤリティは決して高くない」と市場調査会社Canalysのアナリスト、Jia Moは指摘する。

北京在住でヘルスケアスタートアップを起業したEdward Zhang(36)はこれまで滴滴を使っていたが、最近になって「Dida Chuxing」という小規模な配車プラットフォームに切り替えたという。その理由は、Dida Chuxingでは利用の都度キャッシュバックを受け取ることができるからだ。

ドライバーの滴滴離れも進んでいる。北京で滴滴のドライバーをしていたある男性は、美団への移籍を検討している。滴滴はドライバーに対し、ラッシュアワー時などにインセンティブを付与していたが、最近になって一部を廃止した。この男性は、「運転時間が増えたのに収入は減少した」と嘆く。

「競合サービスの方が高い収入が見込める。滴滴がインセンティブを付与しないのであれば多くのドライバーが美団に移るだろう」と彼は話す。

上海に本拠を置く投資会社「Gobi Partners」のパートナー、Ken Xuは、滴滴にとって最大の競合は美団だと指摘する。美団が運営するのは、グルーポンとYelpを組み合わせたようなサービスだ。近隣のレストランを探したり、映画鑑賞チケットを購入することができ、アクティブユーザー数は3億2000万人に達する。

39歳が率いる美団の勢い

美団を率いるのは、39歳のビリオネア、Wang Xingだ。レストランから映画館までの配車予約もMeituan上でできればユーザーの利便性が大幅に向上するため、同社が配車サービスに進出するのは理に適っている。同社は今月初めに自転車シェアサービスの「Mobike」を34億ドルで買収しているが、滴滴も最近自転車シェア市場に参入しており、両社はこの分野でもしのぎを削っている。

「ウーバーとの競争は配車サービスに限定されていたが、美団はより幅広いサービスと組み合わせて既存ユーザーに訴求することが可能なため、さらに手強いライバルになるだろう」とXuは分析する。

しかし、滴滴の広報担当者は、事業規模や規制への対処、安全面への取組み、配車テクノロジーなどの面で同社は競合を上回っており、乗車料金やドライバーの到着時間などをより正確に見積もることができるとしている。

滴滴のもう一つの強みは資本力だ。同社は2017年に120億ドルを調達し、今年3月には資産担保証券を発行して15億ドルを新たに調達した。資金は車両の増強に使われれるという。

「我々はトップドライバーを確保するため、マイクロファイナンスの提供や最低賃金の保障など、様々なインセンティブを用意している」と滴滴の広報担当者は声明で述べている。

政府の規制にも直面

しかし、Xuによると、競争の長期化は滴滴の利益に大きなダメージを与えるだけでなく、規制当局の怒りも買いかねないという。新華社通信によると、滴滴と美団らは上海で資格を持たないドライバーを採用したとして、それぞれに1万6000ドルの罰金が科されたという。上海では、配車サービスを提供できるのは市内で登録された車両に限定されるが、滴滴と美団は市外で登録された車両を使用していたという。

中国での競争激化は、滴滴のグローバル戦略にも影を落としている。同社はブラジル、東南アジア、メキシコの同業を買収しているが、国内事情によって海外展開が停滞するかもしれないと「Canalys」のJiaは指摘する。

「滴滴にとって中国市場はドル箱であり、グローバル化を推進するための資金源となっている。同社は美団のアグレッシブなプロモーションに対抗する手段を早急に見つける必要がある。今後、より強大なライバルが参入してくるため、滴滴の経営陣にとって美団への対策は試金石となるだろう」とJiaは話した。

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

経済カテゴリの人気記事

グノシーで話題の記事を読もう!
アマゾンの従業員、年収の中央値は300万円
爆死案件が続々「クールジャパン」はこんなにひどいことになっていた
日本初上陸!ブルガリホテル東京が2022年東京駅前に開業
毎月かならず「nanacoポイント」がたまる 資産運用アプリ「トラノコ」と提携
125ccエンジンを搭載し大人の装いになったホンダ『モンキー』
  • このエントリーをはてなブックマークに追加