フェンシング松山恭助は五輪出場へ自信。男子フルーレは今が黄金世代

フェンシング松山恭助は五輪出場へ自信。男子フルーレは今が黄金世代

  • Sportiva
  • 更新日:2019/05/26

今年の4月3日から来年の4月4日までの1年間の戦いで、東京五輪出場枠の獲得が決まるフェンシング。その戦いに臨む男子フルーレの主要メンバーは、20~22歳の若手たちだ。

東京五輪の団体出場枠は、ワールドチャンピオンシップなどの五輪レースを経て、終わった時点で世界ランキング4位以内ならば、自動的に出場枠を獲得できる。5位以下ならば、上位4カ国を除いた大陸1位にならなければ獲得できない。現時点で韓国が4位にいるため、6位の日本はアジア枠での出場権を獲得できる状況だが、もし韓国が5位以下に落ちた場合、日本が4位以内に入るか、韓国を上回ってアジア1位になっていなければいけない。

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22歳ながらキャプテンとしてチームを牽引する松山恭助

団体メンバーの登録は4人までで、試合には3人が出場できる。

その中で最年長としてチームを引っ張るキャプテンの松山恭助(早稲田大)は、現状をこう見ている。

「現時点では、韓国とのポイント差を埋められると思っています。韓国に主導権を握られると、こっち(日本)の戦い方も難しくなるので、韓国に4位をキープして欲しいというよりは、自分たちが上にいきたいという気持ちのほうが大きい。ただ、アジア大会で敗れてしまった香港も、力をつけてきて8位になっているので、上も下も油断できない状況です」

そういう状況ではあるものの、日本チームの主力選手の実績には、目を見張るものがある。13~17歳未満までのカテゴリーの世界カデ選手権で、2012年に松山が優勝、13年は西藤俊哉(法政大)が3位になっている。

世界ジュニア(17歳~20歳)の団体では16年に初優勝を果たし、17年には2位。個人でも14年に西藤が3位、17年には2位となり、16年は敷根崇裕(法政大)が優勝し、松山は3位に入った。いわゆる黄金世代である。

シニアで初挑戦となった17年8月の世界選手権は、西藤が2位、敷根が3位で、団体は7位という結果になった。

このときの結果について、松山はこう話す。

「団体の場合は、上位の国でもコロッと負けることがありますが、自分たちの場合は、ほとんどの大会でベスト8に進んで、5位、6位、3位を2回と安定しています。団体で出場できなかったリオデジャネイロ五輪の2シーズン前に比べれば、いい位置につけていると思う」

若い時から一緒にやってきた選手たちがそのまま上のカテゴリーに上がり、うまく世代交代を果たした。

「太田雄貴さんが引退した16-17年シーズンは、無我夢中で戦っていたのが(世代交代が)うまくいった要因。16年の全日本選手権も太田さんが引退した後の大切な大会で、僕と敷根が1位と2位になって西藤と鈴村健太(法政大)が3位と、今の団体のメンバーになっている若い選手が結果を出したのも大きかったと思います」

団体ではいい流れをキープしている一方、個人に関しては、17年世界選手権に好成績を残したことで、研究されるようになり、世界ランキングを下げているのが現状だ。17-18年シーズンは、西藤の28位が最高で、敷根が32位、松山は34位となっている。

「研究されたというのもあったけど、(自分たちの)動揺もあって自滅する試合になったのかなと感じます。

僕もそうでしたが、がむしゃらにやっていたからよかったのに、結果を優先してしまってうまくいかなくなり、自信をなくしてしまったところがある。フェンシングは自信がないと決まらないし、紙一重の勝負でも一瞬の隙で相手にやられるのが、多かったかなと思います」

その反省を踏まえ、松山は自らの弱点を見直した。

「何かを変えなくては勝てないと思って、最近の自分の負け方をコーチと振り返り、見るのが苦手だった自分の悪い時の映像を見たりして、少しは変わってきたなと思います。それで分かったのはメンタルの弱さでした。

いい時は対戦に入る時、自分のリズムでマスクを脱いだりして審判に注意されるギリギリまで間を取ってから構えていました。でも最近は、焦る気持ちから、どんどん先に構えてしまって自分の間が取れていなかった。元々僕は守備を固めて自陣の後ろで安定性が出せるし、試合の中でも柔軟に対応していくタイプですが、攻めたら攻めっぱなしで単調になっていたんです」

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同世代で切磋琢磨する男子フルーレ。(左から)鈴村健太、敷根崇裕、西藤俊哉、松山恭助 photo by YUTAKA/AFLO SPORT

団体に対しては、かつての太田あってのチームだった頃と違い、それぞれの選手が同等に力を出せるメンバー構成になっているのが強みだという。

「今はどの選手でも点を取れるチームになっているのが大きいかなと思います。みんなが全然違う性格をしているけど、各自が勝つということを目標にして、それぞれの役割を果たせるようになればいいというのが僕の考えです。その舵をうまく取るというか、まとめていくのが僕の役割だと思っています」

以前のチームは、崩れた時には確実にストップをかける役割をエースの太田が果たしていたが、今その役割を果たすのは自分だと松山は言う。

「正直言って、自分の性格的にはそういうところはなく、淡々とやるタイプだった。今まで年代別でもキャプテンをやってきたけど、(団体で)負けても、個人スコアがよければ『悔しいけど、しょうがない』というくらいでした。誰かが崩れても励ますくらいで終わっていた。

でも、今は崩れそうな予兆が見えたら、『どうした?』とコミュニケーションを取るようになって。年齢が近い分、一人ひとりの性格も理解しているので、『今はこういうアドバイスをした方がいいかな』とか、考えるようになりました」

そんな日本チームが参考にするのは、現在世界ランキング1位になっているアメリカだ。メンバーは現在25~29歳で、ジュニアの頃からワールドカップなどを一緒に転戦してきた選手たちだ。シニアに出始めた頃は下位だったが、それぞれが力をつけて現在では世界ランキング2位のレース・インボーデンを筆頭に10位以内に3人が入り、4人目の選手も21位につけている。

「コーチのオレグ・マチェイチュクもよく『彼らも昔は結果が出ていなかったんだよ』と言ってくれるけど、彼らも僕たちと同じようにポテンシャルの塊だったと思うんです。だから、僕らもそのポテンシャルをいかに発揮するかだけだと感じています。

僕らが目指すべきは、アメリカのようなチームだし、全員が個人のランキングを上げていかなければいけない。そのためにも今は、過去の栄光にとらわれないことが大事ですね。自信をなくしてはダメだけど、それにしがみつくのではなく、ダメなところは捨てていいところは残すというのが一番大事だと思います」

18年ユニバーシアードで銀メダルを獲得している松山は、「世代別のメダルは全部獲ってきているから、あとはシニアだけです」と笑顔を見せる。そんな彼がチームのみんなをどのように鼓舞していくか。それが東京五輪出場枠獲得レースや、本番での戦いに重要になってくるだろう。

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