ビデオ判定試験導入の場となった「日本対ブラジル」の親善試合。ワールドカップ本大会に向けて判定傾向は学んでおいたほうがいい。

  • J SPORTS
  • 更新日:2017/11/13

リールで行われた日本対ブラジルの親善試合では、ビデオ判定が導入された。同日にパリでフランス対ウェールズの親善試合があったため、本来ならば同じ日に同じ国で、Aマッチを開催することはできない。しかし、フランス協会側から日本対ブラジルをビデオ判定の試験導入の場とすることが提案され、特別な了解があったそうだ。日本にとっても、ブラジルにとっても、願ったり叶ったりの良い経験になった。

はっきり言えば、ビデオ判定は嫌いだ。フットボールから感情が減る。このスポーツのいちばんの魅力は、一流のプレーでも、技術でも戦術でもなく、がむしゃらに高ぶる感情の渦。そう考える人間にとって、ビデオ判定に水を差されたときの違和感は拭い去れるものではない。最大の魅力を減らしてしまったスポーツが、果たして10年後、20年後も人気スポーツであり続けるだろうか。

あるいはオン・フィールド・レビューを廃止し、試合の中断を数秒で済ませることができれば、我慢できるレベルになるかもしれない。しかし、主審が直接モニターを確認することで、判定の精度を上げ、選手や監督にピッチ上で判定理由を説明できるのは、大きなメリットでもある。

仮にオン・フィールド・レビューを廃止するとしよう。その場合、主審はVAR(ビデオ副審)のインカムを通したアドバイスのみで決断に至るため、判定の精度は下がる。スピードを重視するなら、ビデオ判定であっても時には細かいところで間違う可能性があることを受け入れなければならない。

さらにVARから指摘を受けたとき、主審が「何のことだ?」とわざわざモニターの確認に走るようなシーンは、対象外にせざるを得ない。もともとビデオ判定の要件は、『明らかな誤審』に絞られている。日本対ブラジルでは、前半7分にPK、後半11分にネイマールにイエローカードを提示した場面でオン・フィールド・レビューが行われたが、個人的にはどちらも対象外でいいと思う。VARのアドバイスのみで解決できない場面は、『明らかな誤審』とは言えない。対象外でいい。

特に後者のネイマールの場面。現行のビデオ判定では、レッドカードの可能性が疑われるシーンも対象に一つになるが、「もしかしたら」と疑い始めたら、きりがない。試合後の追加懲罰という方法もあるので、どこかで割り切ったほうがいい。

ただ、そうやって割り切るためには、そもそもルールや審判の運営について、選手や監督、ファンやメディアが理解と協力をしなければならないし、自分にとって都合の良い判定を執拗に求められると、結局うまくいかない。それは依然として高いハードルだ。

また、ビデオ判定を導入すれば不正や八百長のリスクがなくなると考える人もいるが、ブンデスリーガでは、まさにビデオ判定の責任者が試合に対する不正操作を疑われ、辞任に追い込まれた。オープンにやっているドイツでは、こうした指摘がすぐに入ったが、情報をクローズにしていたら、どうなったか。むしろ、ビデオ判定のほうが試合を裏から操作しやすいかもしれない。そう簡単な話ではない。

ただし、もう賛否を言っても仕方がない。すでにそういう状況ではなくなってきた。FIFAのインファンティノ会長が強引に推し進めたビデオ判定は、巨額の予算が組まれ、間違いなくロシアワールドカップでも導入されるだろう。

ここからが大事なところ。考えるべきは、この制度にフィットすること。それは本大会の勝敗を分けるポイントになる。

まず、吉田麻也がやったようなペナルティーエリア内で手を使って抑えるホールディングは、徹底して避けなければならない。トリッピング(つまずかせること)も危険。なぜなら、これらのファウルは見返したときに“わかりやすい”からだ。

接触そのものを、すべて避ける必要はない。たとえば、ブラジル戦の後半にはペナルティーエリア内でクロスに合わせようと侵入した浅野拓磨が、相手選手にドンッと強く押されてバランスを崩すシーンがあった。しかし、これはPKになっていない。チャージしたり、押したりといったボディーコンタクトは、基本的にサッカーには付き物。よほどの力で後ろから押し倒せば、ファウルにはなるだろうが、ホールディングやトリッピングに比べると、現象として明らかに不正な妨害とは“わかりにくい”。このような違いは頭に入れたほうがいい。

もうひとつは、ハンド。ビデオ判定をすれば、手に当たったか否かは確実にわかる。さらに、その手が自然な位置にあったかどうか。シュートブロック時に手を横に広げたり、上げたりすれば、ほぼ間違いなくハンドを取られる。これも徹底して避けたほうがいい。

逆のことも言える。長友佑都や槙野智章は、クロスに対応するとき、手を後ろで組み、ハンドを疑われないようにブロックに行くことが多いが、もしも、その体勢に動きづらさがあるなら、手をそのまま自然な位置に下ろしてもいい。多彩な角度から見るビデオ判定なら、その状態で近距離のシュートが手に当たっても、PKは取られないはず。とはいえ、条件反射的に手がボールに向かって動く可能性もあるので、難しいところだが。

ビデオ判定は、試合結果を左右する場面にのみ使用される。それだけに、判定傾向は学んでおいたほうがいい。勝つために。

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