前代未聞!あの1部上場企業で前・現社長が「排除し合い」の激烈バトル!

前代未聞!あの1部上場企業で前・現社長が「排除し合い」の激烈バトル!

  • Business Journal
  • 更新日:2017/11/21
No image

保育園最大手、JPホールホールディングス(HD)の創業者と経営陣の対立は第2ラウンドを迎えた。

10月17日、同社は11月22日に臨時株主総会を開くと発表した。これは、大株主で前社長の山口洋氏から臨時株主総会の招集請求を受けていたためだ。同時に、山口氏が求めた社内取締役1人の解任と、社外取締役1人の選任など、3つの株主提案にすべて反対すると表明した。

その後、山口氏は株主提案のうち、取締役の任期を「2年以内」から「1年以内」にする項目の撤回を求めたが日、会社側は取り下げを受け入れないと10月24日に発表した。11月22日の臨時株主総会まで期間が短いことなどが理由だ。

6月29日に開かれたJPHDの定時株主総会でも、山口氏は取締役の任期を2年以内から1年以内に短縮する株主提案を行った。総会後に提出された臨時報告書によると、任期を短縮する議案は否決されたが、それでも39%の賛成があった。

今回、山口氏は「コーポレートガバナンス(企業統治)が機能していない」と主張。社外取締役を増員する必要があるが、取締役の員数は定款上の上限に達しているため、社内取締役1人を解任し、社外取締役1人を選任することを求めた。

山口氏はJPHDの発行済み株式の23.83%を保有する筆頭株主。3位株主の医薬情報研究所(持ち株比率3.66%)や親族などの共同保有分も含めると35.16%で、持ち株は3分1を超えている。定款変更や会社の解散・合併など経営にかかわる重要なことを決める特別決議には3分の2以上の賛成が必要になるため、山口氏は重要事項に拒否権を持っていることになる。会社側は山口氏について「当社の経営に関与する人物として不適格だ」と反論している。

●認可保育所の規制緩和が転機

山口氏は1961年、京都府生まれ。明治学院大学法学部を卒業後、大和証券に入社。法人営業や企業の上場、M&A(合併・買収)などを担当し、8年間勤務。92年に退社。翌93年、有限会社ジェイ・プランニング(のちに株式会社化)を名古屋市に設立。パチンコ店などの客にコーヒーをワンコインで提供するサービスが受けて急成長を遂げた。

コーヒーをサービスする女性社員のために託児所が必要になったことに加え、パチンコに興じる母親が子どもを車に置き去りにする事件が相次いだことから、社員とパチンコ店に来店する客のために保育所をつくった。99年から保育所などを運営する子育て支援事業をスタートした。

転機は2000年の規制緩和だ。それまで、認可保育所の設置は市町村や社会福祉法人に限定されていた。しかし、待機児童問題を背景に、認可保育所の設置主体の制限が撤廃され、株式会社も認可保育所を設置できるようになった。

02年、東京都の認証保育所第1号を開設。同年、ジャスダック市場に株式上場。04年、現社名に商号変更。11年に東証2部、12年に東証1部に昇格した。

この間、山口氏は聖徳大学大学院児童研究科児童学修士を取得。内閣府の「ゼロからの少子化対策プロジェクトチーム」のテーマ「保育・幼児教育」に参画することになった。

株式市場から直接、資金調達し、認可保育園を全国規模で拡大。今では、全国で180以上の保育園、80以上の学童クラブ・児童館を展開する最大手に成長した。

15年2月、創業者の山口氏が社長を退任。プレス発表によると「体調不良による入院」が辞任の理由となっている。管理部長の荻田和宏氏が後任の社長に昇格した。

荻田氏は1965年生まれ。関西学院大学社会学部を卒業し、大和証券に入社。99年に大和証券で先輩だった山口氏が創立したジェイ・プランニング(現JPHD)に入社。山口氏の側近として昇進を重ね、15年に社長に就いた。

なぜ、二人三脚だったふたりの間に亀裂が生じたのか。

17年3月期の連結決算が大幅な減益となったことが原因のひとつといわれている。同期の売上高は前期比11%増の228億円だったが、営業利益は31%減の12億円、純利益は43%減の6億円と大幅な減益決算となった。保育士の給与引き上げによる人件費増、保育士不足により稼働率が下がった保育園の減損処理を行ったことが原因だ。不振を受けて、1株当たりの配当を5円から2.5円に減らした。

荻田氏は業績回復を狙って、民間学童クラブなど周辺事業の多角化と海外進出に経営の舵を切った。海外進出の第1歩として、9月にベトナムのダナン市とホーチミン市に幼稚園を開設した。

山口氏は「本業である国内の保育園事業を強化すべき」との立場だ。これで路線の対立が生じたとされる。「株式会社形式の保育園のM&A、家族経営の社会福祉法人の事業継承など、やるべきことはいくらでもある。ベトナムに幼稚園をつくるのではなく、国内の保育園を買収せよ」と述べている。

臨時株主総会の勝者はどっちになるのか。

●会社側が創業者のネガティブキャンペーン

JPホールディングスのお家騒動が話題となっているのは、会社側の対応のまずさにあるとの見方が出ている。10月17日、JPは第三者委員会を設置し、創業者の山口洋氏の「重大なセクシャル・ハラスメント」に関する調査を行うと公表した。上場企業のニュースリリースに「セクハラ」とはっきり明記された例は希有である。

11月9日には、「創業者の経営関与、復帰を断固拒否するという従業員の嘆願書を受け取った」と発表した。嘆願書には、グループ従業員3029人の署名がなされた。この中には、子会社である日本保育サービスが運営する保育園179園中173人の園長、学童クラブ・児童館69施設の69人の施設長も含まれているとしている。

11月13日発売の「週刊ポスト」(小学館)に、山口氏が両脇に若い女性2人を抱きかかえ満面の笑みで露天風呂に入浴している写真が掲載された。掲載された写真は、女性の顔が隠され浴衣を着て入浴しているものだった。

11月17日、経営側は第三者委員会から調査報告書(要点版)を受領したと発表した。第三委は、セクハラを調査するのではなく、「経営に重大な影響を及ぼすようなハラスメント事案が存在したか否か」について調査した。

会社側のリリースでは「山口洋氏のパワーハラスメント的行為は会社経営上、重大な影響を与える可能性のあるハラスメントと認められる旨の認定がされた」としている。

セクハラ、パワハラ、ハラスメントへと微妙に言い回しが変化している。セクハラに直接、触れないのには理由がある。

報告書は、経営陣の主張通り、社員旅行で飲食した時などに山口氏による女性社員への性的言動をセクハラと認定した。物を投げつけて部下を叱るパワハラ行為もあったとした。一方で、荻田和宏社長や他の男性取締役も、女性社員の体を過度に触る行為が目撃されているとして、「セクハラに該当し得る行為が認められる」と指摘した。

経営側は、第三者委員会に創業者のセクハラを認定してもらい、山口氏の株主提案を否決することを狙ったのだろう。しかし、現社長もセクハラを指摘された。これではセクハラを前面に出すわけにはいかない。とんだ藪蛇となった。

創業者サイドは35.61%の株式保有している。拒否権を持たれ、すでに会社側は負けているに等しい。巻き返しをはかった創業者へのネガティブキャンペーンだが、果たして、株主たちへの効果のほどはどうだったのだろうか。

11月22日の臨時株主総会当日まで、泥試合は続く。安倍政権は待機児童ゼロを目指している。JPホールディングスに強い追い風が吹いている。お家騒動をやっている時間など、双方にはないはずだ。
(文=編集部)

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

経済カテゴリの人気記事

グノシーで話題の記事を読もう!
「獺祭」蔵元が「高く買わないで」 異例の広告に込めた思いとは?
個人営業部隊を700人増 SMBC日興証券・清水社長インタビュー
オランダの”押す”スーツケース、伊勢丹新宿店にポップアップストア あすまで
「高く買わないでください」 人気酒「獺祭」の広告に驚きと称賛の声 社長「本当は広告出したくない」
年末年始の国内旅行「人気上昇都道府県ランキング」
  • このエントリーをはてなブックマークに追加