くら寿司、客離れが深刻な事態に...サイドメニューの魅力低下、騒動連発でイメージ悪化

くら寿司、客離れが深刻な事態に...サイドメニューの魅力低下、騒動連発でイメージ悪化

  • Business Journal
  • 更新日:2018/08/22
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無添くら寿司の客離れが止まらない。6月の既存店客数は、前年同月比1.2%減だった。前年割れは12カ月連続だ。2016年10月期までは3年連続で前年を上回っていたが、17年10月期から変調をきたし、前年同月を下回る月が目立つようになった。

さらに悪いことに、その下落幅は決して小さくない。17年10月期が1.6%減、17年11月〜18年4月期が2.3%減だった。5月は5.7%減と激減し、6月は1.2%減った。なお、本稿執筆時点では7月の客数は発表されていない。

他の大手回転ずしチェーンの状況はどうだろうか。

業界最大手のスシローは絶好調だ。客数は7月まで5カ月連続で前年同月を上回った。上げ幅は大きく、たとえば7月は7.8%増、6月は8.6%増、5月が3.5%増となっている。さらに、客単価も上昇が続いている。客数と客単価が好調のため売上高もうなぎ上りで、7月まで9カ月連続で増収を達成している。

客離れに苦しんでいたかっぱ寿司も、近ごろは光明が見えている。客数は今年5月まで31カ月連続で前年同月を下回るなど惨状を極めていたが、6月にようやく前年を上回った。6月の客数は1.1%増で客単価も大きく伸びたため、売上高は7.0%増と大幅な増収を達成している。なお、7月は苦戦し、客数が6.6%減、売上高が1.8%減だった。

客離れに終止符を打つことができた6月は、サイドメニューが充実していた印象がある。

かっぱ寿司は5月上旬から「白いスープカレーラーメン」を販売した。それに続く格好で6月下旬には「えびそば一幻監修 海老ラーメン」を発売している。白いスープカレーラーメンは発売3週間で10万食、海老ラーメンは発売10日間で10万食を売り上げるほど好評だったという。

かっぱ寿司では、すしの売り上げが約70%を占める。そうしたなか、ラーメンの売り上げ構成比は約7%にもなり、非すしメニューのなかでは群を抜く人気を誇っている。

6月はラーメン以外のサイドメニューや魚介以外のすしが充実していたのも特徴的だった。5月下旬から夏季限定で「ラムネ氷パフェ」と「いちごみるく氷パフェ」を販売した。6月下旬からはフェアを開催し、「極上生うに」や「鹿児島県産 活〆かんぱち」といった魚介ずしのほか、「牛Kingのサーロイン直火炙り」や「トンポーロー(豚角煮)」といった肉ずしを売り出している。

こういったサイドメニューや非魚介ずしを充実させたため、6月は前年同月を上回ることに成功した。

このように客数でみると、スシローが絶好調で、かっぱ寿司も復調の兆しを見せている一方、くら寿司は厳しい状況が続いている。なお、回転ずし大手4社(スシロー、はま寿司、くら寿司、かっぱ寿司)のひとつであるはま寿司は、情報を開示していないので詳細は不明だ。

●優位性が低下したくら寿司

それにしても、なぜくら寿司は客離れで苦しんでいるのか。

まず、「サイドメニューの優位性の低下」が挙げられるだろう。くら寿司はかつて、サイドメニューの充実度において他店を圧倒していた。12年からサイドメニューの強化を図り、同年にラーメンを販売したほか、13年には天丼とうな丼、14年には豚丼、15年にはカレーライス、16年にはカレーうどんや牛丼を売り出している。

くら寿司はサイドメニューを強化することで、新たな客層を開拓したほか、来店頻度を向上させ、集客を実現してきた。しかし、当初はくら寿司の独壇場だったが、次第に競合もサイドメニューを充実させるようになり、くら寿司の優位性は低下し、客離れが起きるようになった。

スシローは14年に「出汁入り鶏がら醤油ラーメン」を販売した。発売1カ月で100万食を売る金字塔を打ち立てることに成功している。それ以降、サイドメニューを積極的に投入している。最近ではスイーツを強化しており、昨年11月に「スシローカフェ部」を発足してスイーツのPRを積極的に行い、若い女性らを取り込むことに成功している。

はま寿司はラーメンが充実している。13年から売り出しを始め、多くのヒットラーメンを生み出してきた。たとえば、「旨だし鶏塩ラーメン」は15年に100万食以上、16年には160万食以上を約2カ月間で売り上げるほどの大ヒットラーメンとなっている。

かっぱ寿司は先述したとおり、最近はラーメンが好調で、さらにパフェや饅頭、ハンバーグなども販売しており、サイドメニューを強化してきている。なお、ラーメンは14年から販売を始めている。

このように、各社がサイドメニューを強化しているため、相対的にくら寿司の優位性が低下し、客が流出していったと考えられる。

●トラブル続出でイメージ悪化

「イメージの悪化」も、客離れの要因になっているだろう。16年の3月ごろに起きた、運営会社くらコーポレーションの裁判騒動がそのひとつだ。

この騒動は16年3月に無添くら寿司について、あるネットユーザーがネット掲示板上に「無添という表現はイカサマくさい」などと書き込んだことが始まりだ。屋号に“無添”を冠していることや無添加を謳っているものの、ホームページなどで4大添加物以外の添加物の使用の有無を表示していないことから、「何が無添なのかがわからない」と疑問を呈したのだ。

これに対し、くら社は「社会的評価が低下する」としてプロバイダー業者に、書き込みをした人物の個人情報の開示を要求した。しかし、プロバイダー業者は「書き込みは意見・論評にすぎない上に真実だ」として開示を拒否した。

騒動の発端から約1年経過した17年4月、東京地裁はくら社の請求を棄却した。「書き込みはくら社の社会的評価を低下させるものではない。仮に低下があり得るとしても、書き込みには公益性があるため、違法性はない」との判断を下している。

この騒動と、くら寿司で客離れが起きた時期は概ね一致している。つまり、騒動でくら寿司のイメージが悪化し、客離れが起きたと考えられる。

くら社は10年にもイメージ悪化につながる騒動を引き起こしている。「内定取り消し騒動」だ。同社が研修で社訓を35秒ほどで言えない内定者に対し、入社辞退を求めたと毎日放送が報じ、のちにTBSもこれを番組で紹介し、くら社がそれに反論する騒動となった。この騒動でくら寿司のイメージは悪化した。

こうした経緯があり、「くら寿司は騒動を引き起こすすしチェーン」というイメージが少なからず消費者に根づいてしまったと考えられる。真摯に対応すれば済む問題を、下手に反論してしまい、自ら悪いイメージを広めてきた感が否めない。このような騒動を引き起こす店を好んで利用する人は多くないだろう。

最近でいえば、親子喧嘩で業績を悪化させた大塚家具が似たような例だ。親子喧嘩をしている店の家具を好んで買いたい人はいないだろう。大塚家具もくら寿司も、騒動でイメージが悪化し、客離れを起こしたといえるのではないか。

このように、くら寿司は「サイドメニューの優位性の低下」と「イメージの悪化」で客離れが起きていると考えられる。離れた客を取り戻すには、すしとサイドメニューの強化はもちろん、イメージアップの施策が欠かせないだろう。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)

●佐藤昌司 店舗経営コンサルタント。立教大学社会学部卒。12年間大手アパレル会社に従事。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。企業研修講師。セミナー講師。店舗型ビジネスの専門家。集客・売上拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供。

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