採用プロセスのゲーミフィケーション

採用プロセスのゲーミフィケーション

  • TechCrunch
  • 更新日:2016/10/19
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【編集部注】執筆者のRyan Craigは、University Venturesのマネージング・ディレクター。

約800万人のアメリカ市民が職を求めている一方、およそ600万件の求人が未だ掲載されていることを考えると、労働市場にはまだテクノロジーの力によって良い意味でのディスラプションが起きていないと言って良いだろう。

実際のところ、多くの企業がテクノロジーのせいで採用活動が以前より難しくなっていると感じている。というのも、全求人の約85%がオンライン上で公開され、それぞれに何百人もの応募者が殺到しているが、彼らの大部分が似通った資格(=学歴)を持っており、違いを見出すのが困難なのだ。そんな状況で採用担当者は、採用管理システム(ATS)がキーワードをもとにフィルタリングした、使えなくはないが極めて不正確な候補者リストに頼らなければならない。

ATSのフィルタリングを経た候補者の数が、例えば20〜30人だとした場合、同じくらいの数のフォールスポジティブ(誤検知)やフォールスネガティブ(見逃し)が発生している可能性が高い。つまり雇用者と応募者どちらにとっても、採用ゲームは負け戦の感があるのだ。

その影響を1番受けているのが、人員不足が深刻でかつ旧来の経歴や学歴に基いたフィルタリングが機能しづらい業界だ。コーディング業界はその2つを併せ持った典型例だと言える。各企業は新たな採用チャンネルや判断要素を探し出し、候補者数を増やしたり、より効率的に候補者を選別したりしようとやっきになっている。そこでCodinGameやCodeFightsといった企業が、ゲーミフィケーションを通じて採用活動の楽しさや喜びを取り戻そうとしている。

これまでインターネット上で、Uberのエンジニアよりうまくコーディングができるか尋ねられたことはあるだろうか?これがCodeFightsの叩きつける挑戦状だ。サンフランシスコを拠点とし、設立から2年が経った同社は、候補者の経験を問わず、アルゴリズムデータベースフロントエンドなど、数十種類の分野に渡る何千件ものコーディングチャレンジを提供することで、採用プロセスにゲーム要素を取り入れようとしている。

候補者は、ボットや他の候補者を相手に時間制限ありのコーディング対決ができるほか、Code Arcadeで自分のペースに沿ってスキルを磨くこともできる。チャレンジや対決、(”チャレンジ達成によるドーパミンの連鎖”に起因した)即座に得られる満足感など、通常のビデオゲームでも重要な要素を備えたCodeFightsには、候補者を教育すると同時に、彼らを集めてフィルタリングする目的がある。

そしてゲームで好成績を残した候補者は、じょうご状の採用プロセスを回避することができる。その証拠にCodeFightsによれば、通常の採用プロセスでは30人に1人しか採用されないのに対し、CodeFightsを経由した候補者の5人に1人が採用されている。

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どうやら候補者側も他の候補者を飛び越えられる仕組みを気に入っているようで、CodeFightsの発表によれば、先月の総チャレンジ数は150万件におよび、利用者の数も前クォーター中は毎月倍々ゲームで増加していた。

採用プロセスのゲーミフィケーションによって、企業はこれまでの学歴や経歴に基いた採用をやめることができる。特にコーディングの分野では、General AssemblyGalvanizeのようなブートキャンプの急激な台頭が示す通り、旧来の学校は企業側の需要についていけていないことから、新しい採用プロセスが必要とされている。

その結果、候補者はどの学校に行ったかではなく、何ができるかを基に評価されることになる。この新鮮で公平な評価体系が採用されれば、今よりも多様な候補者が集まる可能性が高い。なお、CodeFightsを通じて採用活動に参加した候補者のうち、80%は有名大学を出ておらず、サンフランシスコやニューヨークといった主要テック都市以外の出身だ。

さらに今までのCodeFightsを経た候補者のうち30%が女性で、これはシリコンバレーの平均の3倍だ。CodeFightsのサービスによって、トランスジェンダーの人もエンジニア職に就くことができた。またUber・Asana・Dropbox・Thumbtack・Evernoteといった企業が、これまでにCodeFightsを通じて社員を獲得してきた。

そして採用プロセスのゲーミフィケーションによって影響を受けるのが、コーディング業界だけというのは考えづらい。CodeFightsのファウンダー兼CEOのTigran Sloyanは、客観的に測ることのできるスキルが必要な業界において、ゲーミフィケーションこそが未来の人材募集・選定の手段だと信じている。彼の言う業界には、会計や財務など規制下にある、もしくは免許制になっている認定試験の必要な業界全てが含まれている(医療業界も例外ではない!)。

その他にも、デザインのように即座には客観的な評価ができないものの、クラウドソーシングによってパフォーマンスについての正確な評価が比較的迅速にできるような業界もその対象だ。「30年前であれば、経歴をスキルと読み換えても問題ありませんでしたが、高等教育を終えた後の人に対してもさまざまな機関やソースから素晴らしい教材が提供されている今では、その常識は通用しません。私たちは21世紀中に経歴主義に別れを告げ、スキルベース採用の時代へ入っていくことを祈っています」とSloyanは語る。

CodeFightsのようなゲームが私たちの強みに関する情報を今後形作っていく、というのは想像に難くない。さらに、学校を卒業して仕事を探しはじめるまでには、皆そのようなゲームに取り組みはじめているだろう。大学を卒業したばかりの人が過去10年間にこなした宿題の量を考えてみてほしい。もしも全ての宿題がゲーム化されていれば、その学生は膨大な数の差別化された強みを持って、終わりのない候補者の列を飛び越えることができていたばかりか、そもそもちゃんと宿題をやっていただろう。

CodeFightsと違って、宿題からは即座に満足感を得られなければ、対決や新たな発見もない。そのため、高等教育やそれ以後の教育サービスを提供する組織は、今後コースワークや宿題をゲーム化していくことになるだろう。

採用プロセスがゲーム化するにつれて、テクノロジーが採用活動のハードルを下げていくことが予想される。そして企業と候補者は、採用ゲームがもはや負け戦(=The Crying Game)ほど悲しい(もしくは予想外な)ものではないことに安堵のため息をもらすことだろう。

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake/Twitter

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