【漢字トリビア】「史」の成り立ち物語

【漢字トリビア】「史」の成り立ち物語

  • TOKYO FM
  • 更新日:2017/08/20
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「漢字」、一文字一文字には、先人たちのどんな想いが込められているのか。時空を超えて、その成り立ちを探るTOKYO FMの「感じて、漢字の世界」。今回の漢字は「歴史」「史書」の「史」。「ふみ」とも読む漢字です。

「史」という字は「中(ナカ)」、「中心」の「チュウ」という字と、「又(また・ユウ)」という字を組み合わせた漢字です。

「中」は、神への祈りの言葉である祝詞を入れた器を木につけた形。

「又」は右手を意味しています。

その二つをあわせた「史」という漢字は、祈りの「ふみ」をつけた木を右手に持ち、高く捧げて神に祀る様子を表しています。

漢字を生み出した中国古代の殷王朝では、祖先の霊を祀るための祭祀を「史(シ)」と名づけていました。

やがて祭祀を執り行う人やその記録をする人、さらには記録そのものを「史(シ)」と呼ぶようになったのです。

そこに書かれていたのは、人々が求める理想の暮らしであり、願いどおりにはいかない苦しさや悲しみでもありました。

美しい星に彩られた夏のゆうべ。

いにしえの大人たちは若者を集め、むらの歴史を語り継ぎます。

収穫の喜びを分かち合った日、天災に見舞われ涙を流した日。

戦に出かけてむらを守った英雄たち、名もない先人たちの丁寧な仕事。

夜更けまで、未来を生きる者たちへの申し送りは続きます。

やがて、人間の知恵や勇気、おろかさやはかなさを受け止めた若者たちは、自らの人生をきりひらく手がかりを探りはじめるのです。

ではここで、もう一度「史」という字を感じてみてください。

世界の秩序を正すために、武器を掲げる。

そんな身勝手な論理が世界中でまかり通る今だからこそ、「史」という漢字のなりたちを思い出し、歴史をふりかえることが大切です。

あの終戦の日を迎えた人々が肉声で語る記憶や、守ってきた記録。

それらを通じて追体験した憤りや悲しみ、無念の想いが私たちを突き動かします。

今、掲げるべきなのは武器ではなく、誰もが自分らしく生きられる平和な世界を実現する、という信念。

それを叶えるためにすべきこと、選ぶべき答えは、過去の歴史をたどる中で、見出せるはずです。

漢字は、三千年以上前の人々からのメッセージ。

その想いを受けとって、感じてみたら……、

ほら、今日一日が違って見えるはず。

*参考文献

『常用字解 第二版』(白川静/著 平凡社)

『日本人は歴史から何を学ぶべきか』(小和田哲男/著 三笠書房)

8月19日の放送では「究」に込められた物語を紹介します。お楽しみに。

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<番組概要>
番組名:「感じて、漢字の世界」
放送エリア:TOKYO FMをはじめとする、JFN全国38局ネット
放送日時 :TOKYO FMは毎週土曜7:20~7:30(JFN各局の放送時間は番組Webサイトでご確認ください)
パーソナリティ:山根基世
番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/kanji/

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