【書評】ステイタスの代償。タワーマンション住民が難民になる日

【書評】ステイタスの代償。タワーマンション住民が難民になる日

  • まぐまぐニュース!
  • 更新日:2017/09/15
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続々と建設され続ける高層マンション。眺望の良さなどから変わらぬ人気を誇っていますが、巨大地震に襲われた際には「地獄のような生活」を強いられる可能性が高いようです。今回の無料メルマガ『クリエイターへ【日刊デジタルクリエイターズ】』で編集長の柴田忠男さんが紹介しているのは、高層マンションが被災した際の恐ろしさが綴られた一冊。「高層難民」にならないために打つ手はあるのでしょうか。

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高層難民
渡辺実・著 新潮社

渡辺実『高層難民』を読んだ。10年も前の本だが内容は古びていない。近い将来、大都市が巨大地震に襲われる可能性が高くなっている。そのとき避難所難民、帰宅難民、そして高層難民という三大難民が発生する。

「天空の極楽にいたはずの高層マンションの住民は、一瞬にして襲ってくる大地震の直後に、下界から孤立する高層難民になって、地獄を体験するでしょう」という著者の断言は理解できる。最近の高層マンションには、地震の揺れをできるだけ小さくする技術が使われているのだが、長周期地震動に対しどのような効果があるのかは不明だ。建物の破壊が免れたとしても大問題がある。

高層マンションでは、上下移動に欠かせないエレベーターがライフラインになる。大地震でエレベーターは使えなくなり、復旧まで何日もかかる可能性がある。運悪くエレベーター内に閉じ込められた場合、最悪数日間、救出が来ないことを覚悟しなければならない。そんなときの最大の問題は排泄だ。おそるべき地獄になる。

エレベーターがいつ復旧するかが、高層マンション住民の運命を決める。地震発生直後から、相当な期間、下界から孤立した高層難民になり、彼らが救援物資などを取りに行くにも、階段を使うしかない現実が待っている。わたしも防災訓練で、マンション15階まで階段で往復したことがある。エレベーターの復旧は官公庁から始まるが、マンションは恐らく最後のほうであろう。

著者はテレビ番組で高層マンション住民に協力を得て、階段での上下移動をシミュレーションしてもらった。現実に、10階以上の住民は地上との最初の1回の往復はなんとかがんばれても、水などの荷物を持っての再度チャレンジは、老若男女を問わずほとんどの人がギブアップした、という。これを毎日繰り返すとなると、せいぜい5階までが限界、それ以上の住民の上下移動は不可能である。

国も地方自治体も「災害時の非常用食料の備蓄は3日分を」と言っている。3日もすれば行政や周囲から避難所に食料が提供されるシステムができているからだ。ただし、これは地上にある避難所の、地上の人の話である。

高層難民は階段で降りて、食料をもらい、階段を上って住居に戻らなければならない。食料は衛生上の問題から、まとめて数日分といった配給はしない。3食その都度の配給になる。つまり高層難民はライフラインが復旧するまで、毎日毎食ごとの階段上り下りが必要になる。できるわけがない。

まあ、高層階の人は、ライフラインが復旧するまでマンションから脱出して、避難所で生活することがひとつの解決方法かもしれないが、避難所の収容人数はマンション住民は数に入っていないと思われるから(食料の配布もそうかも?)無理でしょう。って、救われないじゃん。だから、最低でも半月分以上の備蓄が必要なのだ。

著者による5階建て理論では、5階ごとに災害時に自立するための水、食料、災害用トイレなどの備蓄を薦めている。どの階の住民も最大で4階分の上下移動で必要な物資が得られる。わがマンションでは備蓄は公的な備蓄はしないと宣言してきたが、この理論を知って1階、6階、11階に備蓄もありかなと思うようになった。エレベーター内の災害時対応ボックスの設置も再提案しなければなるまい。

編集長 柴田忠男

image by:Shutterstock.com

出典元:まぐまぐニュース!

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