部下にやる気を起こさせる「フィードバック」のやり方とは?

部下にやる気を起こさせる「フィードバック」のやり方とは?

  • ライフハッカー[日本版]
  • 更新日:2017/11/13

『はじめてのリーダーのための 実践! フィードバック』(中原 淳著、PHP研究所)の著者は、企業・組織における人材育成・リーダーシップ開発を研究しいているという東京大学 大学総合教育研究センター准教授。これまで多くの企業のマネジャー・リーダーの育成に携わってきた結果、いまほど「部下が育たない」ことに多くのマネジャーが悩んでいる時代はないと感じるそうです。

そんななか、ここにきて注目を集めているのが「フィードバック」と呼ばれる人材育成法なのだとか。端的にいえば、「耳の痛いことであっても、部下の仕事の現状をしっかり伝え、将来の行動指針をつくること」を指すのだとか。具体的には、

1. 情報通知

たとえ耳の痛いことであっても、部下の行動やパフォーマンス等に対して情報や結果をちゃんと通知すること

2. 立て直し

部下が自己のパフォーマンス等を認識し、自らの業務や行動を振り返り、今後の行動計画を立てる支援を行うこと

(「はじめに」より)

この2つの働きかけを通じ、成果の上がらない部下や問題行動の多い部下を成長させていく方法だというのです。その基本を知るために、第2章「フィードバックの基本モデル 5ステップで実践するフィードバック」を見てみましょう。

フィードバックの基本的な進め方

フィードバックはパワフルな部下育成法ですが、そのやり方を間違えてしまうと、部下のパフォーマンスの向上は困難なものに。効果的なフィードバックをするためには、次のステップを踏むことが重要だそうです。

【事前準備】フィードバックをする前に情報収集を行う

【実践】フィードバックをする

1. 信頼感の確保 〜雑談等で、相手から信頼感を得る

2. 事実通知 〜鏡のように情報を通知する

3. 問題行動の腹落とし 〜対話を通して、現状と目標のギャップを明確にする

4. 振り返り支援 〜真の原因を突き止め、未来の行動計画をつくる

5. 期待通知 〜自己効力感を高める

【事後フォロー】事後にフォローアップする

(42ページより)

これらフィードバックのプロセスは、武道における基本的な「型」のようなもの。基本として一度身につけておけば、さまざまに応用が効くわけです。また、いったん習得してしまえば、自分なりのカスタマイズや省略も可能。(42ページより)

【事前準備編】フィードバック前の情報収集

情報収集を「観察」という概念で表すなら、「よきフィードバックは、よき観察から始まる」とまとめることが可能。そして「よきリーダーシップもまた、よき観察から始まる」のだといいます。

部下に刺さるフィードバックをするために大切なのは、「できるだけ具体的に、部下の問題行動を指摘すること」。思いつきに頼るのではなく、事前にしっかりとした「観察」や「情報収集」を行うことが必須だという考え方です。

部下に納得してもらうためには、問題のある行動を「具体的な行動」にかみ砕いて伝えることが大切。その際に参考になるのが、「SBI」という考え方だそうです。SBI情報とは、「Situation=シチュエーション(どのような状況で、どんな時に問題であったか)」「Behavior=ビヘイビア(どんな行動が問題であったか)」「Impact=インパクト(問題行動がどんな影響をもたらしたのか)」に関する、部下についてのひとそろいの情報のこと。

これらの情報を集め、具体的に伝えることで初めて、相手はこちらのいいたいことを理解してくれるというわけです。なお部下を観察し、SBI情報を集める際に大切なことが2つあるといいます。1つ目は、観察する段階で、上司の主観や解釈、評価をなるべく排除し、行動の観察に徹すること。2つ目は、なるべく多くのSBI情報を収集すること。(44ページより)

ステップ1 スタートの数分間で成否は決まる

フィードバックで最も重要なことのひとつは、部下に信頼してもらうこと。そして、相手にリスペクトを持って接しなければ、信頼感を得られず、話に耳を傾けてもらうことは不可能。フィードバックが成功するためには、耳の痛い話であっても受け入れられる「感情の安定性」が大切だということです。

なおフィードバックを行う場所は、個室がベスト。一般的にフィードバックは、ポジティブなことに加え、耳の痛いことを通知する場合が大半。そこで、他の人に話を聞かれない環境を選ぶべきだというわけです。また上司に呼び出されれば、部下は緊張するもの。そこで最初は雑談をしたり、近況報告を聞いたりするところから始めるべき。そうすれば部下の緊張を解きほぐすことも、心の距離を縮めることもできるからです。(49ページより)

ステップ2 鏡のように事実を伝える

次に必要なのは、面談の「目的」を最初にストレートに述べてしまうこと。「問題のある行動を指摘するので、一緒に話し合って改善策を考えよう」といった趣旨のことを最初に伝えるのです。さらに「どのような行動に問題があるのか」を示すわけですが、ここで意識すべきは、把握した相手の問題行動を、なるべく具体的に「鏡のように」伝えること。主観や感情を排除すべきだというわけです。

鏡のように客観的に話すコツは、「○○のように見える」というように話すことです。たとえば、「私には、先日のあなたの行動は、こういうふうに見えるけど、どう思う?」といった具合です。

英語で言えば「It seems…」(…のように見える)の感覚です。(54ページより)

大切なのは、決めつけないこと。そしてこの段階では、無理に「ほめる」ことも無駄に「ディスる」ことも不要。しかし、事実だけをストレートに伝えるべきだということです。(52ページより)

ステップ3 相手に問題点を腹落ちさせる

どれだけ非があったとしても、部下には部下なりの言い訳や理由があるもの。そのため、本当に腹落ちさせるためには、対話によって部下の考えを探りながら、それを踏まえ、こちらのロジックや考え方を伝えていくことが重要。具体的には、いったん「部下の見方」を認めつつも、「別の見方」の存在を部下に発見させるべき。

まずは部下の思いや考えを話してもらい、話の腰を折らずに最後までじっくり聞く。ここで大切なのは、相手の話を「聞きとる」こと。そうすることで、自分と部下との違いが見えてくるというわけです。そして聞き終えたら、「君はこのように思っているようだけど、私はこう思うな」と、「違い」を伝えていくことも大切。

対話によって部下に問題点を認識させる際のポイントは、「問題のある現在の状況と目標とのギャップ」を明らかにすること。それがかけ離れていることがわかれば、誰でも「いまの自分には問題がある」ということがわかるといいます。

営業の仕事のように、数字でギャップが見えやすい内容なら、「月100万円のノルマに、あと30万円足りない」など、直接数字で示せば良いでしょう。

カスタマーサポートや総務など、数字でギャップを示しにくい仕事の場合は、「本来ならば、その仕事の先にどんな光景が広がっているはずなのか」を問いかけてみましょう。部下から明確な答えが返ってこなければ、こちらから言葉を継ぎ足してもかまいません。

そうすれば、部下も現状と目標とのギャップを意識しやすくなるはずです。そのうえで、部下が今後、何をしていくか「決めさせるプロセス」——すなわち「決定」に持ち込むことが重要です。(57ページより)

忘れるべきでないのは、対話を通して「決定」に持ち込むこと。そして徐々に「対話」の量を減らし、決定=共通認識をつくるといいそうです。(55ページより)

ステップ4 部下の立てなおしをサポートする

問題点が腹落ちしたと感じたら、次は「立てなおし」。ここでのポイントは、部下自身に、自分の過去や現在の状況を再び言葉にしてもらうこと。そうすることで、客観的に見られるようになり、次の仕事に生かせる気づきが得られるというわけです。このとき、上司が適切な質問を投げかけていけば、狭くなっていた視野が広がり、起こった出来事を冷静に判断できるようになるのだとか。

なお質問を投げかけていく際には、「What?」「So what?」「Now what」の3ポイントが重要。

1. What?(なにが起こったのか?)

「自分は、過去・現在にどのような状況で、どのような行動をとり、それがどんな問題を引き起こしたのか」を、部下に言葉にしてもらうということ。なるべく具体的に、問題発生のプロセスを再現させることが大切。

2. So what?(それは、なぜなのか?)

「What?」の真の原因を探す段階。自分の行動や認識のうち、なにがよくて、なにがよくなかったのか。本当の原因はなんであったのかを、部下に言語化してもらうということ。自分の力で原因を明らかにすることで、理解が深まり、問題行動の改善につながるそうです。

3. Now what?(これからどうするのか?)

目指すべきゴールに向かって、「どのように問題行動を改めるのか」について、部下自身に決めてもらうということ。

(59ページより)

ステップ5 今後の期待をしっかりと述べる

フィードバックのラストは、部下に今後の期待を述べ背中を押してあげること。ここでの第1のポイントは、いうまでもなく「今後も期待している」としっかり伝えること。加えて、「困ったときには最大限のサポートをしていく」と伝えるのも重要。そうすることが部下の孤独感を和らげ、大きな助けになるわけです。

もうひとつ忘れてならないのは、「再発予防策」を立てること。「いま抱えている問題は、どのような場合に再発してしまうのか?」「再発しそうになったら、自分としてはどうするのか?」などについて部下と話し合い、対策を立てておくべきだという考え方です。(62ページより)

著者はフィードバックを「文化」と位置づけ、その有効性を現在以上に幅広く伝えていきたいのだそうです。そこで、初めて部下を持った人、初めてマネジャーになった人、そして、いままで部下育成についてなにも経験のない人でも使えるフィードバックの本を出す必要があると思い至り、本書を執筆したのだといいます。

難解ではなく、とてもわかりやすい構成になっているのはそのせい。本書を熟読してフィードバックを自分のものにし、リーダーとしてのスキルを高めてみてはいかがでしょうか?

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