「マジンガーZ」「GODZILLA」にみる“続編”と“リブート”の意義 藤津亮太のアニメの門V 第30回

「マジンガーZ」「GODZILLA」にみる“続編”と“リブート”の意義 藤津亮太のアニメの門V 第30回

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  • 更新日:2018/01/15
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ある作品世界の寿命を長く保つには、適宜新作を制作する必要がある。しかし、前作から時間が空いてしまった場合やそれまでとターゲットを大きく切り替える場合には、単純に続編を作るのだけでは済まないしつらえが必要になる。既存のキャラクターを改めてどうプレゼンテーションするかというブランディングの問題だ。

たとえば昨年11月には『GODZILLA 怪獣惑星』が公開され、今年は1月13日から『劇場版 マジンガーZ / INFINITY』が公開される。ゴジラとマジンガーZどちらも長い期間にわたってその存在を親しまれているキャラクターだ。

『GODZILLA』の場合、国内でアニメ化されるのは初。海外のファン(同作はNetflixでの配信が決まっている)やゴジラというキャラクターに興味の薄い層にリーチすることが企画の狙いのひとつで、過去の『ゴジラ』シリーズとはまったく接点のない、遠い未来を舞台としたまったく新たな設定の作品として打ち出した。
一方、『マジンガーZ/INFINITY』は、'70年代に放送された『マジンガーZ』『グレートマジンガー』が終わった時点から“10年後”という設定で、いわば「正統派の続編」という位置づけで制作されている一作だ。新規ファンを横目にみつつ、『マジンガーZ』に親しみを感じている層を中心にした打ち出しといっていい。

おそらくある有名作を、世間に改めてプレゼンテーションするアプローチは、大きく2種類ある。

ひとつは「続編」。すでにその作品世界やキャラクターが一定のイメージを獲得しているというアドバンテージをそのまま利用して、その上に作品を作る方法だ。
「続編」として打ち出す場合、キャラクター(ここではメカも怪獣も含んでこう呼ぶ)が持っている「一般的な印象」に寄り添う必要がある。

そもそも続編が作られるほどのキャラクターは、登場時から人気のピークに至るまで、そのキャラクター性が変化をしていたりする。
たとえばゴジラであれば、核実験の影響で蘇った恐怖の存在でスタートしつつ、ヒーロー性のある地球最強の怪獣という位置づけに変化していった。マジンガーZは作中での立ち位置こそ変わらないが、飛行用アタッチメントのジェットスクランダーを装備しているかいないか、兜甲児が乗るのはホバーパイルダーなのかジェットパイルダーなのかといった、装備面での変化がある。

時間をおいて「続編」を制作する場合は、こうしたキャラクターの変化に対し、世間のイメージと合致する塩梅を予測して、「平均的なキャラクター像」を改めて打ち出す必要がある。この時、どうしてもキャラクターを知っている人に訴求は強くなるが、そうではない人には魅力が通じづらくなるという点は「続編」の弱点の部分ではある。
また、キャラクター像のイメージを打ち出すにあたっては、時間の経過とともに作品のリアリティが古びていることも多いので、観客が気にならない範囲で、リアリティを補強してあげることも必要になる。

『マジンガーZ/INFINITY』で印象的なのは、敵役であるDr.ヘルの動機を「世界征服かと思わせて……」という趣向を盛り込んだ点だ。同作は'70年代のロボットアニメであれば有効だった「世界征服」という動機を、現代の視線で見て違和感のないものへとスライドさせて、「おなじみ『マジンガーZ』の世界」を保ちつつも、リアリティを改めて確保しているのである。
とはいえ「世間のイメージ」に寄り添って作られる続編である以上、そうしたアップデートをあまりやり過ぎると、木に竹を接いだような状態になってしまう。そのあたりの違和感を抑えた、さじ加減をどこに設定するかという難しさはついてまわる。

そうしたバランスの上で成立している続編に対し、もうひとつの方法は「リブート(再起動)」である。
ここでは「リブート」を「キャラクターや世界観の大事な部分」は残して、それ以外を、現代のリアリティ、センスで作り直すことになる、再ブランディングと位置づけたい。リメイクあるいはリイマジネーションと呼ばれるものも、広く「リブート」に含まれるだろうが、ポイントは「リメイク」「リイマジネーション」は作品単体で完結するが、「リブート」はそのキャラクターや世界観を未来に向けて永らえさせるためのアクションというところにある。

「大事な部分だけを残す」というのはなかなかに難しい作業だ。「みんなの知っている平均的キャラクター像」から逸脱してしまうリスクも高い。「○○というキャラクターを使う必然を感じない」という批判もありえる。
とはいえリブート、そのキャラクターの誕生の瞬間から改めて描き直せるというメリットがある。キャラクターの誕生の瞬間は、キャラクターのアイデンティティと深く結びついていることが多く、そこを新しいファンが共有できるというのは、キャラクターの寿命を先に継いでいくという点でメリットが大きい。ブランドをゼロから再構築して未来に長く繋ぐには、これぐらい大胆でないと難しいはずだ。

アニメでいえば『宇宙戦艦ヤマト2199』はリイマジネーションとしてスタートしたが、劇場版、続編の『2202』へと繋がったことで「リブート」という意味合いが強まった。特撮だと『仮面ライダークウガ』『ウルトラマンティガ』の2作がリブートの成功例としてわかりやすいだろう。
『GODZILLA 怪獣惑星』も広くは「リブート」のひとつと位置づけられる。だが「ゴジラが最強である」ということ以外は大胆にアニメならではの設定に置き換えてあり、これはかなり大胆な「リブート」といえる。これは特撮からアニメへのメディアのチェンジを意識した結果だろう。
逆に、ゴジラというキャラクター性を現代の世界観の中で蘇らせたという点でいえば『シン・ゴジラ』のほうがむしろ正統なリブートであったといえるだろう。

「続編」と「リブート」は、さまざまな条件での選択としてあるもので、どちらがいいかという問題ではない。
とはいえ'60年代から'70年代にかけて制作されたさまざまなキャラクターはもう半世紀近くが経過し、それらに馴染みを持つファンの年齢を考えると、「続編」という手法だけでは、それらキャラクターのブランドを保つことは難しくなっていくのは間違いない。とすると、次の20年ぐらいを見据えた時、リブートという方向性はこれまで以上に大きな意味を持ってくるのではないだろうか。

[藤津 亮太(ふじつ・りょうた)]
1968年生まれ。静岡県出身。アニメ評論家。主な著書に『「アニメ評論家」宣言』、『チャンネルはいつもアニメ
ゼロ年代アニメ時評』、『声優語 ~アニメに命を吹き込むプロフェッショナル~ 』がある。各種カルチャーセンターでアニメの講座を担当するほか、毎月第一金曜に「アニメの門チャンネル」(http://ch.nicovideo.jp/animenomon)で生配信を行っている。

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