いたずら?「空車」なのに止められない駐輪場の謎 福岡・天神【あなたの特命取材班】

  • 西日本新聞
  • 更新日:2018/01/15
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「空いててラッキーと思ったら使えなかった。どういうこと?」。福岡市・天神の市役所で待ち合わせた男性が首をひねった。ほぼ満車に近い路上駐輪場に空車レーンを見つけたが、自転車を止められなかったという。現場に向かうと、自転車がないのに駐輪機のワイヤがロックされ、解除するための鍵がない。周辺を含めて30台分以上のレーンで鍵だけが持ち去られていた。単なるいたずらか、何か意図があるのか。路上駐輪場の謎を追った。

【関連】まさか…有料駐輪場に止めていた自転車が撤去されてしまった

「利用者も、私たちも困っているんです」。管轄する福岡市自転車課。前田利家課長の口から嘆き節が漏れた。意味不明の鍵の持ち去りは昨年3月以降、毎日のように起き、修理に追われているという。

天神地区には約1800台分の市営路上駐輪場がある。鍵が持ち去られているのは昨年1~3月に設置した504台分の「鍵付きワイヤ式」。100円を入れると鍵が抜け、ワイヤで駐輪機に自転車を固定することができる。

同課によると、鍵がなく自転車を駐輪機につなげないレーンに自転車が置かれていることはほぼなく、犯人の手掛かりはない。鍵の交換費は1台500円。利用再開まで約2週間かかるという。

前払いの鍵付きワイヤ式を導入した背景には、市の苦い経験がある。

放置自転車の取り締まりを強化した2014年度以降、後払い式の駐輪場で100円を払って他人の自転車の施錠を解き、自分の自転車と入れ替える手口が横行。入れ替えられた自転車は放置とみなされ、「撤去された」との抗議は多い月で10件に上った。

そこで約4千万円をかけて設置したのが前払い式だった。鍵ではなく暗証番号で開閉する最新型もあるが、1台当たり25万円と改修費が高額になるため導入を見送った。

■    ■

改修後、ルールを守った自転車が撤去されることはなくなった。しかし「鍵がしょっちゅうなくなってみんな迷惑している。改修前の方がまだよかった」という街頭指導員もいる。

なぜ鍵だけを持ち去るのか。まず浮かぶのは単純ないたずらだが、市役所近くに駐輪していた司法書士の男性(34)は「鍵を手に入れるために100円払う人はそういないのでは」。

可能性はもう一つ。同課は「目撃したわけではありませんが」と前置きした上で、「自転車を止めずにとりあえず100円を払い、他人が使えないようにして、自分の都合のいい時間に使おうとしているのでは」という。市の委託事業者は毎朝の巡回で鍵のないレーンに使用禁止のテープを貼っているが、完全に防げるわけではない。

ほかにどんな理由があるだろう。取材中、前田課長と考え込んだが、答えは結局出なかった。

市は監視カメラの設置も検討中。その前に不届き者を突き止めようと今月12日朝、被害が多い新天町の路上駐輪場に張り込んでみた。寒風の中、3時間待ったが、犯人は現れなかった。

=2018/01/13付 西日本新聞朝刊=

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