猛暑に必須なエアコンを使うことで逆に地球は暖められている

猛暑に必須なエアコンを使うことで逆に地球は暖められている

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  • 更新日:2018/07/24
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byEgi

日本では猛暑が続いており、岐阜や名古屋では40度に迫る高温が記録されるなど、エアコンなどの冷房が欠かせない季節となっています。世界的な気温上昇に伴い各地で重要な働きをする冷房機器ですが、これらにより地球温暖化が促進しているとドイツのニュースメディアDWが指摘しています。

How to prevent cooling from warming up the world | Environment| All topics from climate change to conservation | DW | 20.07.2018

https://www.dw.com/en/how-to-prevent-cooling-from-warming-up-the-world/a-44734986

エアコンや冷蔵庫などの冷却機器は貧困と飢餓を終わらせるためのカギとなるものです。例えば、冷蔵庫があれば医薬品を保管し、食べ物を常温よりも長く保存できるようになるため、無駄を大幅に減らすことができるようになります。同じように、冷却機器は健康や福祉を改善するためにも不可欠なものとなっています。しかし、冷却機器には大きなリスクが存在しており、「冷却機器の使用が増加するにつれて地球温暖化が促進され、それによりさらに冷却機器が使用されるようになる」という悪循環が起きているとDWは指摘しています。

(PDF)最新の研究によると、世界中で使用されている冷却機器の数は2050年までに2018年時点の4倍となる140億台にまで増加すると予測されています。これにより、二酸化炭素の排出量は急増すると予測されており、パリ協定で定められた温室効果ガスの排出削減目標を達成することができなくなるのではと考えられています。

国連環境計画のエコノミック部門エネルギー気候支局で責任者を務めるマーク・ラッカ氏は、「もしも気候変動が問題でないならば、冷却機器へのアクセスは『清潔な水』や『衛生設備』へのアクセスと同じように安全にとって重要なものである」と、冷却機器が世界にもたらす恩恵の大きさを表現しています。しかし、残念ながら気候変動が大きな問題となっている昨今に於いて、冷却装置が地球に与えるダメージは無視できないものとなりつつつあるとのこと。

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byNikola Jovanovic

それでも冷却機器は現代にとって必須の装置であると言えます。Sustainable Energy for All(SE4ALL)の(PDF)報告書によると、アジアとアフリカを中心とした10億人以上の人々が冷却機器へアクセスできないことにより命の危険にさらされています。

SE4ALLの国連事務総長特別代表であるレイチェル・カッテ氏は、人口が増え、気温が上昇するにつれ、持続可能な冷却機器の配備不足による健康上および経済上のリスクが指数関数的に増加していることを指摘しています。

例えば、人口増加により爆発的な進化を遂げているインドでは、ワクチンなど「低温で管理する必要のあるヘルスケア製品」の約20%が不足しているそうです。そのほかの分かりやすい例でいえば、世界では毎年約50万人が傷んだ食べ物を食べるなどして死んでおり、これは明らかに冷却機器(冷蔵庫など)の不足が原因であると世界保健機関(WHO)は指摘しています。

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byDrew Hays

国際連合世界食糧計画によると、冷蔵庫の不足は開発途上国の貧困を深刻化させているとのことです。冷蔵庫の不足により農家は収穫量の約40%を定期的に失うこととなっており、同じように漁業においても魚を冷凍する設備がないため、小売業者は収益性の高いビジネスに成長する機会を失っているとのこと。これについてラッカ氏は、「冷却装置の配備を確立し、食べ物を冷たく保つことができるようになればもっと遠くまで食料を運べるようになり、大きな経済的価値を得られるようになります」と語っています。

また、冷却機器が影響を及ぼすのは食料や医療だけではなく、職場や学校での生産性にも大いに影響すると考えられています。

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このように冷却装置は人間の生活の質を高めるために大きな働きを担っていることは明らかです。しかし、エアコンや冷蔵庫はハイドロフルオロカーボン(HFC)と呼ばれる「代替フロン」を冷媒として使用しています。これは地球のオゾン層にダメージを与えることはないものの、二酸化炭素の2万3000倍も地球温暖化効果をもたらすというものです。

そして最新の調査によると、2050年までにHFCは地球温暖化の約12%を担うようになると予測されています。こういったデータを受け、2019年に発効される国際協定の(PDF)モントリオール議定書改定(キガリ改正)では、代替フロンを新しく議定書の規制対象とすることが決まっています。2019年にキガリ改正が発効すれば、30年間でHFC類の使用を80%以上削減することが目標として設定されることとなります。

また、既存の冷却技術は主に化石燃料からの大量のエネルギーを使用しているため、使えば使うほど大気汚染に大きく影響してしまいます。以下のデータは冷却機器を使用することでどれだけ大気汚染に影響を及ぼしているかを示すものです。例えば中国の場合、冷却機器を使うことによって「二酸化炭素12億3000万トンを排出するのに相当する大気汚染が行われる」というわけ。ちなみに、2015年の世界の二酸化炭素排出量の合計は329億トンです。

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ある調査では大気汚染による死者の数は、21世紀半ばまでに年間約1万3000人にまで増加すると予測されており、そのうち約1000人はエアコンなどの空調が原因で引き起こされる死者であるとのこと。

同調査に携わったデイビッド・アベル氏は、「我々がエアコンを使って外の暑い空気を冷たいものに替えると、石炭とガスを燃やす発電所から汚染が発生する」と語っています。つまり、人類が化石燃料に頼っている限り、冷却機器の問題に取り組む際は、同時に大気汚染という別の問題にも思考を巡らせる必要性があるというわけです。

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byAlexander Popov

つまり、冷却機器による悪循環を逃れるためにはHFCや化石燃料を削減する必要があります。この問題への対策としては、国連のUnited for Efficiencyでプログラム責任者を務めるブライアン・ホーウイ氏が、「製品効率が2倍になればエネルギー源にかかわらず温室効果ガスの排出量を大幅に削減することが可能となる」と述べました。加えて、「これは世界中で温室効果ガスの排出量を削減し、パリ協定の目標を達成するための、最も速く・安く・クリーンな方法のひとつです」と力説しています。

そのほかに行えることとして、DWは「冷却機器をきれいに保つこと」「屋根を白く塗ることで日光を反射させること」「風の通りをよくすること」などを挙げられています。これらは地球が暑くなることに対応した人間のちょっとした知恵であり、冷却機器の使用量を減らすことにつながるというわけです。

なお、カッテ氏は「冷却機器へのアクセスは贅沢などではなく、人権だ」と語っており、冷却機器の使用が問題なのではなく、冷却機器を使用することで起きる環境汚染が問題であるとしています。

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