コメダ珈琲はなぜ強いか。上場から3年の成績を検証してみた

コメダ珈琲はなぜ強いか。上場から3年の成績を検証してみた

  • 現代ビジネス
  • 更新日:2019/06/25
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コメダホールディングス(以下、コメダHD)は6月12日、6月下旬に保有する自己株式約9億円分を第三者割当で三菱商事に売却すると発表した。三菱商事の出資比率は0.95%となる。

コメダHDは現在、中国や台湾などに計7店(19年2月末時点)を出店しており、調達した資金の一部は、これまで出店してこなかった国への出店などに使う予定だとか。

ちょうど3年前の2016年6月29日に、コメダHDは公開価格による株式時価総額約858億円で上場を果たしたが、当時は同業ではドトール・日レスホールディングスの934億円に次ぐ規模となった。

その後の業績も堅調であり、ここでこの3年を振り返ってみたいと思う。

コメダHDの上場まで

コメダ珈琲店は1968年1月に加藤太郎氏によって創業され、FC展開を中心に事業を拡大してきたが、2008年3月に、加藤氏の事業承継という形でアドバンテッジパートナーズが全体の78%を取得。ほぼ同時期と思われるが、サッポロホールディングス傘下のポッカサッポロフード&ビバレッジ(同12%)が取得した。

その後、2013年2月に、MBKパートナーズが、アドバンテッジパートナーズ(出資比率78%)のほか、サッポロホールディングス傘下のポッカサッポロフード&ビバレッジ(同12%)などから全株を取得。買収総額は負債も含め約430億円規模の案件であり、3年前の上場はそのイグジットの一環だった。

MBKパートナーズは買収時に巨額ののれん代を抱えたことから、会計基準は減損が発生しなければ償却の必要がない国際会計基準(IFRS)を採用し、IFRSを採用する企業としては、すかいらーくに続く新規上場となった。

主幹事は大和証券。公募はなく、売り出しのみで2670万株、全てMBKパートナーズのファンドであるMBKⅢ Limitedの売却のみ。オーバーアロットメント(以下、OA)は400万株だった。

喫茶店というよりFC事業そのもの

コメダHDは、持株会社と連結子会社2社で構成されており、上場時は「珈琲所 コメダHD珈琲店」(682店)と「甘味喫茶 おかげ庵」(7店)の二つのブランドだったものが、2019年2月現在では、それ以外に、「やわらかシロコッペ」、「コメダスタンド」の2ブランドが増え、「コメダ珈琲店」も海外店が増加し、合計で860店舗となっている。

以下は、その出店推移である。

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13/2期は全部で487店から19年2月末で860店と2倍弱まで増加しているが、直営店はわずかであり、ほとんどがFC店である。しかも地盤の中京エリアはむしろ近年減少し、東日本と西日本が増加、海外にも進出しているのが興味深い。喫茶店の事業所数は1981年の154,630件をピークに一貫して減少しており、2016年は67198件となっているが、(全日本コーヒー協会)そのなかでの拡大はやはり相応のブランド力があってのことである。

ビジネスモデルは典型的なフランチャイズ形式であり、本部の店舗開発部隊が、出店候補地から店舗設計を行い、主力であるコーヒー、パン類は自社工場で一括製造し店舗へ配送している。また極めて特徴的なのは、1か月1席1500円という定額制のロイヤリティであり、回転が良ければよいほど、FCオーナーへの実入りが良くなるシステムである。

驚異的な利益率の高さは変わらないが…….

コメダHDは16/2期より国際会計基準(IFRS)としており、2014年3月1日をIFRS移行日とした15/2期のIFRSも開示している。

以下は、売上と営業利益の推移である。

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5期連続増収増益であり、当初特筆すべきはその30%を超える営業利益率の高さであったが、気になるのは利益率が漸減しているところである(これは後ほど詳細を分析する)。

コメダHDの事業は基本的にはロイヤリティ徴収、コーヒー・食材仕入一括販売、店舗工事請負等が売上に計上されているため、純粋な喫茶店の利益として見ることは難しいが、それでも異次元の高収益のFCビジネスを、喫茶店というレガシーな業態で実現させたところにビジネスとしての価値があり、ある意味驚きを隠せない。

FC展開がメイン事業であり、その利益率が喫茶店の利益率とは比較にならないのは理解しているが、他の代表的な外食チェーン8社と比較してみた。

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縦軸は前期の売上高営業利益率、横軸は前期売上高、円の大きさと表示金額は株式時価総額であり、グラフ④が2019年6月18日付け、グラフ⑤が3年前の2016年6月1日付けである。

この3年で売上、時価総額どちらも2016年比で縮小した発行体はなかった。8社のこの3年の売上高伸び率の平均は112.5%であり、一番伸長したのはコメダHDが売上217億円から303億円と139.7%だった。また時価総額の増加平均は132%であり、一番伸長したのは日本マクドナルドHDの3877億円から、6448億円の165.9%だった。

一方で営業利益率はまだらである。利益率が改善したのが、日本マクドナルドHD、ゼンショーHD、ロイヤルHD、サイゼリアの4社。減少したのが、すかいらーくHD、コメダHD、吉野家HD、壱番屋の4社である。改善幅が一番大きかったのが、日本マクドナルドHDがマイナス12.3%から9.2%の21.5%、一番減少したのがコメダHDであり、30.2%から24.9%へのマイナス5.3%となっている。

但し、この中の発行体でIFRSを採用しているのは、コメダHDとすかいらーくの2社であるが、IFRSではのれんの償却が行われず、その分、利益額が上乗せされている。
その2社とも利益率を減少させているのは興味深い。

利益率が下降している理由

増収増益のため、開示資料では利益率が下がって理由については記載されていないが、売上高原価率、売上高販管費率の推移を調べてみた。

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販管比率は横ばいだが、原価率が15/2期比、5.7ポイント増加しており、利益率の下降の原因はほぼ原価比率の増加と考えて良い。原価のさらなる内訳は記載されていないので、憶測でしかないが、コーヒー、食材等の高騰などが考えられる。いかにせよ、5年連続の下降なので、一過性の理由ではなく、事業モデルのとしての課題と捉えたほうが良い。

国際会計基準 IFRSについて

コメダHDの385億円ののれんは2013年にMBKパートナーズが旧コメダを買収した時に発生したものである。2013年に383億円だったのでほとんど変わっていない。

IFRS適用により、コメダHDは日本会計基準なら毎年20億円超の費用を計上せずに済むわけだが、一方で当然ながら、IFRSでは毎年減損テストが義務づけられており、買収した会社の業績が悪化すれば、計上しているのれんを減損することになるが、業績を勘案すれば、現段階ではその可能性は低いといえる。

それでも、仮にコメダHDが日本会計基準で毎年20億円ののれん償却を行っていたとしても、前期の営業利益は45億円であり営業利益率は20%を超え、業界1位の利益率であることは変わらない。

予想PERは17.5倍。もう少し評価されても良い

コメダHDの今期業績予想は、売上328億円(前期比108.2%)、営業利益78億円(同103.9%)、当期純利益53億円(同103.8%)と開示されており、引き続き好調の見込みである。予想PERは17.5倍となる。業態で一番近いドトール・日レスの予想PERが14.4倍であるが、利益率の高さを勘案すればもう少し評価されても良いかもしれない。

さて、上場後3年の業績を一通り見てきた。概ね順調といえるが、ここで冒頭の三菱商事との提携を考えてみたい。

コメダHDは今月7日に青森県に出店し、日本の全ての都道府県に出店した。まだ出店余地の残されているところもあるだろうが、すでに中京エリアにおいては店舗が減少していることを考えれば、早晩関東、関西でも出店余地が限界に来る可能性は否定できない。

となると、当然海外展開を加速させていく中での三菱商事との提携となる。

すでにコメダHDは中国、台湾で7店舗を出店しており、この「名古屋式」の喫茶店が、現状台湾でも受け入れられており、一定の出店は見込めそうである。重要なのは台湾、中国でも大型のFCオーナーを獲得し、一気に多くの出店を行っていくことが重要かと思う。

代表取締役社長の臼井氏は、三和銀行出身であり、日本マクドナルド、セガの社長も務めた人物。それ以外のマネジメントも商業銀行、投資銀行出身者が名を連ねており、FCビジネスモデルを再定義して、効率化とブランディングによる集客強化が見事に噛み合った稀有な成功例と言えるだろう。今後のコメダHDに期待したい。

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