カレー沢薫のほがらか家庭生活 (59) ハロウィン

カレー沢薫のほがらか家庭生活 (59) ハロウィン

  • マイナビニュース
  • 更新日:2017/10/13
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今回のテーマは「ハロウィン」だ。このテーマを私によこして、何か出てくると思ったのだろうか、ただでさえ、叩けば血しか出ないタイプである。

「ハロウィン」、すっかりリア充のためのイベントとして定着してしまった。では、非リア充として、怨嗟の気持ちを抱いているかというと、関係なさ過ぎて恨みさえ抱けぬ、というのが実情だ。

もちろん、ネット上でしか知らない人間を親の敵のごとく憎めるのが非リアというものかもしれないが、ネット上でもハロウィン関係のニュースなんて間違ってもクリックしない。私は、見出しの時点でどう考えても気分をGUYす、と分かっている記事は最初から見ない。ピクシブでも、「女体化BL転生生存学パロオリキャラ注意」と、まあ何でも良いが親切に警告してくれているものをわざわざ見に行って、「気分GUYした。殺GUYする」と怒っているやつはおかしいだろう。

私が、ハロウィンで大人が汚した町を子どもが清掃している、などという記事を見たところで、町は片付かないし、汚したやつらを一人ひとり殴りに行くわけにもいかない。ただ、遠いところで起こった、どうにもできないことに憤懣(ふんまん)やるかたない思いを抱くだけ、という、その怒りで発電とかできない限りは全損でしかない事態になるのだ。

別に負のニュースだけではない。純粋にハロウィンを人々が楽しんでいる記事でも、見てしまったからにはムカつく恐れがある。「踊る阿呆に見る阿呆」と言うが、わざわざ見に行っておいて文句を言う阿呆よりは、何もないところをずっと見つめて、たまに微笑む阿呆でいたい。その阿呆もかなりヤバイが、どうにもならないことに憤るというのはキツイことなのだ。

だが、一番いいのは踊る阿呆の方だと思う。「乗るしかない、このビッグウエーブに」。いい言葉だ。遠くから男根祭をセクハラだというよりは、巨大男根像に跨(また)がり町を練り歩いた方が楽しいに決まっている。よって、ハロウィンも、恨むのはもちろん、避けるのではなく積極的に楽しんだ方がいいんじゃないだろうか。

だが正直、ハロウィンの楽しみ方というものが分からぬ。まず、ハロウィンを楽しんでいる人を肉眼で見たことがないのだ。我が村とて電気ぐらいは通っているので、ハロウィンをやっている人間は存在すると思う。しかし、そういう人間がそこら辺を歩いているような世界観ではない。

田舎の人間というのは歩かないことに定評がある。ハロウィンをやるにしても会場まで車移動だろうから、その姿を外部に晒すことがあまりないのだ。むしろ、「渋谷を避けて通れぬ」というような、通勤などに地獄を経由している人以外は、そうそう野良ハロウィンどもを目にすることはないのではないだろうか。

よって、いざハロウィンを楽しもうと思っても、どこで何をして楽しめばいいのか全く分からないのだ。ハロウィンイベントを調べて参加すればいいと思われるかもしれないが、こちとら伊達に、東京ディズニーリゾートができた時からコミュ症と非リア充をやっているわけではない。楽しそうなリア充の輪に入れば自分も楽しくなれると思うのは、スイートが過ぎる。逆に、新しいトラウマをつくるだけだ。

楽しむことが目的なら、「私が楽しめるハロウィン」を計画すべきなのだ。よって、まず一番大事なのは「ひとり」でやることだ。なぜなら私は、楽しいことはひとりでやりたいのだ。ゲームも、食事も、ひとりがいい。人とするのが楽しくないわけではないが、ひとりの方がより楽しいのだ。

このことから、ハロウィンも複数人よりひとりの方が楽しい、という方程式が導き出される。そして私は、それらの楽しみを自分の部屋でするのが好きだ。むしろ、部屋から出るのが嫌いだ。よって、ハロウィンも部屋から出ずにやるべきだ。

ソロで室内ということは決定したが、次に何をするべきか。ハロウィンの基本ルールは、仮装をして「トリックオアトリート」と言い、菓子をもらうことだ。「菓子をくれ、さもなければ悪戯するぞ」。とんでもないことである。

コミュ症は要求することが苦手だが、真に苦手なのは要求ではなくソレに対する「拒絶」だ。勇気を出して誘ったのに、それを断られたら心が折れる。だから、自分からは誘わず永遠に誘われ待ち、そして永久に誘われないのだ。

楽しむために、楽しめない要素を排除するというのは基本である。それに女に対し、「寿司と指輪は自分で買おう」と言われている昨今だ。菓子を人にもらうという発想自体が、前時代的なのだ。

よって、ハロウィンはひとりで仮装して自分で買った菓子を部屋で食う。ちなみに、人生を楽しむためには、「向いていないことはしない」というのも重要である。

○筆者プロフィール: カレー沢薫

漫画家・コラムニスト。1982年生まれ。会社員として働きながら二足のわらじで執筆活動を行う。デビュー作「クレムリン」(2009年)以降、「国家の猫ムラヤマ」、「バイトのコーメイくん」、「アンモラル・カスタマイズZ」(いずれも2012年)、「ニコニコはんしょくアクマ」(2013年)、「負ける技術」(2014年、文庫版2015年)、Web連載漫画「ヤリへん」(2015年)など切れ味鋭い作品を次々と生み出す。「やわらかい。課長起田総司」単行本は全3巻発売中。

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