900年欠かさず行われてきた春日大社「旬祭」神道の基本を凝縮した祭典を体験

900年欠かさず行われてきた春日大社「旬祭」神道の基本を凝縮した祭典を体験

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  • 更新日:2017/10/16
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神様への神饌を運ぶ献饌の儀

昨年、20年に一度、社殿や御神宝を新調・修復する式年造替で注目を集めた春日大社(奈良市)。来年創建1250年を迎える同社では、年間約2200ものお祭りが斎行されています。

中でも毎月1日・11日・21日に行われる「旬祭」は、宮中の賢所・神殿・皇霊殿(宮中三殿)と春日大社でのみ行われている大切なお祭りです(※橿原神宮、北海道神宮といった明治時代以降創建の新しい神社では宮中に習って行っています)。春日大社では900余年、一度も欠かすことなく斎行されてきました。

月に3日間ある春日大社の旬祭のうち、21日のお祭りには一般参拝者も参列することができます(申し込み不要、先着100名)。今回は21日の旬祭への参列体験を綴りたいと思います。

不断の格式高い祭典を間近で拝観

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一般参列者たちは御本殿前の西御廊の板の間で祭典に参列する

春日大社の旬祭は、関白・藤原忠実(1078~1162)の祈願によって平安時代の保安2(1121)年に始められたお祭りで、一般の神社の月ごとの決まった日に行う「月次祭」に相当します。明治以前は「旬御供」「旬御神事」などと称されていました。毎月1のつく日(旧暦にない31日を除く)に神々に旬の神饌(食べ物)と御幣(布やお金の代わりとなるお供え物)が捧げられます。

旬祭の開始は午前10時。この30分ほど前に一般参列者はまず、境内の「感謝・共生の館」に集合し、お祭りで奏上する「大祓詞」を頂いたり、参列に関する説明を受けたりします。旬祭参列には特に費用はかかりませんが、せっかく参列させて頂くのですから、この受付時に神様に敬意を表してお志をお納めするのが良いかと思います。また、お祭りの後で希望者はお粥の直会を頂くことができます。直会希望の旨を申し出て、お粥代1000円もこの時にお納めします。

旬祭に際して気持ちを鎮めて、いざ、昇殿。参列者は、普段の参拝では立ち入ることのできない御本殿前の西御廊(御本殿に向かって左)の板の間に座ります。毎回70~80名ほどが参列しており、筆者が参列させて頂いた日も、ほぼ満員状態でした。北陸など遠方から毎月、参列している方もいるそうです。

古社の厳かな祭典

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旬祭に向けてご社殿に参進する宮司はじめ祭員の列

お祭りが始まることを知らせる報鼓が鳴ると、宮司以下神職、巫女が十数名、列をなして中門を入り、東御廊(御本殿に向かって右)に昇殿します。お祭りは、以下のような次第で行われます。

まず、参列者も含め祭典に先立ち再拝拍手した後、神様へのお供え物や玉串、神職のお祓いに続き、参列者も頭を垂れてお祓いを受けます。

続いて、神様へのお食事である「神饌」をお供えする「献饌の儀」が行われます。

北御廊に設けられた神様のお食事を整えるための部屋「神饌所」から、神職数人が一列になって順次、神饌を目線に掲げて御本殿まで手渡しで送っていきます。

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数人の神職が一列になって神饌を手渡しで運ぶ

神饌は日の丸盆に盛られて渡されていきます。日の丸盆は旬祭の時のみに使用される黒塗りで上面のみ朱塗りの円盆で、先の式年造替で新調されたものです。神饌は、米、鏡餅、「ぶと」と呼ばれる米粉を蒸して揚げた唐菓子、酒、塩、野菜、海のもの(この日は昆布、するめ)、果物。春日大社には御本殿が4殿あり、これらの神饌がそれぞれ3枚の盆に分けて運ばれます。また、境内にある摂社・末社への神饌も運ばれます。

各本殿に運ばれた神饌は旬祭の時のみ使用される八足案の下に日の丸盆を仮置きし、改めて一品ずつ丁重に八足案にお供えされます。八足案は長方形の面に「鷺足」と呼ばれる八本の脚がつき、黒漆塗りに花菱文様の約1000枚の螺鈿や金色の金具が施された優美な台です。これも、先の式年造替で新調されたばかりの真新しいものです。日の丸盆や八足案など、旬祭の時だけ用いられる豪華な祭器具があることからも、旬祭がいかに大切な祭りであるかが伺えます。

全員で大祓詞奏上

献饌に続き、御幣をお供えする「奉幣の儀」。御幣とは両手で捧げ持つ4本の木串の先に長方形の和紙を挿した上に紙垂と呼ばれるギザギザに折りたたんだ和紙を垂らしたもので、春日大社では「トアタリ」との別名があります。大きな御幣は各御本殿正面の階段に1本ずつ立てかけられますが、昔は御本殿の御扉に当たる角度で立てかけられたため、この名があるのではないかとの説があります。

神饌と御幣のお供えが終わると、宮司が第一殿の前で祝詞を奏上します。参列者は祝詞奏上の間、頭を垂れてともに祈ります。

次いで、参列者も一緒に全員で「大祓詞」を奏上します。大祓詞は罪穢れを祓う特別な詞で、「大」は国家や公を意味します。春日大社の大祓詞は一般神社で奏上されるものと少し異なる古式のものですので、事前に頂いた大祓詞を見ながら声を一つにして奏上します。

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御巫による社伝神楽の奉納。扇の舞とお鈴の舞が舞われる

その後、2名の御巫によって社伝神楽が中門下で奉納されます。春日大社では巫女さんは御巫(みかんこ)と称され、紅白の襟を8枚交互に重ねた重厚な衣をまとい、額には春日大社のシンボルともいえる藤の花をあしらった簪を飾っています。扇を使った舞と、鈴を使った舞の2曲が神様に奉納されます。

春日大社の旬祭では献饌などで奏でられる雅楽も、奉納の神楽でも、毎回多くの曲が演奏されます。旬祭だけで様々な曲を聴くことができるので、雅楽好きな人には興味深いかもしれません。雅楽を演奏している伶人は、全て春日大社の職員です。

この後、「玉串奉奠」が行われ、先にお供えした神饌をお下げする「撤饌の儀」があり、神職一同が退下して旬祭は終了します。

神職は引き続き、御本殿から少し離れたところに鎮座する若宮で同様に旬祭を斎行します。

神道講話と神米粥

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春日大社の神様にお供えしたお米を使った直会の「神米粥」。具は月替わり(写真:平松温子)

一般参列者のうち希望者は、11時半から「感謝・共生の館」で開催される神道講話「ためになる神職のお話」を聴講することができます。この日は、「お祓いについて」の内容でした。お祓いとは何か、祓うべき罪穢れとは何か、祭典にあたっての禊とは何か、どんなことをするのかといったことを事細かに教えて頂きました。中には春日大社独特の伝統や風習などについてのお話もあり、大変勉強になりました。

1時間ほどで講話が終わると、ちょうどお昼時ということで、朝の受付時に希望していた人のみですが直会の時間となります。ここでふるまわれるのは「神米粥」といって、神様にお供えされたお米を炊いたお粥のお膳です。

塗りの椀にたっぷりと盛られた温かいお粥には、月ごとに異なる具が入っています。筆者が参列した9月の旬祭の神米粥には小芋と枝豆が入っていて、香りづけに削った柚子が散らされていました。この他、3種類のお惣菜とお香の物、お茶がつきます。

直会の前にはみんなでそろって食前感謝の和歌を唱えてからお粥を頂きます。また、食後には全員揃って食後感謝の和歌を唱えます。

食前感謝の歌「たなつもの 百の木草も 天照す 日の大神の めぐみえてこそ」

食後感謝の歌「朝よひに 物くふごとに 豊受の 神のめぐみを 思へ世の人」

いずれも『玉鉾百首』の中で江戸時代の国学者・本居宣長が詠んだ歌です。

旬祭参列体験は以上で、午後1時頃に解散となります。

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平成30年の創建1250年を記念する春日大社の特別ご朱印。社号「春日大社」の周りに社紋の「下がり藤」と雌雄の神鹿を描き、下側に「平成三十年御創建千二百語十年」と記した朱印。平成30年12月31日までの期間限定授与

半日間みっちり、古来の伝統を守る古社での格式高い祭典に参列し、神道講話を聴いて、神様のお米のおすそ分けに預かるという貴重な体験でした。日々、生かされていることに感謝し、神様にお供え物をして、後にそれをお分かち頂くという神道の根本を凝縮体験できる春日大社の旬祭。是非一度、参列してみてはいかがでしょうか。

(文:平松温子)

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