『独自の進化を遂げた日本のスパイスカレーの魅力とは!?』カレーを知り尽くした男、「AIR SPICE」代表・水野仁輔さんインタビュー(前編)

『独自の進化を遂げた日本のスパイスカレーの魅力とは!?』カレーを知り尽くした男、「AIR SPICE」代表・水野仁輔さんインタビュー(前編)

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  • 更新日:2017/09/15
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1999年にカレーをはじめとするスパイス料理の出張料理集団「東京カリ〜番長」を結成し、20年間、日本全国でライブクッキングを行ってきた水野仁輔さん。これまでに出版したカレーにまつわる本は実に40冊以上!カレーに関する様々なプロジェクトを立ち上げ、日本のニュースタンダードとなるスパイスカレーを追求し続けている。そんな水野さんに、日本のカレーのルーツや、カレー&スパイスの魅力についてお話をお伺いしました。

水野 仁輔(みずの じんすけ)
AIR SPICE代表。カレー&スパイスのスペシャリスト。出張料理集団「カリ〜番長」を結成以来、プレーヤーであることにこだわり続け、20年近くライブクッキングを続ける。他にもインド料理を研究する「スパイス番長」をはじめ、さまざまなカレーに関するプロジェクトを立ち上げて活動。これまでに出版したカレー本は40冊以上。近著に『幻の黒船カレーを追え』がある。活動が多岐に渡ることから糸井重里氏に「カレースター」の肩書きをもらう。現在、「ほぼ日刊イトイ新聞」にて「カレーの学校」で授業を行いながら、自ら作ったカレーを移動販売する「カレーの車」も開始。日本のカレーを面白くするためにレシピをすべて公開するオープンソース化を「カレースター計画」にて進める。2016年春から本格的なスパイスカレーが作れるスパイスの頒布サービス「AIR SPICE」をスタートした。

日本のカレーのルーツは!?

——この夏、マレーシアやシンガポールを旅してきたのですが、マレーシア料理のカレーもあれば、シンガポールにはリトルインディアに名店があったりします。カレーはどこの国にもあるものでしょうか?

カレーのルーツはもちろん、インドですよね。ルーツであるインドの人々が、いろんな理由で華僑の人たちみたいに世界中に散らばっていった。そこで、カレーというよりインド料理が世界各国に飛び火して、その国の食文化と融合して生まれたカレーというのがけっこう多い。カレーが世界中に広がっていったのは、インド人が移り住んだことがキッカケです。

もうひとつ、インドからイギリス経由で伝わったというパターンもあります。インドがイギリスの植民地だった時代にインド料理がイギリスに渡った。その時、イギリス人がカレー粉を発明したんです。イギリスでカレー粉が発明されて、それが世界中に渡っていった。

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世界中に色んなカレーがあるのは、インドから直接渡ったルートがあって、さらにイギリス人が発明したカレー粉が渡っていって、その国でカレー粉を使った料理が生まれた。日本はどちらかと言いますと、後者なんです。

——日本のカレーのルーツはイギリスなんですね!?

イギリスでカレー粉を使ったブリティッシュカレーが生まれ、それが明治初期に日本に伝わった。「これは美味しい!」となったのが約150年前の話です。それから60年ほど遅れてインド料理が日本に伝わった。だから、インド料理を知らずに日本人がカレーを食べていた期間が60年くらいあるということになります。

様々な国の食文化と混ざり合って、その国独自のカレーが生まれている。だから、世界中にカレーがあるのですが、これだけカレー文化が盛り上がっているのは、実は日本だけ。日本にはカレーライスを提供する専門店がたくさんありますよね。もちろん、インド料理の専門店は世界中にありますが、カレーライスの専門店は日本にしかないんです。中国に「CoCo壱番屋」があるとか、ニューヨークに「ゴーゴーカレー」があるくらいで、すべて日本発です。

ですから、世界中の人にとってカレーライスの専門店が存在するというのは、衝撃的な事実だと思います。まさに、インド人もビックリ(笑)。今、日本にはカレー専門店が5000軒以上あると言われていますが、日本のカレーは、かなり特殊と言っていいほどの盛り上がりを見せているというのが面白いところですね(笑)。

インドとは別の次元に到達した“カレー大国”日本

——日本人は、無類のカレー好きなんでしょうか?

インドとは違う“カレー大国”と言っていいでしょう。しかも、世界で他に類を見ない盛り上がりを見せていて、別の次元に到達していると言っても過言ではありません。

カレーが嫌いだという人はほとんどいませんし、カレーライスに限らず、カレー味の食べ物がたくさんある。カレーせんべいだとか、カレースパゲティ、カレーうどん、カレーラーメン、カレーパンなどなど……。このようなカレー味の食べ物は、実は日本にしか存在しません。

日本人は明治初期にイギリスからやってきたブリティッシュカレーにあこがれて、自分たちの味覚に合うようアレンジして150年間進化させ続けてきた。その過程でカレーライスが国民食になっていったわけです。

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それは、中国から伝わったラーメンと同じ。日本人は異国の食文化が入ってくると、それを自分たちの好みにアレンジすることが得意なんだと思います。一度、手に入れた食文化を自分のモノにしたら、執着心があるから捨てないし、探究心があるから極める。ラーメン同様、カレーライスも独自の進化を遂げたということだと思います。

日本人によるスゴい発明とは!?

——どのような進化を遂げたのでしょうか?

イギリスから日本に最初に伝わったカレーのレシピを入手して実際に作ってみたことがありますが、具材を煮込んだシチューにカレー粉を溶いただけという感じで味気ないものでした。ところが、今の日本のカレーと言えば、玉ねぎを飴色になるまで炒めるとか、何時間も煮込んでひと晩寝かせることもする。さらに、隠し味にいろんな食材を入れますよね。

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特に玉ねぎを飴色になるまで炒めるというのは、日本人なら誰でも知っていることですが、やっているのはこれも日本人だけなんですよ。日本人のインド料理のシェフ10人以上が集まってカレーについて議論したことがありますが、玉ねぎを飴色になるまで炒めるインド人のシェフを見た事が一度もないって言ってました(笑)。それだけ、日本のカレーというのはインド人からすると不思議だらけなんです(笑)。

さらにインド人がビックリするのは、日本人が発明したカレールウ。カレー粉を発明したのはイギリス人で、インドでも普及しています。しかし、カレールウは日本にしかありません。カレー粉よりいろんな旨みが入っていて、極端な話、お湯の中にカレールウを入れて具材と一緒に煮込むだけでも美味しいカレーができる。そういう意味でカレールウというのは、日本人によるスゴい発明なんです。

取材協力&写真提供
●「AIR SPICE」http://www.airspice.jp/
●ほぼ日刊イトイ新聞「カレースター計画」http://www.1101.com/curryproject/

取材・文:國尾一樹
撮影:たつろう

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