文在寅政権が焦るワケ...輸出規制の打撃「韓国のほうが甚大」な可能性

文在寅政権が焦るワケ...輸出規制の打撃「韓国のほうが甚大」な可能性

  • 現代ビジネス
  • 更新日:2019/07/24
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韓国の輸出のうち21%が半導体

7月4日から半導体の生産に欠かせないレジストや高純度フッ化水素、そしてフッ化ポリイミドの3品目(以下では「規制強化3品目」とする)について韓国向けの輸出規制強化が始まった。また今後、韓国が安全保障貿易管理における「ホワイト国」から除外される予定であることも公表されている。

これに対して韓国の文在寅大統領は、日本の措置は、韓国経済より日本経済に大きな影響を与えると発言した。日本のマスコミでも日本の影響を懸念する論調も見られる。しかし筆者は日本の措置は、韓国経済へダメージを与えることはあっても、日本経済にはほとんど影響はないと見ている。

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〔PHOTO〕iStock

以下では特に影響を受ける可能性が高い半導体に絞り影響を考えてみよう。

韓国は半導体の製造に欠かせないレジストの9割以上、フッ化水素の4割以上を日本からの輸入に依存しており、韓国で製造されている高品質の半導体の製造工程では、日本産の高品質な中間財が不可欠である。よってこれら品目の調達が不確実になることは、韓国の半導体産業には大きな打撃となる。

2017年の数字ではあるが、三星電子の半導体部門だけで稼ぎ出した営業利益は、韓国の企業部門全体の営業利益の15%にも達する。また2018年において半導体輸出は輸出全体の21%を占めている。

近年は、自動車など他の産業が振るわないなかで、半導体は孤軍奮闘して韓国の経済を支えてきた。昨年から世界の需要が一服するなかで、韓国の半導体も一時期の勢いを失っているが、それでも韓国経済を支えていることには変わりがない。

輸出規制強化の影響は現在のところ韓国の実体経済にはあらわれていない。契約ごとに審査するようにしただけで輸出を禁止したわけではないので、生産する日本企業の輸出許可が下りれば日本からの調達も可能である。

しかし結果的に輸出許可が下りたとしても、生産に必要不可欠な中間財の調達が不確実となれば、韓国の半導体メーカーも長期的な生産計画を立てにくくなる。

韓国の景気は昨年の秋頃から減速している。これは、米中貿易摩擦により中国経済が減速しているためであり、中国への輸出依存度が高い韓国に悪影響が及んでいる。もしも韓国経済の一本柱である半導体の生産が落ち込めば、景気の後退はより深刻になるだろう。

日本への影響はごくわずか

一方で日本経済には影響はあるのだろうか。影響を短期的および中・長期的に考えてみよう。短期的な影響としては、規制強化3品目の輸出減が考えられる。

しかし、2019年1~5月までの3品目の韓国向け輸出額は、全体で1億4000万ドル程度であり、同時期の日本の輸出総額の0.05%に過ぎない。これが大幅に減少したからといって日本経済が受ける影響はないと考えてよい。

韓国産の半導体の供給が減りこれを使って最終品を製造する日本のメーカーが打撃を受ける可能性も指摘される。しかしこの影響もそれほど深刻ではない。

半導体の中で韓国のシェアが高いものは、コンピューターの一時的なメモリーとして使われるDRAM、スマートフォンなどの記憶媒体として使われるNAND型フラッシュメモリーである。なかでもDRAMは韓国企業のシェアが7割前後と高い。

ただし2019年の上半期の日本の状況を見ると、DRAMは台湾からの輸入が59%を占めており、韓国のシェアは21%とそれほど高くない。フラッシュメモリーの輸入は、台湾からが29%、韓国からが25%である。もっともフラッシュメモリーは日本企業も一定のシェアを占め、総供給といった観点からは韓国のシェアは上記の数字より落ちる。

さらに、世界的に半導体需要はそれほど好調ではなく、韓国の半導体生産が減少したからといって、ただちに供給不足に陥るわけではないと考えられる。

韓国は経済構造上「中間財」を生産しづらい

中長期的にはどうだろうか。韓国政府は半導体の中間財の国産化を図るため、毎年1兆ウォンの投資を行うとした。

過去の事例と比較してみよう。韓国が日本のシェアを奪った品目で思い浮かぶものとしてDRAMがある。1980年代中盤、DRAMは日本のお家芸であった。しかし今では日本企業はDRAMから撤退してしまい、韓国のシェアが7割を超えている。

韓国が本格的生産を始めたら、規制強化3品目についても韓国製品に代替されてしまうのではないかと懸念する見解も聞かれる。しかし、これら3品目について、韓国製品が日本製品に代替する事態はほとんど考えられない。

規制強化3品目は、純度を高めるためのノウハウが長年蓄積されたものであり、莫大な研究開発費を投じたからといって、短期間のうちに韓国で同品質のものが製造できるようにならない。また製造装置を入れたからといって作れるものでもない。

さらに韓国の経済構造も規制強化3品目の国産化を難しくしている。韓国では財閥が莫大な設備投資を他国に先んじて行い、大ロット生産を行うことでDRAMのシェアを獲得した。半導体は、巨額な設備投資、大ロット生産といった規模の経済を活かすことができ、財閥による生産に適した品目である。

しかし規制強化3品目は、きわめて高度な技術の蓄積は必要ではあるものの、巨額な設備投資が必要なわけではなく、世界の大半のシェアを占めたとしても売上高は知れている。もしも自前で製造できるようになったとしても費用対効果が著しく悪い。

これら品目の生産には財閥の強みを活かせず、むしろ、小回りがきく企業による生産が適している。日本ではこのような企業が長年地道に技術を蓄積して、着実に世界のシェアを確保してきた。

韓国の財閥は、グローバルサプライチェーンをうまく利用して、最適な中間財を全世界から調達することで利益をあげてきた。もしも、韓国の財閥が中間財の多くを自ら生産するようになれば、競争力を失うリスクが高い。

韓国企業が日本から調達している中間材は、規制強化3品目だけでなくきわめて多くの品目がある。これをすべて韓国が自前で作るとなれば、財閥は費用対効果で全く割に合わない投資を大規模に行わざるをえず現実的ではない。

今後、日本による韓国に対する輸出規制強化の流れは、元徴用工問題など様々な懸案に解決の動きが見えない限り、強まっても弱まることは考えられない。しかし、現在の状況では懸案の解決に向けて動き出す可能性は低いといわざるをえない。

今回の輸出規制強化の影響は日韓で非対称であり、韓国経済にダメージを与える可能性が大きいだけに、実際に韓国の景気後退が深刻化してしまえば、日韓関係がさらにこじれることは容易に想像できる。これまでは政治的に対立しても経済に波及することはなかっただけに、日韓関係は新しい局面に入ってしまったようにも見える。

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