村田らむ×丸山ゴンザレス──「死体見たい」でいい! 樹海、ニューヨーク取材で見えた人間の本性とは?

村田らむ×丸山ゴンザレス──「死体見たい」でいい! 樹海、ニューヨーク取材で見えた人間の本性とは?

  • 日刊サイゾー
  • 更新日:2018/10/12
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ホームレスやゴミ屋敷、新興宗教などを中心に取材を続けてきた村田らむ氏と、国内外の裏社会や危険地帯の取材を続ける丸山ゴンザレス氏。コミック誌「本当にあった愉快な話」(竹書房)では、丸山氏の取材をもとに村田氏が漫画を描くコラボレーション連載『行ってはいけない!』も好評な2人は、共に、アンダーグラウンドな世界と向き合ってきたライターだ。

そんな彼らがこの夏、村田氏が『樹海考』(晶文社)を、丸山氏が『GONZALES IN NEW YORK』(イースト・プレス)を上梓した。それぞれ、何年にも渡って足を運び続けてきた「樹海」、「ニューヨーク(の裏側)」を独自の視点から切り取り、ガイドブックには載っていない魅力がまとめられている。いずれも、なかなか人がいかない場所に足を踏み入れ、“ダークツーリズム感覚”で取材現場を楽しんでいるのが印象的だ。

そこで今回は、長年ルポライターとしてさまざまな現場に足を踏み入れてきた2人に、我々でも実践できる、一歩“裏道”に踏み入れることで見え方が変わる、ダークツーリズム的観光地の楽しみ方を聞いてみた。

* * *

──現在、動画配信サービス「Netflix」で注目を集めているドキュメンタリー番組、『世界の“現実”飛行(Dark tourism)』で日本の“ダークツーリズム”スポットとして紹介された、福島や軍艦島などもまた、お2人の取材先となっていた場所でした。そもそも、取材場所を選ぶ時に、何か意識していることはあるんでしょうか?

丸山ゴンザレス(以下、丸山) 世間ではダークツーリズムとカテゴライズされているものを、意識していることもあれば、ないこともありますね。らむさんはどうです? 『樹海考』の中で、「そこにあるものを探しに行っていた」と書かれていた一節が、気になってたんです。

村田らむ(以下、村田) かっこよく言えば、ですよね。本のまえがきにも書いたんですが、大学を卒業して最初はイラストレーターになった。それでそこそこ食えるようになったからライターもやってみたいなと思ったものの、金もコネもない。だから、“そこに行けばある”ってことが重要だったんですよ。そもそもライターになるまでは旅行なんてほとんどしなかったですね。イラストで大成功してたら、取材のために“現場に行く”ってことをしてなかったかもしれない。

丸山 樹海は記事化しやすい場所だった?

村田 現金化しやすい場所ですよね(笑)。樹海の記事は読みたい人が多い。旅先を選ぶ時も、“後から記事にしやすい場所”という条件をつけたほうがどこに行くかを決めやすいんですよね。金にはならんけど行きたい場所ってのは、あんまり思い当たらない。僕が樹海に初めて入ったのはもう20年くらい前になるんですけど、その頃はまだ、取材に通っている人も少なかった。実際行ってみたら風景も気に入ったし、記事にできるだろうと思いましたね。

丸山 (金銭的に)プラスにならないなら行かない、というのは同感ですね。今はもうどこの編集部も予算をつけてくれないから……もともと予算を用意してもらったことなんてほとんどなかったんですが、ともかく、お金が出ないなら自分の好きなところに行くというほうが強くなりましたね。そもそもネタにできるところにしか、行こうと思わなくなってるかもしれない。

村田 例えばディズニーランドに行っても、記事を作れと言われれば作ることはできる。でもそういうみんなが好きな場所だと、ほかに記事にしたいってライターさんがたくさんいるじゃないですか。専門家もいますしね。なので、ライバルの多いところは自然と避けてますね。

丸山 でも、らむさんはたまに(ライバルの多い現場に)行きますよね。座間(2017年10月に発覚した「座間9遺体事件」の現場)とか。

村田 大島てるさん(事故物件公示サイト「大島てる」の代表)のイベント「事故物件ナイト」に出ているので、そこでネタにしたいなあという事件の現場は写真だけ撮りに行ってますね。でも、結局ハイエナにもなれていないというか、行くのはだいたい現場からマスコミがいなくなってからですね。捜査が進行中の仕事は、警察やらなんやらに怒られるから怖いんですよ。それに僕がやらなくても大マスコミ様が人海戦術で取材してますしね(苦笑)。

丸山 実際、福島取材に入ったのも、らむさんはだいぶ時間を空けてましたよね?

村田 東日本大震災から、5年経ってからでしたね。震災直後は、都内から逃げていってしまった人の代打の仕事がたくさん入ってきて、足を運ぶ暇もなかったんですよ。逆に、ゴミ屋敷なんかはブームになる前からずっと取材をしてきたんだけど、気がついたら記事を読んだ関係者がテレビ番組で取り上げてて、いつのまにか僕が後追いみたいになってました。それはちょっと、悔しさはありましたね。

──そういう点では、ゴンザレスさんはテレビをうまく活用されていますよね。『クレイジージャーニー』(TBS)への出演によって、ファンの幅が広がったのではないでしょうか?

丸山 実際、今回出版した『GONZALES IN NEW YORK』も、『クレイジージャーニー』がきっかけだったんですよ。編集さんがテレビで放送していたニューヨーク編をたまたま見ていて、「これだけで本になる!」と連絡をくれたんです。ニューヨークへは足掛け5年ほど通っていたので、それなりにネタもあったし、写真も撮り溜めていました。「じゃあ、やってみよう」となったんです。いざ、本にすることが決まって、普通にノンフィクションを書いても面白くないので、あえて映像に慣れているたちも読みやすいものを作ろうってなって。コンセプトは “読むクレイジージャーニー”です!(笑) そういう感じだったので、テレビ番組を意識したのも間違いないですね。

──今回、樹海とニューヨークをそれぞれテーマにされていらっしゃいましたが、ほかに“ダークツーリズム”的に楽しめる、オススメの場所などはありますでしょうか?

村田 韓国スラムかな。釜山のスラムには、日本人の墓石でできている階段とかびっくりするものがたくさんありました。九龍村の動画をYouTubeにアップしたら再生回数がめちゃくちゃ伸びましたし、興味のある人は多いのかなあと思いますね。あと、中国南部の犬肉祭りも面白かったですよ。ルポ記事を出したらネットでめちゃくちゃ叩かれましたけど(笑)。

丸山 確かに、そういうイベントのある時期に合わせていくのはいいかもしれないですね。あとは、海外なら、日本人観光客が行かない場所に行ってみればいいと思います。見極めるポイントは、汚い駅(笑)。地下鉄とか鉄道が綺麗に整備されて“いない”場所、つまりローカル感が強いところがオススメです。台湾の高雄も、掩体壕(戦闘機の防空壕として太平洋戦争末期につくられた格納施設)を探すために、都心部からは反対の場所に行ったんですが、ローカルな景色が広がっていて、面白かったですよ。単純に、まだ新しくなり切っていない風景で、特徴的なのはオレンジっぽい電灯が続く路地ですね。そういう場所を見ているだけでも、まったくの異空間に来た感覚を味わえるんじゃないかな。

村田 韓国も台湾も、本当に古い建物が残ってますからね。一歩踏み込んでみるだけでいいんですよ。だって、今さらエッフェル塔見たって、感動ないでしょう? 実物を見てないにしても、「ああ、見た事あるわー」ってなっちゃう。どこか、宝探し的な要素というか、偶然性があったほうが楽しいですから、そういうのを探しに行ってみて欲しいですね。そういう意味で、樹海は宝探し的要素が強い場所かな。最初に死体を見つけた時は、やっぱり興奮しましたから。

丸山 これはオススメしないですけど、僕の場合だと、「無事に戻ってこれた!」というのがものすごい喜びになりますね。ニューヨークでプッチャー(麻薬の売人)の家に行けた瞬間とかすごく興奮してるんだけど、「取材できる! やった!」っていう感情だけでは済まない、リスクのある場所ですからね。

──それは、体験したくないですね(笑)。最後に、読者の皆さんに向けて、書籍のオススメポイントもお願いします。

村田 僕は、樹海という場所を単純に楽しんでもらえたらなあと思っています。だって、そもそもれっきとした観光地ですから(笑)。ただね、海外の雑誌の企画で樹海を案内したことがあるんですけど、なんやかんやで、彼らは死体が見たかったみたいなんですよね。そもそも、外国では「Suicide Forest」って呼ばれてて、樹海は自殺スポットとして世界的にも有名な場所で、興味を持っている人は少なくない。良識のあるお偉い人たちには「不謹慎だ」って怒られるかもしれないけど、単純に死体を「見てみたい」という好奇心のみで樹海に足を運んでみてもいいと思います。死体を目の当たりにして、自分の中の何が変わって、何が変わらないか、確認して欲しいですね

丸山 僕も、社会正義的なことを振りかざすつもりは一切ないんです。あえて何か言うことがあるとしたら、ダークツーリズム的な場所に一歩踏み入れると、人の本性を見れると思うんです。そういう現場にいると、正義や常識って自分たちが思っているようなもんじゃないんだなっていうのを知ることができるというか。場合によっては、正義感や常識は人を殺すことだって有り得るんだって思うこともありましたから。とはいえ、なんの責任も取れないので、行きたい人は自己責任でお願いします(笑)。本も、買ってもらえたら嬉しいです。

■プロフィール

●村田らむ(むらた・らむ)
1972年、愛知県生まれ。ライター、漫画家、イラストレーター、カメラマン。ホームレスやゴミ屋敷、新興宗教、樹海などをテーマにした体験・潜入取材を長年行ってきた。著書に、『ホームレス大博覧会』『禁断の場所に行ってきた!』(共に鹿砦社/Kindle版も発売開始)、写真集『廃村 昭和の残響』(有峰書店新社)ほか、多数。最新刊『樹海考』(晶文社)を7月27日上梓。10月26日(金)には、イベント「村田らむ 誕生日記念46歳画像祭!! アラフィフになっても肉体労働ライターですスペシャル!!」が高円寺Punditで行われる。

▽イベント詳細はコチラ
http://pundit.jp/events/3789/

●丸山ゴザンレス(まるやま・ごんざれす)
1977年、宮城県生まれ。ジャーナリスト、編集者、国学院大学学術資料センター共同研究員。国内外の裏社会や危険地帯の取材を続ける傍ら、『クレイジージャーニー』(TBS系)に出演するなど多方面で活動中。著書に、『アジア「罰当たり」旅行』(彩図社)、『世界の混沌を歩く ダークツーリスト』(講談社)など。最新刊『GONZALES IN NEW YORK』(イースト・プレス)を8月17日上梓。

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