今夜放送 福山雅治主演×是枝裕和監督『そして父になる』涙が止まらない

今夜放送 福山雅治主演×是枝裕和監督『そして父になる』涙が止まらない

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  • 更新日:2017/09/16

福山雅治主演×是枝裕和監督の映画『三度目の殺人』公開記念で、『そして父になる』が今夜放送。
フジテレビ土曜プレミアム9月16日(土) 21:00~23:30。

『そして父になる』は、第66回カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞。
10分以上のスタンディングオベーションを受け、スティーヴン・スピルバーグは「初めて観た時から本作が賞に値するという確信は揺るがなかった」と絶賛。
ニコール・キッドマンは「後半1時間、涙が止まらなかった」と言った。

こういう絶賛の言葉が、宣伝として流れてくると「ホントかよ」とついつい思ってしまうが、ホントだった。
劇場でも、泣く声を抑えようとする音が、あちこちから聞こえてきた。
後半1時間どころじゃなかった。
観終わった後も、思い出して泣いてしまう。
それは、その場だけで泣かせようとしていない作品だからだ。

6年間育てた息子が、他人の子だったら?
自分だったらどうするだろうか?
誰もが簡単に答えを出せない。
出せたとしても、映画を観ると、また考えさせられるだろう。
問いを、ていねいに描いた120分だ。

観客は、ふたつの家族と寄り添うことになる。
福山雅治が演じる野々宮良多は、一流大学を出て、一流企業に勤め、高級マンションで妻と息子と暮らす。
テレビドラマ「ガリレオ」や「龍馬伝」でみせたカッコいいキャラクターの福山雅治ではなく、ひとりの、エリートであり傲慢ですらある人間としての父親を見事に演じた。

取り替えられていた相手側の家族の父親・斎木雄大を演じるのは、リリー・フランキー。
三人のこどもと妻(真木よう子)がいる。ボケて、こども返りしたおじいちゃんもいる。
電気屋を営んでいる。
この親父が、すごくいい。
妻「五人でしょ、こどもは。私一人じゃめんどう見きれませんよ」
父「え、五人目って俺か?」
といった会話を交わすような、ぐーたらだけど、こどもたちとよく遊び、よく笑う父親。

ふたつの家族、ふたりの父親は、対照的に描かれる。
野々宮家では、こどもは一人で風呂に入るが、斎木家では、親父とこどもが一緒に入る。
斎木雄大は、風呂場の水を手ですくい口に含んで、胸をポンポンと指さす。
こどもが胸を押すと、ぷしゃーっと水を吐き出す。
水はこどもの顔にかかって、大笑い。こどもも笑う。
そういった明るさがある。

野々宮良多は、都心のホテルのような高級マンションに住む。
やりがいのある仕事、ひとりっこ、経済的余裕のある家庭。
これは、少し前まで我々が目指していたであろう家族の姿だ。
だが、それが、少し寂しく思えてくる。

観ている側は、お金持ちじゃなくても、明るく、こどもが3人いて、おじいちゃんがいて、親父もこどもみたいな大家族である斎木家のほうが、ノスタルジックな感傷も込みで、楽しそうに思えるし、こどもが幸せに思えてくる。

もちろん、単純に図式化して描いているわけではない。
福山雅治が演じる野々宮良多は、傲慢に見えると同時に、弱い人間にも見える。
負け知らずの人生を送ってきた父親に、病院でこどもを取り違えられるという降って湧いた災難。
それにどう対峙しようかと悩み苦しんでいる男だ。

後半、堪えられず泣いてしまったが、ただスッキリするための涙とは違う。
希望は描かれるが、最後に単純な救いを提示するわけじゃない。
観終わっても、自分に近いところにいつまでも「想い」が残る。
だから、観終わっても、涙がこぼれてくるし、今もこうやって書いていると、思い出してうるうるしてしまう。

エンディング曲は、グレン・グールドが演奏する「ゴールドベルク変奏曲~アリア」
おそらく、グールドが生涯を閉じる約1か月前に録音されたバージョン。
機嫌よくハミングしているグールドの声が聞こえる。
何かから解放されたような自由自在な演奏だ。
劇場公開時に書いたレビューを改稿
(米光一成)

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