「プチプラ一戸建て」は中堅住宅メーカーで? 見極め7か条

「プチプラ一戸建て」は中堅住宅メーカーで? 見極め7か条

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  • 更新日:2017/08/12

注文住宅を建てる場合、土地が有るか無いかで資金繰りは全く違ってくる。たとえば、住宅金融支援機構の『2016年度フラット35利用者調査報告』では、土地がある人だと注文住宅の建築費の全国平均は3308.2万円だが、土地を買って注文住宅を建てた人は、土地代が1291.4万円、建築費が2663.3万円で、合計3954.7万円に増える。

土地から始めるケースだと、必要な予算は4000万円近くに増える上、建物にかけられる予算は2600万円台に減少する。土地があって、建物だけのケースに比べて掛けられる費用は645万円ほど少なくなるわけだ。

ちなみに、住宅業界の団体などによって構成される住宅生産団体連合会による、『2015年度戸建注文住宅の顧客実態調査』では、土地と建物を合わせて取得した人の合計予算は4671万円。このうち建物の建築費は3244万円となっている。それが、建て替えで土地取得のない人の建築費は3816万円に増える。この調査は大手住宅メーカーで建てた人が中心なので、フラット35の調査結果よりは少し高めの数値になっている。

■土地探しからメーカーに依頼する手も

注文住宅では、まずはこの予算管理がたいへん重要になる。土地探しから入ると、いい場所にこだわった結果、当初予定していた土地取得予算を大きく超えてしまい、建物の予算を大幅に削らざるを得ず、結果、バランスの悪い住まいになってしまったといったケースが少なくないといわれている。

このため、大手住宅メーカーの担当者はこんなふうに話す。

「大手はグループ会社に不動産仲介会社を持っています。土地情報にも強いので、できれば土地探しの段階からご相談いただければ、予算とご希望に合わせて土地を探し、それに合った住まいづくりをご提案できます」

もちろん、売上げを上げるための戦略のひとつではあるだろうが、まずは、自分たち合う注文住宅を建ててくれそうな会社を見つけて、そこに土地探しから一括してお願いしてみるのもひとつの方法だろう。

■注文住宅を建てるための三つの工法

そのためには、ある程度の一戸建てに関する知識を身につけて、自分たちに合う物件、会社を見つける必要がある。そのために、まずは一戸建ての工法について知っておく必要がある。

一戸建ての主な工法としては、次の三つを挙げることができる。

(1)在来工法
木の柱、梁、筋交いを組み合わせて建物の骨組みを形成していくため、木造軸組工法ともいわれ、またわが国古来の工法であるため在来工法ともいわれる。大手では住友林業が代表格で、中堅ビルダーと呼ばれるタマホームや中小工務店のほとんどがこの工法を採用している。

そのため、依頼先の規模などによって価格が大きく異なる。大手では3.3㎡当たりの建築坪単価は80万円、90万円に達するが、中堅ビルダーならその半分程度で可能で、中小の工務店だと30万円台、40万円台などもある。柱、梁で支えるので、開口部をとりやすく、間取りの自由度も高い。また、増改築も比較的容易といわれる。

(2)プレハブ工法
主要部材を工場で生産、現地では組立て作業がメインになる。工場生産比率が高いため、品質管理が徹底し、信頼度が高まる。部屋単位まで工場で生産するユニット工法だと工期も極めて短くなる。

大手住宅メーカーの多く、大和ハウス工業、積水ハウス、積水化学工業(セキスイハイム)、旭化成ホームズ(ヘーベルハウス)、パナホームなどがあり、主要部材によって鉄骨系、木質系などに分かれる。全国メーカーであり、研究開発費、広告宣伝費などもかかり、価格はかなり高めだが、その分信頼度は高いといっていいだろう。

(3)2×4工法
2インチ・4インチの角材から成るパネルで壁、床、天井の六面を構成する。カナダ、アメリカなどの北米においてはこの2×4工法が在来工法。面で支えるため、断熱性・気密性が高く、耐震性や耐火性などに優れている。その分、開口部に制約があり、間取り変更、増改築などにも難しい面がある。

大手では三井ホームが代表格で、スウェーデンハウス、三菱地所ホームなども実績が豊富で定評がある。ただし、いずれも価格的にはかなり高めで、設備などを含めると坪単価100万円を超えるケースも珍しくない。最近は、2インチと6インチの組み合わせで、一段と性能がアップした2×6工法の住宅も増えている。

■住宅展示場で自分たちに合う会社を探す

それなりの予算があって、全国的に名前を知られた大手住宅メーカーに依頼できるのならさほど不安はないが、そうでなければ、自分たちの予算のなかでどんな建物が建つのか、いろんな会社を当たってみる必要がある。

そこで最も手っとり早い方法が、総合住宅展示場の活用。少なくとも10社から20社以上の住宅メーカーが出展しているので何かと便利。しかも、以前はほとんどが全国ブランドの大手メーカーだったが、最近はタマホーム、アキュラホームなどの中堅ビルダーも出展を増やしており、まだまだ少ないとはいえ、地元を中心に活動しているビルダーがモデルルームを建てているケースもある。

ひとつの住宅展示場で、そうした地場のビルダーから全国区のメーカーまで比較検討できる。しかも、在来工法、プレハブ工法、2×4工法まで揃っているはずだし、展示場によっては鉄筋コンクリート造のモデルハウスもあったりする。企業規模の大中小、そして工法の違いなどを組み合わせて見学、自分たちに合う会社を見つけるようにしたい。

実際、国土交通省の『2016年度住宅市場動向調査』をみると、注文住宅を建てた人に、建てた住宅を選んだ理由を聞いたところ、トップには「信頼できる住宅メーカーだから」が47.6%でトップに上がっている。少なくとも、2000万円、3000万円単位のお金をかけるのだから、何よりも信頼できる会社であることが優先されるようだ。

そして、その会社をどこで見つけたかを聞くと、「住宅展示場で」が50.8%の1位。2位の「知人等の紹介で」の26.2%の2倍近い支持率を集めている。

■価格と性能のバランスを考える

最近の大手住宅メーカーの決算資料をみていると、受注実績における1棟当たりの単価は3000万円台の後半が中心で、住友林業、三井ホーム、ヘーベルハウスなどでは4000万円前後に達している。それに対して、中堅ビルダーのタマホームやアキュラホーム、アイダ設計などでは2000万円前後で、中心の工務店であれば2000万円以下でも可能なところが少なくない。

当たり前のことだが、高いには高い理由があり、安いには安い理由がある。

価格が高い大手住宅メーカーの住まいは基本性能が高く、設備も豪華で、デザイン面でも優れたものが多い。自社の研究所を持ち、開発スタッフも人材が揃っているだけに、それは当然のことだろう。

それに対して、中堅ビルダーや中小の工務店は、それを追いかけることで開発費や間接費などをかけずに低価格で提供できる仕組みを作り上げている。それだけに、基本性能や設備、デザインなどのさまざまな面で見劣りするのが当たり前といわれてきた。

しかし、最近は中堅ビルダーの追い上げも鋭くなっていて、大手と同じように標準仕様で長期優良住宅の認定を取得できるようになっているし、若干の追加オプションで、いま話題のゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)も可能になっている。

「大手で建てた」といった、こだわりや見栄を張らなくていい人であれば、中堅ビルダーの商品のなかから、そうしたプチプライスな価格帯で、お洒落な住まい「プラチナ一戸建て」を探してみるのもいいのではないだろうか。

ただ、中堅以下のビルダー、中小の工務店だと経営面での不安がないのでもないので、企業としての方向性、理念、経営基盤などを確認しておく必要がある。

■中堅ビルダーや中小工務店を見極める7か条

(1)企業として安定している
いい家を建てる工務店でも、経営基盤がシッカリしていないと完成後のメンテナンスなどが不安。都道府県庁の窓口で建築業許可書類の決算書を閲覧して、経営内容などをチェックしておく。

(2)自社施工で、実績が豊富
他社に丸投げなどのいいかげんな会社ではなく、設計から竣工まで一貫施工体制が確立されていて、これまでの実績も豊富であること。できれば、これまでその会社が建てた住まいを見せてもらうのがいいだろう。

(3)きめ細かな対応力がある
自分たちの考えを押しつけるのではなく、お客の希望や考え方を良く聞いて、きめ細かな対応を図る力があるか。お客と一緒に住まいを作り上げていくといった姿勢があるかどうか。

(4)建築現場が整理整頓されている
できれば、実際の施工現場をみて整理整頓されているか、職人は生き生きと働いているかなどをみてみる。

(5)住まいへの夢、理念を持っている
経営者が住まいへのポリシーを持ち、それがスタッフにまで浸透しているか。単に売ればいい、建てればいいでは満足のいく住まいにはならない。

(6)後継者がいる、育成している
住まいは完成してからがスタート。工務店とは20年、30年の付き合いが必要。しかし、中小工務店では高齢化が進んでいるので、後継者がいるのか、育成できているのかなども重要なポイントになる。

(7)性能保証やアフターサービスがあるか
30年などの長期の保証制度、それを裏付けるための定期点検などのアフターサービス体制はどうなっているのかなどもみておく。

住宅ジャーナリスト・山下和之
1952年生まれ。住宅・不動産分野を中心に新聞・雑誌・単行本・ポータルサイトの取材・原稿制作のほか、各種講演・メディア出演など広範に活動。主な著書に『家を買う。その前に知っておきたいこと』(日本実業出版社)、『マイホーム購入トクする資金プランと税金対策』(学研プラス)などがある。『Business journal』、住宅展示場ハウジングステージ・最新住情報にて連載。

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