『SHOE DOG』を読んでいるのは、どういう人たちなのか?

『SHOE DOG』を読んでいるのは、どういう人たちなのか?

  • ほんのひきだし
  • 更新日:2017/12/06
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SHOE DOG

著者:フィル・ナイト 大田黒奉之

発売日:2017年11月

発行所:東洋経済新報社

価格:1,944円(税込)

ISBNコード:9784492046173

今、『SHOE DOG』が売れています。なんと発売1か月で13万部突破だとか。翻訳本としては珍しいくらいの売行きです。

この本は、ナイキの創業者が自ら語る創業秘話……といっても、実はこの「創業者自らが語る創業秘話」的な書籍は、ノンフィクション界には珍しくありません。

そんな中でなぜこれが売れたのか? 今回はデータから、その実態に迫りたいと思います。

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発売直後から売れ行き好調! “読書芸人”でさらに拍車

まずは、発売からこれまでの売れ行きを見ていきましょう(日販 オープンネットワークWIN調べ)。

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多くの書店さんに商品が並んだのが、10月27日、28日あたり。発売からいきなりいい動きを見せていますが、その後インターネットなどでじわじわ拡散され、いくつかの山ができていきます。

大きく動いたのは11月17日。この大きな山は、前日に放送された「アメトーーク!」(テレビ朝日系)の「本屋で読書芸人」で取り上げられたことが影響しているようです。ちなみに本書を選んだのは東野幸治さんとのこと。

ファッション好き・スポーツ好きを取り込んだことが売上加速の要因に

それでは続いて、読者層を見てみましょう。

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読者は80%が男性です。「ビジネス書」「経営者の本」ということで40代・50代が多めですが、それでも若い男性層がここまで購入しているのは珍しいことです。ファッションや文化といったことに興味がある方、スポーツに興味のある方などが幅広く読者として取り込まれているものと思われます。

『SHOE DOG』売上加速の背景には、普段ビジネス書やノンフィクションを手に取る習慣がない方にも広くリーチしたこと、テレビ、それもバラエティで取り上げられたことが要因になっていそうです。

『SHOE DOG』を買った人が読んでいるのは……

次は、併読本を見ていきましょう。下の表は『SHOE DOG』読者が過去2年間で購入したもののランキングです。

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なんと、第1位はダントツで『陸王』でした。

これを見て「あのドラマの影響?」と思った方も多いかと思いますが、実はドラマ開始後に期間を絞って併読本を調べてみると、『陸王』はランキング10位以内から外れてしまいます。

つまりこの読者群は、『陸王』を発売すぐに読んでいて、その後『SHOE DOG』を読んだ人々だということ。陸上好き、シューズ好き、頑張る企業好き、どのあたりの層かが気になるところです。

第2位に、『SHOE DOG』と同じ東洋経済新報社から刊行された『LIFE SHIFT』が入っているのも面白いところ。HONZもそうですが、東洋経済オンラインなど、インターネット上の“本を選ぶ場所”が決まっていて、そこで紹介された本はまず手にとってみるという方は増えていそうです。

そのほか『蜜蜂と遠雷』や『騎士団長殺し』といった、今年を代表する小説もランキングに入っています。ビジネス書の併読本に、併読本には小説が多く並んでいるのも珍しいこと。特に最近の併読本は、「アメトーーク!」の影響か、番組内で紹介された本が多めです。

最後に、注目の併読本をいくつか紹介していきます。

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あの同族企業はなぜすごい

著者:中沢康彦

発売日:2017年11月

発行所:日本経済新聞出版社

価格:918円(税込)

ISBNコード:9784532263584

企業ものの本でよく読まれているのがこちら。今春『あの会社はこうして潰れた』が売れましたが、それと同じ「日経プレミア」シリーズのタイトルです。

お家騒動、身びいきなどの悪い印象もないわけでもありませんが、実はファミリーだからこその強さや経営の姿があるのだとか。星野リゾートや獺祭の話といった身近な話題も多く、興味がつきません。

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ランナーズ 2018年 01月号

著者:

発売日:2017年11月22日

発行所:アールビーズ

価格:980円(税込)

JANコード:4910092990188

ビジネス誌と一緒に読んでいる方が多い中、「ランナーズ」の存在がキラリと光りました。さすがナイキ、ランニング雑誌や、「Tarzan」や「Number」といったスポーツ誌のランニング特集との併読が多く見られます。

ナイキ自体はランニングシューズだけでなく、さまざまなスポーツのウェアを出していますが、最近のランナー人口の増加を考えても、ここの反応が一番大きく出ているといえそうです。

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戦争調査会

著者:井上寿一

発売日:2017年11月

発行所:講談社

価格:950円(税込)

ISBNコード:9784062884532

幣原喜重郎内閣が敗戦直後に立ち上げた国家プロジェクト、「戦争調査会」の真相に迫る一冊。日本人自らが開戦や敗戦の原因を明らかにすべく取り組んでいたプロジェクトなのですが、GHQによって廃止を余儀なくされ、未完に終わります。

プロジェクトは完成しなかったものの、そのために集められた膨大な資料や会議の議事録はそのまま残っているそう。これを読み解くことは、歴史の教訓を学ぶことそのものなのかもしれません。

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レッド・プラトーン

著者:クリントン・ロメシャ 伏見威蕃

発売日:2017年10月

発行所:早川書房

価格:2,700円(税込)

ISBNコード:9784152097163

HONZでも次々にレビューされている話題の一冊は、『SHOE DOG』の併読本の中にもありました。メイン読者が50代男性であることが、『SHOE DOG』と重なります。

詳細は熱いレビューに譲りますが、まさに今年のベスト級ノンフィクション。平和について考えるためにも命について考えるためにも、世界情勢について考えるためにも読んでおきたい作品です。

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90秒にかけた男

著者:髙田明 木ノ内敏久

発売日:2017年11月

発行所:日本経済新聞出版社

価格:918円(税込)

ISBNコード:9784532263614

『SHOE DOG』の併読本ということで、タイトルだけ見ると「90秒何かをやっているアスリートの本」ではないかと思ってしまいますが、90秒にかけているのは……「高田明」さん。そう、ジャパネットたかたの創業者です。

カメラ店主だった高田さんが“テレビ通販王”としてお茶の間になじむまでにかかったのは、たった10年間。この急成長を支えた行動原理や考え方に迫る一冊です。

ドラマ「陸王」も、そろそろクライマックスに突入。『陸王』が注目されているタイミングで『SHOE DOG』が発売されたのも、何かの縁に思えてきます。

靴作りの熱さに触れた人たちが、ナイキの創業物語に触れ、お正月の各種駅伝でランナーたちの足もとをチェックする……そんな流れになったら面白いですね。年末年始に向けてどんな盛り上がりを見せていくのか、楽しみでなりません。

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(「HONZ」で2017年11月29日に公開された記事に、一部編集を加えています)

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