「恥を知りなさい!」演説の三原じゅん子に、影響を与えた政治家たち

「恥を知りなさい!」演説の三原じゅん子に、影響を与えた政治家たち

  • 文春オンライン
  • 更新日:2019/06/27

安倍晋三首相に対して野党が提出した問責決議案が25日の参院本会議で否決された。このとき、反対討論の自民党代表として壇上に立った三原じゅん子参院議員のスピーチが話題を呼んでいる。三原氏がどのような考えを持っているのか、過去の発言を追った。

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三原じゅん子 自民党・参院議員
「民主党政権の負の遺産の尻拭いをしてきた安倍総理大臣に感謝こそすれ問責決議案を提出するなど全くの常識外れで、愚か者の所業とのそしりは免れない」
NHK政治マガジン 6月24日

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三原じゅん子氏 ©文藝春秋

趣旨説明で立憲民主党の福山哲郎幹事長は「安倍総理大臣は、なぜ予算委員会に出てこないのか」と与党によって約3ヶ月にもわたる衆参予算委員会の審議拒否を責めたが、これに対して自民党の三原じゅん子氏は「愚か者の所業とのそしりは免れない」「恥を知りなさい」と反論した。

「大切な年金を『政争の具』にしないでいただきたい」

もう少し三原氏の討論の内容を見てみよう。

「国民にとって大切な大切な年金を『政争の具』にしないでいただきたい」と切り出した三原氏は、「野党のみなさんは年金を増やす具体策を持っているのでしょうか?」と問いかけ、「民主党政権の3年間、年金支給額は増えるどころか、引き下げられていた。はっきり言って無為無策だった」と過去に目を向けた。

その上で「民主党政権の『負の遺産』の尻拭いをしてきた安倍首相に感謝こそすれ、問責決議案を提出するなど全くの常識外れ」と非難した(zakzak by 夕刊フジ 6月25日)。「まさに悪夢だったのです」とも言っている(日刊スポーツ 6月26日)。

年金問題を政争の対象にしないでほしいというのは安倍首相の主張とまったく同じ。「悪夢」という表現も安倍首相が野党攻撃のために使って話題になったものだ。また、野党からの「具体案」は19日の党首討論で示されたが、安倍首相はほとんどまともに応えなかった。

今回の三原氏の反対討論は、安倍首相のいつもの主張を歯切れよくしたものにすぎない。日刊スポーツの政治コラム「政界地獄耳」によると三原氏の登板は安倍首相の指名だという(6月26日)。

過去にはあの問題発言

三原じゅん子 自民党・参院議員
「皆様方にご紹介したいのがですね、日本が建国以来大切にしてきた価値観、八紘一宇であります」
ハフポスト日本版 2015年3月17日

三原氏の発言でよく知られているのが、この「八紘一宇」だ。2015年3月16日の参院予算委員会で、多国籍企業の租税回避について質疑している際、唐突に「八紘一宇の理念というものが大事ではないかと思います」と語り始めた。

「八紘一宇」は「世界を一つの家とする」という意味で、太平洋戦争中、日本の侵略を正当化するための標語として使われていたもの。元は「日本書紀」に記載されている神武天皇の即位建都の詔の一節に由来しており、本来は国内の統合を意味する言葉だったが、昭和前期の頃から対外政策の基本理念として用いられるようになった。

この発言は問題視されたが、三原氏は「私とて、この言葉が戦前に国威発揚のために使われたことは存じております」とした上で、戦争の原体験を持つ政治家はそのような意味で捉えたが、「私たちにはそうした体験はありません。だからこそ、この言葉が持つ本来の意味を評価する必要があると思います」と反論してみせた(東洋経済オンライン 2015年4月5日)。自分は戦争を知らないから、戦前のスローガンを再評価するという考え方は「教育勅語」をめぐる与党の政治家の発言とよく似た構図だ。

「八紘一宇」について「『日本人は永遠に言葉にとらわれつづけるべきだ』と考えるか、あるいは『戦争を乗り越えて、新しい未来を作る』と考えるかによって分かれる」と語っているが、新しい未来を作るならわざわざ戦前のスローガンを持ち出す必要はあるまい。

三原じゅん子 自民党・参院議員
「神武天皇の建国のそのときからの歴史というもの、全てを受け入れた憲法を作りたい」
ハフポスト日本版 2016年7月10日

2016年7月の参院選でトップ当選した三原氏だが、選挙特番の中で上のようにコメント。さらに司会の池上彰氏に「神武天皇は実在の人物だったという認識なんでしょうか?」と問われて「私はそういう風に思ってもいいのではないかと思っています」と答えた。

初代天皇とされる神武天皇は神話的な人物であり、史実を伝えるものはほとんどない。池上氏に指摘された三原氏だが、「そういう考えであってもいいと思います」と言い張った。

「(演説が)うまい。むちゃくちゃ感情に訴える」と評される一方で

三原じゅん子 自民党・参院議員
「がん撲滅は私のライフワークだ」
産経ニュース 2015年2月23日

三原氏は2010年に参院選で当選した。子宮頸がんを患った経験から、安心してがん治療ができる社会を構築するため、自ら政治家を志願したのだという。ほかにも児童虐待防止、リベンジポルノ被害防止などを訴えている。

元女優ということもあり、演説は抜群に上手い。2014年12月の衆院選では各地で応援弁士として活躍。竹下亘前総務会長(当時は復興相)は「三原さんの活躍で自民党があちこちで救われている姿を目の当たりにしている」と語り、茂木敏充経済再生担当相(当時は選対委員長)も「(演説が)うまい。むちゃくちゃ感情に訴える」と絶賛していた。ただし、産経新聞の同記事によると、党内での評判は「彼女は演技者。他人に書いてもらったセリフを話しているだけではないか」というものだった。

三原じゅん子 自民党・参院議員
「西田先生の政治姿勢とか思想とかに、ものすごく影響を受けたんですね」
「週刊西田」 2013年12月10日

参院予算委員会では自民党の西田昌司参院議員の隣席に座り、さまざまなことを教わったという。

西田氏は保守思想を持つ人物として知られているが、国民主権や天賦人権説にも否定的な態度を取り続けている。西田氏のホームページには「日本人の生き様を伝えることにより、命を超える価値があることを子供達に気づかせることが必要です」などと記されていた(2006年10月1日)。

三原じゅん子 自民党・参院議員
「世界が激動する現在、それをフォローできるのは、安倍晋三首相しかいない」zakzak by 夕刊フジ 2018年5月7日

三原氏は安倍首相に心酔しているようだ。森友学園問題や自衛隊の日報問題が紛糾していた最中に受けたインタビューでは、「与党議員として、じくじたる思いがある」としつつ、「『長期政権の緩みで生じた』という批判もあるが、私は関係ないと思っている」と断言。あくまで悪いのは官僚機構だとした。

2014年に安倍首相が『笑っていいとも!』に出演した際はブログで「総理は人の心を掴む天才だ」と絶賛。「普段なかなか見れない総理の笑顔や笑い声が聞けて、皆様も安倍総理の気さくさに心惹かれたことでしょう」と記していた(2014年3月21日)。

三原氏は菅義偉官房長官の側近としても知られている。もともとは比例区で出馬した三原氏だが、2016年の参院選で神奈川選挙区に鞍替え。神奈川といえば菅氏の地盤である。その後、三原氏は菅氏の選挙応援演説に付き従うようになった。

五輪相に就任するのではないかという報道も

三原じゅん子 自民党・参院議員
「東京五輪に向けたテロ対策や、受動喫煙問題の解決を前進させたい。これは譲れない。そのために私は国会議員になったのだから」
zakzak by 夕刊フジ 2018年5月7日

あれ? 政治家になったのは、がん撲滅のためじゃなかったっけ?

東京五輪といえば、森喜朗・東京五輪組織委員会会長の「秘蔵っ子」である橋本聖子自民党参院議員会長を逆転して三原氏が五輪相に就任するのではないかという報道もある(『週刊ポスト』5月17・24日号)。

竹中平蔵元総務相は「東京オリンピック招致も全部、首相官邸主導でやっている。菅さんのシナリオだと思う」と語っていたが(プレジデントオンライン 2014年5月26日)、菅氏のシナリオで出来た東京五輪に、側近の自分が五輪相として立つことができれば、まさに「晴れ舞台」だ。

八紘一宇を大切にし、神武天皇の実在を信じ、保守思想を学びつつ、安倍首相の言葉をコピーし、菅官房長官に重用される。こういう人が現在の自民党のメインストリームにいるというのが現実である。

(大山 くまお)

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