“子宮系”にハマった妹は自殺未遂を犯した――信じる心が“狂気”になる、ありふれた可能性【後編】

“子宮系”にハマった妹は自殺未遂を犯した――信じる心が“狂気”になる、ありふれた可能性【後編】

  • サイゾーウーマン
  • 更新日:2019/05/16
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誰にでも、心が弱ってしまう時はあります。救いを求める先が、信頼できる家族や友人ではないこともあるでしょう。「こうすれば幸せになる」と語りかける心理カウンセラー、スピリチュアリスト、霊能力者。彼らを見ていると、「私を救ってくれそう」「この人たちのようになれるかも」と、次第にそんな気持ちが膨らみ……ちょっと待って! それ、本当に信じて大丈夫? スピリチュアルウォッチャー・黒猫ドラネコが、無責任なことばかり言っている“教祖様”を、鋭い爪でひっかきます。

3年ほど前、私の妹は、“子宮委員長はる”と、心理カウンセラー・心屋仁之助氏に心酔していました。「好きなことだけして生きていく」「いい人をやめてスッキリする」という彼らの教えに従って、妹は育児を放棄し、当時勤めていた会社を突然退職。そうこうするうち、妹の夫から「もう限界」とSOSが……。私は妹をなんとか目覚めさせようと、妹の夫も含めた3人で、家族会議を開きました。

(前編はこちら)

妹は“教祖様”になる寸前だった

そこで出た話によると、妹は子宮委員長らのセミナーに通うたびに、「布ナプキン」「パワーストーン」「メモリーオイル(油の入ったミニ香水瓶)」などのグッズを購入していて、その数は増えていくばかりだったそう。物欲のままに買ったブランド物のバッグや洋服なども含め、これまでの浪費は数百万円まで膨れ上がっていました。妹のお財布から出たお金ならいいですが、もちろんそんなはずはなく、夫婦の貯金や、日々の生活費まで消えていました。

さらに妹は、タロットカードなどを用いた別のスピリチュアル系講師になるため、毎月数万円を支払って「認定講師講座」に通っていることが発覚。新しくブログを開設し、参加費5,000円の“お茶会”を開こうと参加者募集をかけていたところで、もはや新たな“教祖様”となるのも時間の問題……という状況だったのです。

私は、金遣いの荒さや育児放棄について妹を追及しましたが、彼女は「何が悪いの?」と笑うだけ。しかし、子宮委員長はるの奔放な生き方や、心屋氏の「迷惑をかけていい」といった思想について指摘すると、途端にヒステリーを起こし、「子宮の声を聞いて、自分がやりたいようにして、幸せになった人もたくさんいる! 宗教なんかじゃないのに!」と私たちを怒鳴りつけました。

高圧的な態度の妹に対し、夫である義弟は極めて冷静。離婚届を妹の目の前に出し、「身勝手を繰り返して開き直る君を、もう受け止められない。このままではどちらにせよ子どもに影響が及ぶので、離婚するか、考えを改めるか選んでくれ」と告げました。いつも穏やかな義弟のその言葉には、強い“怒り”がにじんでいたように思います。

夫と子どものことも、“子宮系”の教えも捨てられない妹は、離婚を告げられたことで激昂し、ついに「もう私、死んでいい!? なんでこんなに責められるの!」と言って、ベランダに飛び出して柵に足をかけました。ここはマンションの5階。飛び降りれば、命を落とす可能性も……。義弟は泣き叫んで暴れる妹を抱えて部屋に押し戻し、その間に私は、家にあった包丁やハサミなどの刃物類を、すべて見えないところに隠しました。パニック状態の妹は、「死なないから1人にして!」という叫びを残し、ついに玄関から逃走。LINEは既読になるものの返信はなく、そのまま2日間ほど消息を絶ちました。

この間、妹がどこで何をしていたか、今でもわかりません。彼女が行方不明になったと聞き、伯母や従兄弟まで妹宅へ集合。いよいよ警察に「捜索願」を出そうとしたところ、妹は憔悴しきった状態で、自宅に戻ってきました。高熱を出していたのですぐに病院へ連れていき、医者は「しばらく安静にするように」と一言。義弟も私もひとまず生きて帰ってきたことに安堵し、その瞬間、ドッと体に疲れが出て、倒れこんでしまったことを覚えています。

それから4~5日たって、改めて3人での話し合いを行うことに。妹はもう一切取り乱すことはなく、私たちの話に耳を傾けていました。そして「ネットで知り合った人たちが自由で、楽しそうだったのがうらやましかった。でも、家庭を壊してまでスピリチュアルの世界にいたいとは思わない。本当に申し訳ないことをした」と、初めて反省を口にしたのです。「自分がここまで“のめり込む”とは思わなかった。取り返しがつかないことをしちゃった」。そう言って、彼女は泣き崩れました。

この一件を経て、妹は“子宮系女子”とつながっていたブログやSNSアカウントを、自らすべて削除。パワーストーンなどのグッズや、認定講座のテキスト、子宮系委員長はるや心屋氏の本なども処分しました。そして義弟は、「よくわからないスピリチュアルより、家族を信じてもらえるように、もっと妻と向き合います」と言い、会社に事情を話して、自身の仕事をセーブ。そんな夫の協力もあり、壊れかけた家庭は少しずつ修復されています。(ちなみに、妹にはもう“子宮の声”は聞こえないようです)

子宮委員長はるや、心屋氏のようなスピリチュアルによって、すべての人が妹と同じ経験をすると決めつけているわけではありません。私と義弟の説得も、妹にとってはかなり荒療治で、一歩間違えると非常に危なかった。同じような境遇のご家族に、マネしてほしいと言いたいわけでもありません。しかし、世の中には、心が弱った人を“救う”のではなく、都合のいいように人を信じ込ませ、金を巻き上げる“ビジネス”が存在する。これは確信を持って言えることです。

「好きなように生きよう」といった甘い言葉の中には、金銭感覚がおかしくなる思想や、周囲に迷惑を掛けても問題ないという考えに陥る、“猛毒”が含まれているかもしれない。考えもせずに丸飲みすると、自分勝手な“モンスター”へと成長を遂げてしまう――。妹は、「自分がここまで“のめり込む”とは思わなかった」と言っていました。あなたにも、あなたの家族にも同じことが起こるかもしれないということだけは、決して忘れないで下さい。

■黒猫ドラネコ
1983年5月生まれ。性別、職業は非公表。大分県出身、学生時代から大阪で過ごし結婚を機に上京。穏やかで細かい性格。自分勝手な人が嫌い。趣味はスポーツ観戦、カフェ巡り、漫画・アニメ鑑賞など。甘党でお酒よりジュースを好む。ショートスリーパーにつき夜行性。

Twitter/ブログ「黒猫ドラネコのブログ(仮)

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