総崩れの「仮想通貨」マーケットで何が起きているのか

総崩れの「仮想通貨」マーケットで何が起きているのか

  • MONEY PLUS
  • 更新日:2018/01/23

先週、仮想通貨マーケットは大きく揺さぶられました。ビットコインは1月16日に、一時1ビットコイン=100万円を割り込むレベルまで下落し、昨年12月に付けた最高値(同227万円程度)から半値以下になりました。

他の仮想通貨でも、時価総額が2番目に大きいイーサリアムが終値ベースで、1月10日に付けた高値1イーサリアム=16万7,000円から、同月17日にはほぼ半値の8万9,000円まで下落。

時価総額が3番目に大きいXRP(リップル)は、1月4日の375円から1月17日の102円まで、短期間で4分の1程度まで暴落しました。

仮想通貨のマーケットで今、何が起きているのでしょうか。そして、価格の乱高下を繰り返す“新たな通貨”を、私たちはどう受け止めればいいのでしょうか。

世界的な規制強化が1つの要因

仮想通貨マーケットにおける全面的な価格急落。その要因はいくつか指摘されています。

1つが、各国の規制強化の動きです。韓国政府は1月に入り、投資家保護や身分証明の厳格化を含む規制強化の方針を打ち出したほか、政府高官が国内にあるすべての仮想通貨取引所の閉鎖を検討していることを明らかにしました。

1年ほど前から国内での仮想通貨取引への規制を強化してきた中国でも、同月、海外の取引所へのアクセスも禁止するなど、一段と規制を強化する方向で検討が進んでいることが報じられました。

米国の証券取引委員会(SEC)は、仮想通貨に投資するファンドの安全性や投資家保護に対し懸念を表明。ETF(上場投資信託)の立ち上げの動きを牽制するような書簡を発表し、調査を進めています。

こうした各国政府・金融当局の動きは、昨年みられた仮想通貨人気の高まりの一方、投資家保護やマネーロンダリング対策が不十分であることが主な背景と考えられます。また、中国などでは、仮想通貨に資金が流入することで、国内資産が海外に流出することが懸念されているとも伝えられています。

とはいえ、こうした動きは先週、急に強まったものではありません。各国の政府・当局は昨年から徐々に、市場の動きに懸念を表明したり、規制を強めたりするコメントや発表を行ってきました。ですので、各国の規制強化は、仮想通貨価格の下落の1つの要因かもしれませんが、それだけですべてを説明できるものではなさそうです。

先物導入やバブル崩壊を指摘する声

昨年12月にCBOE(シカゴ・オプション取引所)やCME(シカゴ・マーカンタイル取引所)で導入された仮想通貨先物取引を価格下落の要因と見る向きがあります。

確かに先物取引の導入により、先行きに関するさまざまな予測が価格に織り込まれやすくなっており、先物価格が下落すると現物価格も下落しやすくなっています。また、先物取引の上場が機関投資家の仮想通貨市場への参入を促し、値動きが大きくなっていることも指摘されています。

もっとも、これらの要因も価格上昇局面ではそれを後押しする動きにつながる可能性があり、必ずしも下落のトリガーになっているものではないと考えられます。

これまでの仮想通貨の価格上昇が「バブル」だったために、その分が剥落したという指摘もあります。

価格が1年で480倍になった通貨も

確かに昨年初めから直近の最高値まで、ビットコインが約20倍、イーサリアムが約170倍、XRP(リップル)が約480倍と、異常なまでの価格上昇を記録してきました。これまでの上昇具合を眺めると、先週の下落も上昇分の一部が剥落しただけという見方ができます。

こうした値動きをとらえて、仮想通貨にはそもそも「実体」がなく、適正価格がないため、価格が上昇するときにはどこまでも上昇するし、下落するときにはどこまでも下落するという指摘もあります。

確かに仮想通貨には、各国の中央銀行のような信用ある発行体がありません。実際の紙幣やコインにあたる「現物」がないこと、実際に使える店舗も多くないことなども、そうした指摘の根拠にあると考えられます。

昨年から足元までの価格変動をみると、現在の仮想通貨市場の状況はやや投機的な動きによって乱高下をしていて、「バブル」の生成と崩壊の姿であるという見方も、あながち間違いではないのかもしれません。

値動きの激しさは投資妙味にも

それでは、私たちは仮想通貨にどのように向き合えばいいのでしょうか。仮想通貨は投資すべき対象ではないのでしょうか。

現在の仮想通貨を取り巻く上記のような市場の状況は、仮想通貨に対する投資には大きなリスクが伴うことを示しています。だからといって、仮想通貨に投資してはいけないというものでもないと考えられます。

価格変動が大きいということは、投資対象としても魅力的である、ということにもなります。ただし、投資する際にはそのリスクを十分に認識して、慎重に行う必要があります。

たとえば、分散して投資するポートフォリオ全体を意識して、そのうちのどの程度の金額・割合を仮想通貨に投資するのかを決める必要があります。その際、投資した金額のほとんどが無価値になったとしても生活費や中長期的な資産形成に大きな悪影響が及ばないような金額・割合にとどめることが重要です。

また、レバレッジ取引は価格下落時には損失を大きく広げることになります。損失拡大のリスクをきちんと認識して、利用するにあたっては慎重に検討する必要があります。

仮想通貨の成り立ち、通貨別の特徴や将来性などを勉強して、投資割合を決めることも必要かもしれません。外為取引をしている投資家の方は、各国通貨の背景にある各国の景気や経済の状況などファンダメンタルズを理解したうえで投資することも多いと思います。仮想通貨に対しても、そのような姿勢が必要といえそうです。

仮想通貨は「仮想国家」の通貨?

仮想通貨を仮想国の通貨と考えれば、新しい見方ができるかもしれません。

その「仮想国家」は、今は小さな国で、各国との貿易額も大きくなく、その国の通貨を日本国内で使える店舗は多くありません。でも、もしかしたら近い将来、その「仮想国家」がインターネットやeコマースの世界で着実に経済力を高めていき、その「仮想通貨」を使える店舗も増えていくと、「仮想」だと思われていた通貨が「実体」を持つものになる可能性もあります。

仮想通貨をめぐる経済圏がどのようなスピードでどのくらい広がっていくのかを想像してみると、現在の仮想通貨の価格乱高下も違った視点で見ることができるのかもしれません。

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