恋人は「白か黒」のみ?ドイツ恋愛事情から考えた「付き合う」の意味

恋人は「白か黒」のみ?ドイツ恋愛事情から考えた「付き合う」の意味

  • 現代ビジネス
  • 更新日:2019/04/22
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「20代の4割が童貞」というトイアンナさんの記事によると、告白するだけでLINEやTwitterで晒され、怖くて恋愛ができない男性が多いのだという。そもそも、「告白する」という行為がないと「恋人」はできないのだろうか。22歳でドイツに移住したライターの雨宮紫苑さんが、ドイツの恋愛事情から「付き合うとはなにか」を考える。

仲良しのドイツ人男性から言われたこと

「俺らって友だち?」

彼にこう聞かれたのは、2013年の5月下旬、汗ばむ五月晴れの日だった。

ドイツに留学中、わたしはとあるドイツ人男性と仲良くなり、毎日のように会っていた。彼といるのは心地いいけれど、季節はすでに初夏。あと2ヵ月で留学期間が終わることを考えると、いまさら関係を変えようとは思わなかった。

しかしいつもどおり彼とカフェで雑談した帰り道、ぽつりと聞かれたのだ。「俺らって友だち?」と。

わたしは頭の中にクエスチョンマークを浮かべながら、おずおずと「わたしが友だちって思ってただけでただの知り合いってこと……?」と聞いてみた。しかし彼はちょっと間をおいて、「ごめん気にしないで」と言うだけ。いやいや、気になりますけども。

いったいなんだったんだ?とモヤモヤしていたが、翌日、彼から「付き合いたい」と改めて言われた。昨日のアレはどうやら、「俺たちって付き合ってる?」という確認だったらしい。

わたしと彼の恋愛は、こんな感じでなんとも締まらない雰囲気のなかはじまった。

線引きは態度ではっきり示す

ドイツでは、日本のような「お付き合いの合意」を意味する告白はあまりメジャーではない。仲良くなって、物理的・精神的距離感が近くなって、気づいたら恋人関係……というほうが主流だ。

わたしは「白か黒か」というタイプなので、ドイツの「なんとなく付き合いがはじまる」という煮え切らない感じは、どうにもしっくりこない。ドイツ人は思っていることを言葉で主張する人が多いのに、なんでここだけ曖昧なんだろう。

そう考えてみて、「ドイツ人は人との距離感を結構きっちりと線引きするから告白がいらないのかもしれないなぁ」なんて思った。

ドイツ語には敬語(より正確に言えば丁寧語)が存在する。二人称のyouにあたる単語が、「Sie(あなた)」と「du(君)」の2パターンあるのだ。ただしこれは、立場によってというよりは、その人との距離感によって使い分ける。

ご近所さんとは最初「Sie」で会話しはじめ、何回か立ち話する関係になり、「じゃあduと呼びあいましょう」と合意してから「du」に変更。上司と部下がたがいに「Sie」を使うこともあれば、お互い「du」と気軽に呼ぶこともある。

挨拶が握手なのかハグなのかも線引きのひとつで、外国人のわたしは毎回(どっちが正解だ!?)とドキドキする。

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「挨拶代わりのハグ」も親しさによっては「握手」だとすると、日本生まれの日本育ちの人はドキドキすることが多いはず Photo by iStock

「愛している」を意味する「Ich liebe dich」はかなり重い言葉なので、付き合いが浅いときに言えば相手はびっくりするだろう。最初は「Ich hab dich lieb」(友だち間でも使える「好き」)くらいでいい。

「ドイツ人は堅苦しくて仲良くなりづらい」なんて話をよく聞くが、こうやってきっちりと線引きするから、「パーソナルスペースに入れてくれる=恋人」という認識になり、あえて付き合う合意を得る必要がないのかもしれない。

「付き合う」ってなんだ?

さて、ドイツでの恋愛関係のはじまりを考えみたわけだが、そもそも「付き合う」ってなんだろう。

「好きだから一緒にいたい」「この人の特別になりたい」という気持ちが大前提。そしてそれに加え、日本人は関係性に名前があったほうが安心して人間関係を築けるから、「告白」というステップを踏みたがるのではないだろうか。

夫婦が互いを「お父さん」「お母さん」と呼んだり、社内で「課長」、部内で「先輩」と呼んだりする日本では、「恋人」のように関係性に名前があったほうが安心というか、単純にしっくりくる。

立場や関係性がはっきりすれば、なにをしていいのか、なにをするべきではないのかがわかりやすい。たとえば恋人であれば、キスをしてもいいし、合意があればセックスをしてもいい。ただし、浮気だと思われかねない行動は自重すべき。

「恋人になりましょう」と言って付き合い始め、「恋人」という関係性の行動指針に沿っていったほうが、わたしたち……少なくともわたしは気楽だし、面倒がないと思う。中途半端な関係性では、どこまで許されるのかがわからなくてドギマギしそうだ。

「瞬間から恋人」にはならない

では、ドイツにおいて「付き合う」ってなんだろう?

ドイツでは、「いまこの瞬間から恋人!」ではなく、「時間を積み重ね、恋人と呼んでも支障ない関係になっていく」という認識がほとんどだ。だからこそ、時間をともに過ごすことをとても大切にする。

イベントごとにはカップル同士で参加が前提で、飲み会ではみんな勝手に恋人を連れてくる。恋人の家族の誕生日会にだって呼ばれる。いつでもどこでもカップルはセット。学生カップルでも気軽に同棲。

だから、恋人がいまどこでなにをしているのか把握していなかったり、友人の誕生日パーティーにひとりで参加したりしたら、「ケンカしてるの?」と心配されてしまうことも。

ドイツでの第一優先は「一緒にいること」であり、その次に「恋人という立場を明確にする」→「家族や友人に紹介して恋人として認められる」がくる。まず一緒にいる時間をつくることが大事で、それが心地よければ関係を発展させていき、「みんなに恋人として紹介したい」となるのだ。

「恋人になったから一緒にいる」

日本ではこの順番がちょっとちがって、「恋人になる」→「だから一緒にいる」→「家族に紹介」という感じだろう。「ゴールイン」という言葉があるように、そこからさらに→「結婚」というプロセスもある。立場や関係性の名前を大事にするのだ。

日本において「友人と恋人」は「白と黒」で、付き合うかどうかの2択。でもドイツでは、「白→黒」とグラデーションで、そのなかで一番心地いいポジションに収まっていく(わたしの場合、わたしがまるで理解していなかったので彼が日本式の告白をしてくれたが)。

どれぐらいのはやさで色を変えていくのかは、本人たちの自由。白→黒のグラデーションの間のどこでセックスするかも、本人次第だ。

知り合って仲良くなって一夜共にして、いい感じならデートを重ねていく。そういう人もいれば、しょっちゅう会うようになってから身体の関係をもつ人もいる。

それは決して「ふしだら」「軽い」わけではなく、セックスは恋人関係を続けていくための重要な要素であり、「恋人適正試験」の項目のひとつという認識があるからだ。

また、避妊や性病予防を相手任せにせずに話し合うし(ピルを飲む女性も多い)、しっかりとした合意を大事にするから成り立つことでもある(この「合意」とは、片方が口説き落とし片方が受身になるのではなく、洋画でよくあるベッドシーンのように互いがノリノリでガツガツ求めあう、と理解していただきたい)。

日本は「友だち」と「恋人」の距離が遠い

最近では「草食系」という言葉の通り、「友人関係を壊してまで恋人になってセックスしなくてもいい」という主張をよく耳にするし、「若者の恋愛離れ」なんてことも言われる。それは、「友だち」と「恋人」の距離が離れすぎていて、恋愛をはじめる難易度が高いからじゃないだろうか。

告白して振られたらイヤだ。恋人にならなくてもいい。いまのままで十分。それは、「友人か恋人か」の2択だから生まれる葛藤だ。ならばドイツのように、「白→黒のグラデーション恋愛」が認知されれば、ちょっとはハードルが下がるんじゃ?なんて思うのだが、どうだろう。

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告白したらLINEで晒されたりする、怖くて恋愛できない、というのは、「告る→関係を作る」パターンならではなのかもしれない。すでに親しくなっていた人に告白されて、大勢に晒したりはしないのではないだろうか……Photo by iStock

関係性にどう名前をつけるかは、あくまで本人たち次第。定期的に会って手を繋ぐだけの関係が心地よければそれでもいいし、体の相性を確かめてから付き合い始めたって、他人がとやかく言うことではない。

本人たちが望み、合意の上でなら、「友人か恋人か」という立場自体にはそんなにこだわらなくてもいいのだ。

もちろん、恋愛なんて人それぞれだから、告白して付き合うのだって悪いことじゃない。ただ、人それぞれだからこそ、「付き合うか否か」という極端なものではなく、グラデーションのなかでたがいが幸せを感じる位置を探ってそこに収まるという選択肢があってもいいかもしれない。

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