今、家を買ったらやっぱり損!?プロが予想する東京五輪後の不動産価格

今、家を買ったらやっぱり損!?プロが予想する東京五輪後の不動産価格

  • @DIME
  • 更新日:2017/10/12

東京五輪開催前の好景気に沸く日本。こうした好景気を反映してか、とくに東京都心の一部で、不動産価格が高騰している。「不動産で資産を運用すれば大儲け」という時代の雰囲気のなか、不動産投資関連のセミナーなども盛んにおこなわれている。実際、個人がローンを組んでアパートを建てたり、ワンルームマンションに投資するといった例も、数多く聞かれるようになった。「不労所得でラクに暮らす」。そんな夢を見て開始した不動産投資なのかもしれないが、事はそう、うまく運ぶのだろうか?

今回は、こうした現在の不動産ブームについて、近著『東京五輪後の日本経済』が注目を集める、元日本銀行政策委員会審議委員のエコノミスト・白井さゆり氏に見解を聞いた。

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元日本銀行政策委員会審議委員の白井さゆり氏(写真:小学館)

■家賃収入から見ても、適正水準を超えて不動産価格が高騰

「銀座の一部の地価が、ついにバブル期を上回った」などという景気がいい話も聞くようになった、現在の不動産市況。こうした不動産価格の上昇は、2013年頃からはじまったものだが、その要因について、白井氏は以下のように解説する。

「今回の不動産価格上昇の要因はふたつあります。まずは、2013年4月に、日本銀行が黒田東彦総裁のもとで導入に踏み切った『異次元緩和』です。その結果、市場には大量のマネーが供給され、金利も下がったために、不動産価格が押し上げられることになりました。

もうひとつは、『東京五輪開催』決定です。五輪開催による建築需要などの特需と、“東京五輪までは……”といった人々の期待もあります。これらふたつの好材料に支えられて、不動産価格は上昇を続けてきました。

ところが当たり前のことですが、実際に東京五輪が開催されてしまえば、『東京五輪開催』という支援材料はなくなってしまいます。実際に多くの人が、今回の不動産価格上昇が続くのは、東京五輪までと考えているため、開催より前に不動産を手放す動きが起きてくる可能性があるのです。また、現在日銀が続けている『異次元緩和』も、いつまでも続けられる政策ではなく、近い将来、日銀は何らかの形で『異次元緩和』の縮小・停止に動かざるを得ないでしょう。そうなれば、不動産にとっては、ふたつの支援材料が一気に失われてしまうことになります」

白井氏は、現在の不動産価格高騰について、家賃収入などからその適正さを判断する『収益還元法』などの指標からみても、もはや適正な水準とはいえないほど、物件の価格が上昇しているケースが一部の物件でみられると警告する。また、個人が無理をしてローンを組んで不動産投資をおこなう例も散見され、将来、こうした投資によるリスクが、何らかの形で顕在化する可能性があるともいう。

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2017年3月国土交通省発表による公示地価では、前年に比べ、千代田区7.5%、中央区6.2%、港区5.2%と地価が高くなっている。都内平均では3%だ。

■東京五輪後の「不動産」に希望はあるのか?

2013年頃から始まった今回の不動産価格の上昇だが、白井氏の見解によれば、「異次元緩和」と「東京五輪開催」というふたつの好材料を失い、五輪開催前から下落に転じる可能性が濃厚だという。しかし、それは避けられない運命なのだろうか。

白井氏が言う。

「残念ながら、『異次元緩和』や『東京五輪開催』に代わるような不動産にとっての好材料が、現段階ではほとんど見出せません。日本では、ただでさえ空き家が多いにもかかわらず、今後は世帯数の減少を迎え、不動産の需要をさらに悪化させる方向へと働くことは確実です。また、東京五輪後には、選手村跡地などで、大量のマンション供給も予定されており、さらなる需要の悪化を招く恐れがあります。加えて、現在の個人によるアパート建設ブームのリスクが顕在化する可能性も、見過ごせません。ローン融資が焦げ付き、地方銀行などの不良債権問題が現実になる恐れもあります」

そうであれば、現在無理な投資を重ねている人は、自身の投資のリスクについて、あらためてじっくりと考えてみるべきだろう。いっぽう、これから不動産を購入したい向きにとっては、東京五輪開催前後にかけて起こると予想される不動産価格の下落を待って、購入すればいいとも思えるが、買い時はいつなのだろうか?

白井氏は続ける。

「直近の例をふりかえると、日本の不動産価格が底を打ったのは2012年で、その前は2002年のことでした。こう見ると、日本の不動産価格は10年周期で底を打っているように見えます。そこで、人によっては、東京五輪終了後の2022年に不動産価格は底を打ち、その後上昇に転じるというシナリオを想定する向きもあるようですが、それには何の根拠もなく憶測にすぎません。東京五輪後に、不動産にとっての好材料が現れなかったとすれば、空き家が多く、賃貸住宅の空室率が下がっていない現状では、長期にわたって不動産価格が下落し続けたとしても、不思議はないのです」

おそらく下落の可能性が濃厚だと言っても、不動産価格が、いつ、どこまで下がるかなど、誰にも分からないということだろう。いずれにせよ、「投資は自己責任」。売るにせよ買うにせよ、この金言を忘れてはならないだろう。

東京五輪開催前に浮かれる日本で生き残るためにはどうすればいいのか? 白井さゆり著『東京五輪後の日本経済』(小学館)では、不動産価格のみならず、株価や為替のゆくえや、金融危機の可能性など、「2020年東京五輪後の日本経済のゆくえ」について、元日銀審議委員の目線から解説している。
五輪開催の狂乱の後には闇が広がるのではないかと、誰もが心のなか、不安に思っている。日本経済の未来予想図が先取りできる本書は、こうした時代において、転ばぬ先の杖として参考になるはずだ。

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『元日銀審議委員だから言える

東京五輪後の日本経済』

著/白井さゆり 1500円 小学館

https://www.shogakukan.co.jp/books/09388570

取材・文/前川亜紀

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