【開発秘話】発売から1か月半で10万枚出荷したグンゼ「BODY WILD AIRZ」

【開発秘話】発売から1か月半で10万枚出荷したグンゼ「BODY WILD AIRZ」

  • @DIME
  • 更新日:2019/01/23
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■連載/ヒット商品開発秘話

グンゼのメンズアンダーウェアブランド『BODY WILD』から2018年7月に月発売された『AIRZ(エアーズ)』の売れ行きが好調だ。発売から1か月半で10万枚を出荷した。

『AIRZ』最大の特徴は、あって当たり前の腰ゴムをなくしたこと。素材と設計を工夫し生地全体でホールドするようにしたことで、これまでにない穿き心地と解放感を実現した。

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楽なものを求める社会的風潮

同社によれば、メンズアンダーウェアは10〜20年サイクルで新カテゴリーが誕生しているという。歴史を振り返ると、申又(さるまた)に始まりブリーフ、トランクス、ボクサーブリーフと誕生してきたが、1998年の『BODY WILD』誕生とともに成長してきたボクサーブリーフ以降、新カテゴリーが生まれていない。

『AIRZ』の構想が始まったのは2012年頃のこと。背景にあったのは、このような現状に加え、楽でストレスを感じないものを求める社会的風潮があった。アパレルカンパニー インナーウエア事業本部MD本部メンズ&キッズMD部の武安秀俊氏は、次のように話す。

「当社はメンズ、レディース、キッズの肌着を展開していますが、レディースでは以前から、切りっぱなし素材を使い、首回りや袖口、裾に縫い目がないショーツやトップスが主流になってきていました。その先駆けになったのが『KIREILABO(キレイラボ)』というブランド。とくにショーツは腰ゴムのない切りっぱなし素材だけでつくるなど、革新的な技術を用いていたのですが、メンズにはこのようなものはありませんでした。ストレスフリーなものを求めるのはメンズも同じで、あってもいいのではないかと考えました」

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グンゼ

アパレルカンパニー

インナーウエア事業本部MD本部

メンズ&キッズMD部

武安秀俊氏

ボクサーブリーフの次に来る新カテゴリーのメンズアンダーウェアをつくるにあたり注目したのが、レディースでのこのようなトレンドであった。縫い目がない切りっぱなし素材を使い、なおかつ腰ゴムもなくした楽なものは、社会的風潮に合っていると判断した。

ずり下がりを解決した素材とパターン設計

すでにレディースで実用化されている技術を活かすので、一見すると開発はスムーズに進んだかのように思われるが、社内で発表されたのは2017年に入ってから。構想から実に5年後のことだが、5年も時間を要したのは、開発が困難を極めたからであった。

開発が困難を極めたのは、ずり下がってくるという問題があったからだった。 女性の場合はくびれがあるので、腰ゴムのない切りっぱなし素材でも腰でしっかり止まるが、くびれのない男性は腰ゴムがないとどこにも引っかからず、止まってくれない。

カギを握ったのは、素材選びやパターン設計であった。

同社では15年以上前から切りっぱなし素材を開発している。種類は実に豊富で、「それら1つひとつが持っている特性から、どれが最適なのかを探すことから始めました」と武安氏。糸によって特性が異なるのは当然だが、同じ糸でも編み方によって生地の伸び方が変わるという。

10種類ほどまで絞り込んでからサンプルをつくり、穿いて検証。その結果、ずり落ちない最適な素材はレーヨン90%、ポリウレタン10%という結論に落ち着いた。

もう1つのパターン設計は、『AIRZ』のために「アルゴウェーブカット」を開発した。ずり下がらず締め付けすぎないものにするために開発されたものだが、武安氏は次のように話す。

「腰ゴムでしっかりと止まりさえすれば、その下の設計は多少ルーズでもずり下がることはありませんが、腰ゴムをなくすと、生地全体でフィットさせずり下がらないようにしなければなりません。これを実現するために、素材の伸縮性だけでなく、各部位へのパワーのかかり方を考慮したパターンを採用する必要がありました。そこでアルゴウェーブカットは、伸びやすいところはよく伸びるように設計しました」

素材を決めてからパターンが完成するまでに、サンプルを50種類ほどつくって検証した。「ずり下がる問題はクリアできると思っていましたが、満足していただける穿き心地にするため、こだわってつくり込みました」と武安氏は振り返る。

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伸縮性の高い素材と独自の「アルゴウェーブカット」により、腰ゴムがなくても生地全体でフィット。これまでにない穿き心地と解放感を実現した

かつてない300人規模での試し穿き

肌着の場合、検証は企画・開発担当者など複数人の試着で終わることが一般的だが、『AIRZ』はこれまでにないタイプだったことから、大規模に実施することにした。「今までのやり方で問題なかったとしても、発売後に下りが認められるとお客様にご迷惑おかけすることになります。そのため、検証は従来より数多くやる必要があると感じました」と武安氏は話す。

検証に協力したのは300名で、社内の営業マンなど100名、一般ユーザー100名、取引先のバイヤーなど100名と、順を追って実施した。

社内で公になったのは、社内での大規模な検証が始まったのと同じタイミングだった。新商品の提案初期段階では、言葉やイラストにより説明することも珍しくないというが、『AIRZ』はこれまでになかったものなので、穿いてもらわないとわからない。そこで、会議で提案するにあたって『AIRZ』を100枚つくり、会議出席者に持ち帰ってもらい穿き心地などを検証してもらうことにした。武安氏は次のように話す。

「自分たちは今までのボクサーブリーフなどとまったく違うことをわかっていても、そのことを体感していない会議の出席者に瞬時に理解してもらうのは難しいこと。説明するより、穿いてもらい仲間になってもらう方が早いです。体感してもらった結果、穿き心地がいい上に可能性を感じ取ってもらうことができ、一押しで売っていこうという雰囲気を社内につくることができました」

インフルエンサーの拡散力と影響力を活用

『AIRZ』は発売と同時に話題になり出足好調なスタートを切った。出足のいいスタートを切れたのは、同社としても久しぶりだという。

好調なスタートが切れたことの要因の1つに、SNSを意識したことがあった。『AIRZ』のプレス発表を行なった2018年7月19日、同社は会場にメディア関係者のほか、インフルエンサーを招待した。招待したインフルエンサーは10名ほどで、Instagramを中心に『AIRZ』が発売されることを拡散してもらった。

また、発表の模様を撮影した動画をYouTubeに素早くアップした。

インフルエンサーの協力は、すぐ効果を表した。同社のオンラインストアでの販売分が、発売と同時に品切れを起こしたのだ。勢いは衰えることなく、商品を素早く供給することが課題だという。

また2019春夏シーズンに向けて、夏にピッタリなメッシュタイプやロングタイプの発売も予定されている。デザインも増やす予定で、腰ゴムがあるように見えるプリントものの登場も予定されている。

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メッシュタイプ

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ロングタイプ

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腰ゴムがあるように見えるプリントもの

取材からわかった『AIRZ』のヒット理由3

1.高い新規性

あって当たり前だった腰ゴムをなくし、今までにない快適な穿き心地を実現。高い新規性と使用感の良さが評価された。

2.徹底した長年のつくり込み

今までにない商品なので、発売後に着用上の問題が出てこないように、時間と人手をかけて穿き心地を検証。社内、一般ユーザー、取引先より発売前から高評価を得ることができたこともあり、社内に「売るぞ」という雰囲気をつくることにもなった。

3.SNSを意識的に活用した商品情報の拡散

マスコミへの発表と同時に、SNSを活用した情報発信に意識的に取り組んだ。インフルエンサーの協力を得てSNS上での商品情報を拡散。あっという間に商品が知れ渡ることになり、発売開始とともに好調な出足を切ることができた。

『AIRZ』は現在発売されているもの、これから発売になるもの合わせて、すべて前閉じ。前開きのものはないのだが、これは前開きでずり下がらないものがまだできていないため。前閉じと違い技術的に難易度が高いのだという。便利な前開きの登場を待ち望んでいる人は多いであろうし、登場したらさらに売れるだろう。これからのグンゼの奮闘に期待したい。

製品情報
https://www.gunze.jp/bodywild/topics/airz/

文/大沢裕司

ものづくりに関することを中心に、割と幅広く色々なことを取材するライター。主な取材テーマは商品開発、技術開発、生産、工場、など。当連載のネタ探しに日々奔走中。近著に「バカ売れ法則大全」(共著、SBクリエイティブ)。

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