視聴率ゆるやかに上昇中の岩田剛典『崖っぷちホテル!』に見る“2種類のアイドルドラマ”

視聴率ゆるやかに上昇中の岩田剛典『崖っぷちホテル!』に見る“2種類のアイドルドラマ”

  • 日刊サイゾー
  • 更新日:2018/05/15
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毎回、日曜の夜にほっこりとした“いい話”をお届けしてくれるドラマ『崖っぷちホテル!』(日本テレビ系)も第4話。視聴率は7.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、第2話でがっつり落として以降、ゆるやかに上げ続けているようです。

というわけで、今回もいい話だった同作を振り返ります。

(前回までのレビューはこちらから)

■相変わらずニコニコで押し切る岩ちゃんの不気味さ

経営的に“崖っぷち”な老舗ホテル『グランデ・インヴルサ』を復活させるために奮闘する若き総支配人・桜井佐那(戸田恵梨香)と、なんだかんだでいきなり副支配人になっちゃった宇海くん(岩田剛典)。この宇海くんの加入でホテルは「いい方向に向かい始めた」(佐那ちゃん談)ようですが、今回は事務・経理をひとりで切り盛りしていた丹沢さん(鈴木浩介)が、いきなり「辞める」と言い出しました。

もともと景気が悪いことはわかっていたはずの丹沢さん、なんでこのタイミングで? と思ったら、近くにビジネスホテルが建つ計画があって、そちらにヘッドハンティングされたのだとか。いわく、インヴルサは「もう、つぶれますから」とのことです。

さらに、芋づる式に清掃員の尚美さん(西尾まり)と、フロントマン・大田原(野性爆弾・くっきー)まで、丹沢さんと一緒にビジネスホテルに移ると言います。

困り果てた佐那支配人が宇海くんに相談すると、いつもの爽やかな笑顔で、「よし! 面接をしましょう!」と超ドライ対応。辞意表明の3人に対しては、盛大に送別パーティを開いて、気持よく送り出すつもりのようです。なんか不可解を通り越して、もはやこの明るさは不気味です。引き留めたい佐那さんはどうにも納得できませんが、まあ例によって宇海くんのニコニコに押し切られてしまいました。

とはいえ倒産寸前のホテルですので、採用面接にも使えそうな人材は集まりません。最後に登場した、宇海くんの知り合いだというロマンスグレーな紳士・小山内さん(長谷川初範)だけが採用となりました。

■設定と印象づけが人物に説得力を生んでいる

この小山内さんだけ取ってみても、このドラマのシナリオは「やることをちゃんとやってる」感があります。いかにも軽いコメディに見せて、人物の見せ方を丁寧に作っている。

例えば「小山内」という姓から、見ている人のほとんどはピンときたはずです。前回、ホテルの企画でベッドメーク体験に来た女の子・裕子ちゃん(川栄李奈)も「小山内」さんでした。ドラマの中で無意味に同じ姓の人物を登場させるわけがありませんので、少なくとも、この小山内紳士は「普通に面接に来た人じゃない」というか「先週出てきた女の子のお父さんだな」とわかるわけです。

ここで小山内さんにある程度の情報を与えて視聴者の興味を引いた上で「なんでお父さんが?」という疑問を残している。

設定としてはここまでで理解できても、じゃあ小山内さんがどんな人なのかはわかりません。簡単にいえば、怪しい人かどうか、悪い人かどうかという印象の話です。

ホテル中の誰彼が「辞める辞める」と言い出している状況で、宇海くんが勝手に連れてきた人物。ただでさえ疑心暗鬼になっている従業員たちが、小山内さんに「怪しい」という印象を持つ条件はそろっています。でも、ここで誰かが「小山内というジジイは怪しい」と言い出すと、話が散らかってしまう。小山内さんが仕事のできる人間であることから、さらに怪しさに拍車がかかっても不思議じゃない。

そこで『崖っぷちホテル!』は、小山内さんについての印象操作を行います。説得力を持って、「小山内さんは怪しくない」「従業員の誰もが、小山内さんを無条件に受け入れる」という土壌が必要になるわけです。

そこで、小山内さんについて、誰もが敬愛してやまない故・佐那ちゃんパパ(元総支配人)に「雰囲気が似ている」と従業員全員に口々に語らせました。この効果は抜群で、特に、ひねくれ者のバーマスター・梢さん(りょう)が小山内さんを認めることで、彼の言動に強い説得力が生まれています。

この場合、小山内さん自身が何を言っても、何をしても、視聴者の信頼を得ることはできません。誰が何を言えば視聴者が小山内さんを受け入れるのか、それがちゃんと考えられている。細かいことですが、キャラクターに命を吹き込むのはこうした細部だと思うのです。

■宇海を動かさず、宇海を描く

そうして画面の中で存在感と信頼感を確立した小山内さんの正体は、実はビジネスホテル側からのスパイでした。宇海くんは、従業員に隠して、スパイを呼んでいたのです。

ただしこのスパイは、もとより「インヴルサをつぶしてやろう」とは考えていませんでした。さまざまな職歴を経て、「本当に人のためになる仕事をしたい」と考えていて、さらに「ウワサの敏腕ホテルマン・宇海と仕事をしてみたい」とも感じていた。

宇海くんは、密かに賭けをしていたのです。小山内さんを呼んで、もしこのホテルを小山内さんが「つぶすべき」と判断していたら、ビジネスホテル建設は予定通り進み、インヴルサは消滅することになる。

そんなスパイに宇海くんは、“スパイ向け”でない通常営業の姿だけでなく、経理状況から何から、内部資料を全部見せちゃっていました。なぜなら「このホテルのことを小山内に知ってもらえれば、気が変わってビジネスホテルの建設を中止するはずだ」と確信していたからです。

ここには「小山内さんがフェアな判断をするはず」と「インヴルサの通常営業は小山内さんを魅了するはず」という、宇海くんの2つの信頼が働いています。

その思惑の通り、小山内さんはフェアな男だったので「ここ(インヴルサ)は化けますよ」「大逆転した姿を見てみたい」と言って、ビジネスホテル建設を中止しました。おのずと、丹沢さんほか3名もインヴルサに残ることになって、ハッピーエンド。小山内さんが前回のベッドメーク女子の父親だった伏線も、ここで機能しました。

周囲のリアクションによって小山内さんのキャラを確立させ、小山内さんを含む人物を宇海くんの思い通り動かすことで、宇海くんのホテルマンとしての能力を際だたせる。キャラクターというのは、「どう動くか」で生きるのではなく「周囲をどう動かすか」で浮き立たせるもののようです。

■アイドルドラマというパッケージには2種類ある

今回、仕掛けとして丹沢さんたちの「辞意」と「復職」に必然性があるし、その中で語られた彼らの心の動きにも、丁寧にエピソードがあてがわれて説得力がある。ほっこり感動できる。このドラマには衝撃的な展開はありませんが、足りないものもないように感じます。

前回、単なる賑やかしに見えた川栄を本編に引き込む段取りも鮮やかでした。恐らくは多忙を極める川栄を初回から登場させることができなかったというスケジュールの都合でしょうが、上手くやったと思います。

そして、今回もっとも感じたのが、アイドルドラマというものの在り方でした。

あくまで「ファン向け」というパッケージの中でも、アイドルドラマには2種類あると思ったんです。

ひとつは、最近でいえば山田涼介『カインとアベル』(フジテレビ系)や、木村拓哉『BG~身辺警護人~』(テレビ朝日系)のような、従来のファンに目いっぱいのサービスをして、喜んでもらうためのもの。

もうひとつは、主人公を張るアイドルの魅力を引き出して、ファン層の拡大を図ろうとするもの。『崖っぷちホテル!』は、間違いなく後者だと思うし、すでに私はちょっと岩ちゃんのファンになりかけていることを白状しておきます。

そんなわけで、では、また次回~。
(文=どらまっ子AKIちゃん)

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