川崎に広島以上の黄金期到来? “創業者”のアイデアを継承し輝かせた“二代目”の手腕

川崎に広島以上の黄金期到来? “創業者”のアイデアを継承し輝かせた“二代目”の手腕

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  • 更新日:2017/12/06
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風間前監督の卓抜した攻撃スタイルを引き継ぎ、進化させた鬼木監督

川崎フロンターレは今までタイトルが獲れていなかったのが不思議なチームだったので、J1初優勝も驚きではない。圧倒的なボールポゼッションと多彩なチャンスメイクだけでなく、今季は攻守の素早い切り替えとリトリートしての守備の安定感も加わった。

風間八宏前監督が5年間で作り上げたプレースタイルを、鬼木達監督が継承している。スタイルを創業したカリスマの時代にタイトルを獲れず、後継者となった監督1年目の指揮官がいきなりリーグ優勝という流れは、サンフレッチェ広島の「ミハイロ・ペトロヴィッチ→森保一」と同じだ。

ペトロヴィッチ前監督は守備組織構築の練習をほとんどやらず、風間前監督は「守備」という言葉すら使わなかった。攻撃サッカーを作り上げた頑固さは二代目にはない。森保監督も鬼木監督も、その点では"普通の人"であり、普通に見ておかしいと思ったところは素直に修正して成果を上げた。

パイオニアには卓抜したアイデアと、それを推し進めるための強引さが必要だ。極端でなければならない。一方、後継者は先駆的な前任者の手法を近くで見て良く知っていることが成功の条件になる。そして素直な目で開拓者の粗を見つけて修正する現実的な手腕が効果を生む。自分で創造したものではないので、手を入れるためには対象をよく理解していなければならない。バランスを取ること自体は難しくないが、前任者があえてやらなかったことに手をつけるには、それだけの自信がなければできないからだ。

川崎が継承したのは「形」ではなく「原理」

ミシャ式可変システムを継いだ森保監督は、J1に3回優勝する黄金時代を築いた。鬼木監督が引き継いだのは、風間前監督が遺した「原理」だ。ボールをどう止めるか、いつ周囲を見るか、パス&ムーブやプル・アウェーをどう行うか……。

継承したのはプレーの原理であってシステムではない。形はないので、その点では鬼木監督の方が自由だと思う。引き継いだのは素材なので、それをどう料理するかについて制約がないからだ。形は古びてしまえば価値が減少するので鮮度を保つ努力が必要だが、それにも限界はある。

一方、原理については古びることがない。それは昔から変わらないもので、丸いボールと人体が変化しないかぎり同じという普遍性がある。それが受け継がれる限りは、いくらでも形は変えられる。つまり、川崎は広島以上に長期の黄金期を築く可能性がある。

もちろん、強さは選手のクオリティーに大きく左右される。川崎には世代交代という課題があるが、賞金が跳ね上がったタイミングで優勝しているので補強はできるはずだ。来年はパイオニアの風間監督率いる名古屋グランパスがJ1に来る。かつての浦和と広島のような同じ流派の対決となるわけだ。他にも強力なライバルがいて追われる立場の難しさはあるけれども、川崎はさらに進化するのではないだろうか。

【了】

西部謙司●文 text by Kenji Nishibe

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

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