今では「嫌われ者」の年金は庶民の要望から生まれていたという事実

今では「嫌われ者」の年金は庶民の要望から生まれていたという事実

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  • 更新日:2017/11/13
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11月30日は「年金の日」。語呂合わせで「1130(いい未来)」と読めることからこの日になったのだそうです。今回の無料メルマガ『』では著者のhirokiさんが、せっかくの機会に正しく知っておきたい「国民年金成り立ちの歴史」について紹介しています。

振り返ってみると国民年金は多くの人から望まれて産まれた

11月30日は年金の日です。え? って思われたかもしれませんが、高齢期の生活設計に思いを巡らせる日という事で平成26年から11月30日(語呂合わせでイイ未来)が年金の日となりました。ちなみに祝日ではないですよ(笑)。

● (厚生労働省)

今は自分の年金記録を確認するために、ねんきん定期便だけでなく年金ネットという便利なものもあります。ねんきん定期便より年金ネットの方が手軽(ただし、IDとパスワードが必要)。年金ネットに登録すると約5日くらいでIDが送られてきますが、自分で設定したパスワードは書き残しておきましょう!

パスワード忘れたとなると、また1から登録しなおさなきゃいけない。自分も年金ネットには随分前から登録してますが、最近…というか数ヶ月くらい見てないです^^;。あと、アプリで「ねんきん情報アプリ」っていうのもあるのでよければ見てみてください。ねんきん情報アプリはザックリと年金制度を知るには良いですね。基礎をマンガで解説したりしてるから若い人にも親しみやすいかも?

さて、11月は年金の日のある月だから年金のこと考えてくださいね~でメルマガを終わらせるわけにはいかないので、ちょっと今回は年金制度について振り返ってみましょう。

今の国民年金が作られたのは昭和34年です。なぜ国民年金が出来たかというと、国民の要望が強まってきたから。今はいろんな所で嫌われている年金制度ですが、望まれて生まれたわけです。

まず、昭和30年から振り返ったほうが良いのですが、この時の人口は9,000万人ほどでした。65歳以上高齢化率はまだ5%ほどで約480万人、0歳から14歳までの年少者は約3,000万人。出生率は2.4くらいはあった。平均寿命は男63歳、女67歳だった。ちなみに昭和20年頃までは男女とも平均寿命は50歳くらいだった。

その約9,000万人の中で全就業者は4,200万人ほど居たんですが、厚生年金や共済年金のような被用者年金に加入していたのは1,200万人程度だったんです。つまり、その他の人には何の年金も無かったわけです。

全就業者4,200万人ほどの内、農業等の第一次産業が40%を占めていた頃でした。今は4%ほどですが…。昭和30年に自由党と民主党が結党して自民党が出来て、社会党の二大政党ができました。そんな中、何の保障もない人達にも年金を! という気運が高まってきて、昭和33年に総選挙があり、この時の自民党と社会党の選挙公約は国民年金の実施が最大の選挙公約となりました。

この時の投票率は79.99%もあって、2009年に民主党政権が出来た時は69.28%ほどの高い投票率でしたけど、国民年金創設時の投票率ほど高い投票率になった事は今まで無いですね。それほど国民年金創設は高い関心事だったわけです。今現在は随分年金制度はいろいろ叩かれますけどね…。

そして、自民党が勝ち、厚生省(今の厚労省)と自民党で初代年金局長となった小山進次郎さん(既に亡くなられてます)という方をリーダーとして国民年金制度が作られていきました。それで昭和34年4月に国民年金法が出来て、実際の年金の支給は昭和34年11月分から始まりました。だから年金の日とか年金月間なのかと^ ^。

初回支払いは昭和35年3月3日でした(昭和34年11月分から昭和35年2月分までの4ヵ月分)。ただ、この時の国民年金支払いは福祉年金と呼ばれ、保険料を支払わなくても貰える年金でした。つまり税金から全額支給する無拠出制の年金。今の年金のベースである保険料を支払って将来に備えた結果で貰える年金(拠出制)とはちょっと違った。

まず、昭和34年11月分から支給されたのは70歳以上の老齢の200万人程の人に、そしてそれぞれ約20万人の身体障害者の方や母子家庭に福祉年金(当時年額12,000円。現在は年額399,300円)の支給が始まった。今は福祉年金を受給している人はほとんどいない。受給してるとすれば100歳は超えていらっしゃいますね…。

国民全ての人に年金を! といっても、国民年金が出来た時点で既に高齢で保険料負担する期間が無いとか短い人は全額税金でやるしかなかったから。

昭和36年4月1日時点で50歳以上の人(明治44年4月1日以前生まれの人)は70歳になれば老齢福祉年金を支給する事になった。50歳から55歳までの人は国民年金に任意加入して保険料納めて低額な福祉年金ではなく拠出制の国民年金を受ける事もできました。任意加入で納めなければ、70歳から福祉年金。

国民年金法が出来て、保険料を支払う形となったのは昭和36年4月1日から。最低25年(今は最低10年)の保険料納付とか免除期間があれば、国民年金支払いは65歳から。ここで、被用者年金に加入していない何の保障も無かった20歳から60歳までの人を強制加入とし、正式に「国民皆年金」となりました。

あとついでに医療保険である国民健康保険も全国適用になった。本当は医療保険が課題としては先だったんですけどね。国民健康保険は昭和13年に作られたが、農林漁業のみ適用だった。この昭和36年4月1日は国民皆年金と国民皆保険が同時に達成される凄い日だったんです。

ただし、サラリーマンとか公務員みたいな被用者年金の専業主婦とか、あと、学生は強制加入にはしなかった。つまり、加入してもしなくてもいい任意加入という形。サラリーマンや公務員の専業主婦とかは厚生年金や共済年金に守られている形(配偶者加給年金が付くし、夫が亡くなれば妻には遺族厚生年金が出るし)だったから強制加入させる必要が無いとされて任意加入になった。学生は負担能力が無いと判断されて任意加入とされた。

それにしても、当時全就業者4,200万人の内年金に加入出来てなかった人がとりあえず全て国民年金に加入する形にはなったけど、所得が低くて所得税納税者なんて国民年金加入対象になった2,500万人の内400万人くらいしかいなかったんですよ。住民税の均等割すら支払えない人も沢山いた。

もし、所得がある人だけに加入させるとすれば2割の人程度しか加入できなくなってしまう。だから国民皆年金で国民年金強制加入の形を作ったものの保険料支払えない人が多いんじゃ、国民全てを国民年金に加入させれたとは言えないから、保険料免除制度で保険料支払えない人もカバーしたんです。国民年金の3分の1は国庫負担(税金)だから、せめてその税金分くらいは受け取れるように(平成21年4月からは国庫負担2分の1に引き上げ)。

その保険料を払えない人まで含めるとすれば確かに保険としてはどうなのかなという面はありますが、20歳から60歳まで40年もあるから、支払える時に支払ってもらって支払えない時は免除しようとなりました。普通は長期保険で保険料を何年も免除したのに年金を出す仕組みは成り立ちませんけどね。国民全員に保障ができたのはやはり免除制度の存在が大きい。この免除制度をうまく利用していただいていたらわざわざ年金受給資格期間を25年から10年に短縮する必要は無かったと思う。

さて、全額税金でやる福祉年金は金額こそ低額はありましたがとても喜ばれたんです。しかし、昭和36年4月からの拠出制の国民年金に向けて、保険料を徴収する準備が始まる(年金手帳の配布)昭和35年10月から社会党を中心に全国的に大規模な反対運動が始まったんです。反対運動が広がって、国民年金の変な悪評が広まってしまって制度が軌道に乗らず、定着するまでは10年ほどかかってしまった。

なぜこんなに強い反対運動があったかというと、保険料を戦費調達に使われるかもしれないとか年金積立金の使途が不明だったからです。だから、年金保険料は別に管理して使途を明確にする事になったんですね。

また、国民年金が作られる時に全額税で支給する税方式でやるか、あらかじめ保険料を納める自助努力と自己責任の精神である社会保険方式でやるのかという問題がありましたが、やはりあらかじめ自助努力で老後に備えるという事は当然であり社会保険方式が採られたわけです。

そりゃあみんな出来るだけ保険料負担なんてしたくないし、税金で支払ってもらった方が管理コストも無いし、一定の年齢になれば誰もが年金が支払われる。しかし、老齢とか障害、死亡という事態に対してあらかじめ自分の力でできるだけの備えをする事は生活態度としては当然の事であり、社会は自助努力と自己責任の原則が基となっています。

毎回くどいようですが年金は保険であります。社会保険方式であれば、納めた保険料に対して給付額も変わるから、保険料納めた額が低いなら低い年金になるし、保険料を納めた額が多いなら多めの年金になるから給付(年金)と負担(保険料)の関係が明白。

また、当時これから高齢化が進む事は既に見込まれており、税方式でやるとなると将来とんでもない負担になるし、全額税金でやるとなるとどうしても給付は低額になりやすく、所得制限や何かと政府の介入が入り込みやすいから社会保険方式が決定された。税方式か社会保険方式か? という決断の面ではそう時間がかかる問題ではなかった。まあ、今は年金給付は1年間で57兆円とかそんな巨額だから、税方式だったらとてもじゃないけど不可能ですよね。消費税なら1%上げれば2兆7千億ほどの税収になりますが、最低でも20%は消費税上げないといけない。

というわけで、この年金月間はちょっと年金について振り返ってみてはいかがでしょうか? 自分の年金はこうなってるのか~とかわかると親しみが持てるかもしれませんね^ ^。

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