住宅購入を契約するなら「19年4月以降」?贈与税の非課税枠が拡大

住宅購入を契約するなら「19年4月以降」?贈与税の非課税枠が拡大

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  • 更新日:2018/01/14

住宅取得のための資金を祖父母や両親などから贈与された場合、一定額まで非課税になる「住宅取得等資金贈与の特例」という制度がある。通常なら、年間110万円超の贈与に関しては、贈与税の対象になるのだがそれがゼロになったり、大幅に節税できるので、住宅の取得を考えている人は、両親などと相談して援助の道が開けないかどうか、相談してみてはどうだろうか。

しかも、この特例制度の非課税枠、現在は最高1200万円だが、2019年4月以降に、消費税10%の住宅を取得した場合には、非課税枠が最高3000万円まで増加する。両親などからの贈与の可能性のある人は、そこにターゲットを合わせたマイホーム計画を考えるのが得策になるはずだ。

■現在でも290万円の贈与税がゼロになる

まず、この制度がいかにトクする制度であるかを試算してみよう。
現行制度では、「質の高い住宅」なら1200万円まで非課税になる。これに年間の基礎控除110万円を加えて1310万円まで非課税で贈与を受けることができるわけだ。

この制度がないと、1310万円の贈与を受けた場合、基礎控除の110万円を差し引いた1200万円が課税対象になる。直系尊属からの贈与は一般の贈与に比べて多少税率が低く設定されているとはいっても、決して少なくない税金がかかる。1000万円超1500万円以下の贈与は税率40%で、税額計算はこうなる。

(1310万円-110万円)×0.4(40%)-190万円(控除額)=290万円

税額は290万円だから、1310万円の贈与を受けても、実際に住宅取得資金に充てられる金額は1000万円ほどに減ってしまう計算だ。
それが、この特例を利用すれば税額はゼロになる。1310万円丸ごと住宅取得に充てられるようになるのだから、効果は小さくない。1000万円前後の贈与を受けられる人であれば、いますぐにでもこの制度を利用して住宅取得を考えてはどうだろうか。

なお、この制度における「質の高い住宅」というのは、断熱性、耐震性、バリアフリー性のいずれかが優れた住宅のこと。下記の3つの条件のうち、いずれかひとつを満たせばOKなので、さほど難しい条件ではない。

●質の高い住宅の条件(下記の(1)〜()3の基準のいずれかを満たすもの)
(1)断熱等性能等級4または一次エネルギー消費量等級4以上の住宅
(2)耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上または免震建築物の住宅
(3)高齢者等配慮対策等級(専用部分)3以上の住宅

■多額の贈与を受けられる人は19年4月以降に

しかし、もっと多くの贈与を受けられそうな人は、もう少し待ったほうがいいかもしれない。というのも、この贈与税の非課税枠、19年4月から最高で3000万円に拡充される予定なのだ。年間の基礎控除と合わせて3110万円まで非課税での贈与が可能になる。

周知のように、19年10月からは消費税が10%に引き上げられる予定。増税されると、その前に駆け込み需要が発生し、その後は反動減に襲われる。実際、14年に5%から8%に引き上げられたときには、引上げ後に住宅市場が一気に縮小し、立ち直るのに2年ほどの時間を要している。

そうした変動を極力抑制するため、「すまい給付金」制度の給付額が最高30万円から50万円に増えることになっているし、この非課税枠の拡充もその反動減をできるだけ少なくするための対策のひとつとして実施される。実際、どれくらいの効果があるのかは多少疑問が残るが、それはそれとして、多額の贈与を受けられるなら、この制度を利用しない手はない。

しかも、この制度、下にあるように、最高3000万円になる期間は19年4月から20年3月までの1年間に限られている。その後は1500万円、1200万円と縮小される予定だ。

●消費税10%が適用される人の非課税枠
契約年/質の高い住宅/一般の住宅
〜2019年3月/1200万円/700万円
2019年4月〜2020年3月/3000万円/2500万円
2020年4月〜2021年3月/1500万円/1000万円
2021年4月〜2021年12月/1200万円/700万円

■19年4月以降は1085万円の贈与税がゼロに!

実際、この制度を利用すればどれくらいのトクになるだろうか。基礎控除と合わせて3110万円の贈与を受けた場合の税額を試算してみよう。この制度がない場合の税額の計算はこうなる。

(3110万円-110万円)×0.45(45%)-265万円(控除額)=1085万円

税額は何と1085万円。3110万円のお金を貰っても、そこから1085万円の贈与税を支払わなければならず、住宅取得資金に充当できる金額は2000万円ほどに減ってしまう。それでも、それだけの贈与を受けられるのならたいへん恵まれた環境にあることを感謝すべきだろうが、1000万円もの贈与税を払ってまで贈与を受けたいという人は少ないだろう。

それが19年4月から20年3月までの間に贈与を受けて消費税率10%の住まいを買った場合には、特例によって贈与税はゼロになる。1085万円の税額がゼロになって、3110万円を丸々住宅取得資金に充てることができるのだから、この機を利用しない手はない。

■タイミングをはずすと税金が重くのしかかる

万一、この時期を逃して20年4月の贈与になったときには、非課税枠は1500万円に減ってしまう。3110万円の贈与を受けたときの税額は、

(3110万円-110万円-1500万円)×0.4(40%)-190万円(控除額)=410万円

410万円の贈与税がかかってくることになる。両親や祖父母からの大切なお金が目減りしてしまうのは何とももったいない。

■年間所得2000万円以上の人は対象外に

この制度を利用するには、人の条件、取得する建物の条件の双方を満たす必要がある。

まずの人の条件としては、贈与を受けるときに、贈与者の直系卑属でることが条件。直系卑属というのは、子ども、孫、曾孫などのことであり、つまりは、両親、祖父母、曾祖父母などからの贈与であればOKということだ。

そのほか、日本国内に住み、年齢が20歳以上のほか、贈与を受ける人の年間の所得が2000万円以下でなければならない。年収が2000万円を超えて、二千数百万円に達している人は利用できない可能性が高いので注意が必要だ。

また、贈与を受けた年の翌年の3月15日までに、住宅を取得し、その住宅に居住しなければならないという条件もある。注文住宅や新築の大規模マンションなどであれば、契約から入居までに1年、2年とかかることがある。まだまだ先のこととあまりノンビリしていると、タイミングを逸してしてしまうので、いまからシッカリと計画を立てて実行することが肝心だ。

★非課税枠を利用できる受贈者の条件
(1)贈与時に日本国内に住所を有していること
(2)贈与時に贈与者の直系卑属であること
(3)贈与年の1月1日において、20歳以上であること
(4)贈与年の合計所得金額が2000万円以下であること
(5)贈与年の翌年3月15日までに、住宅取得等資金の全額を充てて住宅用の家屋の新築もしくは取得又は増改築等をすること
(6)贈与年の翌年3月15までにその家屋に居住すること、又は、同日後遅滞なくその家屋に居住することが確実である

■古すぎる住宅や狭い住宅は対象にならない

最後に、この非課税枠を利用できる住宅についても所定の条件がある。税金を安くしたり、ゼロにできる制度なのだから、どんな住宅でもいいわけではない。社会資本となるべく一定のレベルに達している住宅でなければならないわけだ。

下にあるように、まず住宅の広さ。床面積が50㎡以上、240㎡以下という条件がある。50㎡以上という条件には、一戸建てならまず問題はないだろうが、コンパクトタイプのマンションだと対象にならない可能性があるので注意が必要。反対に、床面積240㎡超の豪華な住まいも対象外。この制度については、ただでさえ「金持ち優遇」という批判が少なくないだけに、あまりにも贅沢な建物には認められないようになっている。

また、中古住宅は耐震基準を満たしている必要がある。木造なら建築後の経過年数20年以内、マンションなどの耐火建築物の場合には25年以内で、1981年(昭和56年)施工の現行の耐震基準を満たしている住宅でなければならない。詳しくは下記の通りだ。

■住宅を新築し、又は取得する場合の家屋の要件

(1)新築又は取得した住宅の床面積(区分所有建物の場合はその専用部分の床面積)が50㎡以上240㎡以下で、かつ、その家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分が受贈者の居住の用に供されるものであること

(2)取得した住宅が次のいずれかに該当すること
1:建築後に使用されたことがないこと
2:建築後使用されたことがあるもので、その取得の日以前20年以内(耐火建築物の場合は25年以内)に建築されたもの
3:建築後使用されたことがあるもので、地震に対する安全性に係わる基準に適合するものとして、耐震基準適合証明書(家屋の取得の日前2年内にその証明のための家屋の調査が終了したものに限る)、建設住宅性能評価書の写し(家屋の取得の日前2年以内に評価されたもので、耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)に係わる評価が等級1、等級2又は等級3であるものに限る)のいずれかにより証明されたもの

山下和之
1952年生まれ。住宅・不動産分野を中心に新聞・雑誌・単行本・ポータルサイトの取材・原稿制作のほか、各種講演・メディア出演など広範に活動。主な著書に『家を買う。その前に知っておきたいこと』(日本実業出版社)、『マイホーム購入トクする資金プランと税金対策』(学研プラス)などがある。山下和之のブログ: http://yoiie1.sblo.jp/

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