日本企業のAI活用における最大の課題は〝勘と経験〟で商売をしてきた経営者!?

日本企業のAI活用における最大の課題は〝勘と経験〟で商売をしてきた経営者!?

  • @DIME
  • 更新日:2017/11/22

人工知能(以下・AI)が社会を一変させると叫ばれている昨今、日本は欧米や中国等、AI先進国に後塵を拝していると言われる。日本の企業はAIにどう取り組んでいるのだろうか。

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公立はこだて未来大学の客員教授、高柳浩氏は同大の産学官連携コーディネーターとして、セミナーや講演会等で各企業のAI担当者に数多く接している。そんな高柳氏に第3次といわれるAIブームの背景、日本の企業のAIへの取り組み方。汎用AIが普及した未来社会のあり方について、虎ノ門ヒルズ内の同大サテライトオフィスで話を聞いた。

●人と機械の歩み寄り

――まず、高柳先生はAIについてどの様な定義をお持ちなのでしょうか。

「人の脳を模倣した機械と言いたいですね。ドラえもんのようなものができるのはまだ先ですから、地に足をつけ、AIのできることを考えるべきでしょう」

――今日のAIのブームの背景には、インターネットやユーチューブ等の普及で、大量のデータの収集が可能になったこと。コンピュータの性能が向上したことが指摘されます。

「昨今は人が機械に優しくなったといいますか。普及が加速している自然言語機能を用いたSiri(シリ・発話解析・認識インターフェース)や、グーグルの音声認識が広まったのはここ数年です。当初は間違いが目立ちましたが、みんなが“まっ、いいや”みたいな感じで。チャットポットがトンチンカンな答えをしても“楽しいね”と、以前と比べると人が機械に歩み寄る感じですね。

それはなぜかといえば、スマホが身近になったからではないか。ちょっと前まで、僕らは10以上の電話番号を覚えていたものでした。ところが今は電話番号なんてほとんど覚えない。スマホが人の補助記憶装置になっている。このように人間がITを日常生活の中で使いこなしています」

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――普及が確実なAIも、人は使いこなしていくに違いありません。そんな近未来を目前にして、日本の企業はどのようにAIに取り組んでいるのでしょうか。

「資本主義は効率が優先されますから、『AIはこれまで集めた顧客の膨大なデータをディープラーニングで分析して、売れ筋のものを導き出してくれるらしいじゃないか。君たちの部署でAIを導入して、次に売れるものを考えてくれ』と社長の業務命令が下る。担当は社内の人間ですから、『頑張ります』とAIに取り組む。

ところがディープラーニングは100%期待する成果が出るとは限りません。データをチューニングしたり、パラメーターを調整したりするのですが、学習のさせ方がうまくいかなければ、データの中から思うような回答を導くことができない。GPUとか大型の演算装置を使ったり人件費もかかる。失敗すれば数千万円の赤字になります。1年たっても成果が出なければ、経営者としてはAIへの投資は及び腰になる。

また、データをAIが解析して、答えを導き出しても、それを経営者が信じるかどうか。アパレルの業界を例に取るなら、来年流行するカラーは“赤”だと、AIが結論を導いたとしても、その結論に対する因果関係を説明するのは極めて難しい。答えを導き出す過程はブラックボックスになってしまう。ところがカンと経験則で長年商売をしてきた経営者は、なんで“赤”なのか納得できない。過程の説明もなく、経営者がAIの答えを信用することができるのかという問題もあります」

●サラリーマン技術者の悲哀

――AI導入を任されるのは企業内のサラリーマン。彼らは失敗を恐れチャレンジしづらい環境にある。また、勘と経験で商売をしてきた経営者が、AIの回答を手放しで信用できるかどうか。日本の企業のAI導入には、そんな問題点があるというわけですね。

「少しずつ流れが変わってきてはいます。将来的にAIを導入せざるを得ないと感じている経営者は、結果が出なくてもディープラーニングの経験や、アルゴニズムを学べたことが、将来の蓄積につながると考え方をすることも珍しくなくなりました」

なぜ、日本のAIの現状は欧米や中国と比べ周回遅れと言われるのか。諸外国では膨大なデータを収集できるシステムがあるが、日本では個人情報保護法等が足かせになり、データの収集量が圧倒的に不足しているからだと言われている。しかし、日本企業のAIに取り組む姿勢を考えた時、他にも原因があるように思えてならない。

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高柳 浩氏
1968年2月9日生まれ 北海学園大学大学院卒。民間のソフトウェア会社のエンジニア、役員を経て、公立はこたて未来大学の客員教授として、虎ノ門ヒルズサテライトオフィスにほぼ常駐。その一方で、産学官連携コーディネーターとして、企業研修扱う会社が主催するAI関係のセミナーの講師を務めている。

取材・文/根岸康雄

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