アップルiPhone 11 Pro Max先行レビュー:例年以上にテクノロジーの面白さが詰まった1台

アップルiPhone 11 Pro Max先行レビュー:例年以上にテクノロジーの面白さが詰まった1台

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  • 更新日:2019/09/17
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iPhoneを毎年レビューするようになって、だんだんスマートフォンの「カタチ」としての変化が落ち着いてきたと感じます。

というのも、2007年にiPhoneは板状のデバイスとして登場し、2010年のiPhone 4でメタルフレームをガラスでサンドイッチした形状がすでに作り出されました。そして2017年に登場した新世代iPhoneのコンセプト「iPhone X」が登場し、ついにカメラ以外の凹凸がガラスから消えました。

ジョナサン・アイブがアップルを去ることもあって、スマートフォンのデザインはすでに完成されたもの、と見られているかのようです。しかし残された仕事はその形状以外にある、と言わんばかりのアップデートが、2019年モデルのiPhoneなのです。

物理、化学、認知、そして機械学習……スマートフォンの進化はすでに根源的なサイエンスの世界に持ち込まれており、アップルは研究開発と投資によって、大きなアドバンテージを得ている。地味に見える新モデルは、掘れば掘るほど楽しみが詰まっている、そんな印象すら覚えます。

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▲iPhone 11 Proシリーズには新たに18W USB-Cチャージャーと、USB-C - Lightningケーブルが付属する。iPhone 11にはこれまでの5W充電器が付属

●とにかく硬いガラスを、ケースなしで楽しみたい

iPhoneはせっかく美しく仕上げてあるにもかかわらず、多くの人はカバーを装着し、それを隠して使っています。カード類を持ち歩きたいというニーズももちろんありますが、多くの場合は落下による破損や、鞄の中でのすり傷を防止する目的が主です。デバイスメーカーとしてこれはやはり不名誉なことでした。

2019年モデルのiPhone 11は、Proモデルも含めて「スマートフォンの中で最も硬いガラス」を謳う自信作です。それもそのはず、スマートフォン向けのガラスは米コーニングのゴリラガラスが有名で、多くのメーカーが採用していますが、アップルは2017年5月、同社の米国向け先端製造業ファンドを通じてコーニングに2億ドルを投資しました。その成果が、iPhone 11シリーズで結実したのです。

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iPhone 11シリーズのガラスは1枚ながら、カメラ部分が出っぱっており、レンズに合わせて穴が開けられています。これまでのiPhoneでは、平面からカメラ部分が金属パーツのみで立ち上がっていましたが、今回はその金属部分の出っ張りがおさえてあります。

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しかも、iPhone 11は平面が光沢でカメラ部分がマット加工、iPhone 11 Proシリーズでは平面がマット加工でカメラ部分が光沢と、2つの加工を入れ替えて採用している部分も細かい仕事と言えます。

iPhone 11 Proはちょうど滑らかなすりガラスのようで、ともすればマット加工してある金属ではないか、と勘違いするほど。つまり、それだけ硬く重厚感ある感触が指先をつい滑らせたくなる平面です。このガラスの背面だけでも、Pro仕様を選ぶ動機になってしまいそうです。

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●A13 Bionicチップ:パフォーマンスとバッテリー

iPhone 11、Proの両モデルにはA13 Bonicチップが搭載されています。手元のGeekbenchで計測すると、シングルコア5500前後、マルチコア13800前後の数字を叩き出します。メモリは4GB、クロックは2.66GHzと表示されました。

昨年のiPhone XS Maxよりも20%ほど高速化していますが、2018年モデルに搭載されるA12 Bionicですら、今年のAndroidスマートフォンの最高峰よりわずかに勝るスコアであるだけに、アップルが言うスマートフォン最速のチップというのは間違っていないでしょう。

もちろん高速化にもこだわっていますが、それ以上にA13 Bionicが気づかったのが省電力性。iPhone 11はそれまでのiPhoneで最もバッテリー持続時間が長かったiPhone XRより、さらに1時間長持ちするとしています。これはA13 Bionicの省電力効果でしょう。

しかしiPhone 11 Proシリーズは、iPhone XSシリーズと比較して、5.8インチモデルが4時間、6.5インチモデルに至っては5時間長持ちします。のんびり過ごす週末であれば、省電力モードにして土日いっぱい充電せずに過ごせるほどの電池の持ちになりました。これはさすがにチップの省電力性だけでは片づかない変化です。

iPhone XSシリーズの7.7mmから、iPhone 11 Proシリーズは8.8mmへと1.1mm厚くなりました。また重さも5.8インチモデルで11g、6.5インチモデルでは14g増加しており、バッテリー容量が大きくなったことが、バッテリー持続時間の増加に寄与しているといえるでしょう。

Proモデルは「Pro向け」という免罪符を経て、薄さや軽さを追求する必要がなくなった、ということかもしれません。

●驚きのディスプレー、さらに驚くスピーカートリック

加えて、ディスプレーもProシリーズでは改良されました。これまで通りの有機ELディスプレーですが、最大輝度1200ニト、コントラスト比は200万:1へと向上し、名前もSuper Retina XDRとなりました。

実は今回紹介してきた写真は、iPhone 11をiPhone 11 Pro Maxで、iPhone 11 Pro MaxをiPhone 11でそれぞれ晴れた屋外で撮影したのですが、iPhone 11 Pro Maxでの撮影のほうが、細かいピントや色味などを確認しながら撮影できました。

ディスプレーが明るくなったにもかかわらず、以前のモデルよりも省電力化に寄与しているというから不思議です。アップルによると15%の省電力性を実現しており、こちらもシステム全体のバッテリー持続時間向上を実現していました。

ディスプレーとともに進化しているのがスピーカーです。こちらでは「サイコ・アコースティック」というテクニックが使われています。これは、2つのスピーカーの音の配分や遅延をコントロールして、仮想的にサラウンド空間を作り出すことができる仕組みで、基本的には人の耳を騙して、あたかも背後から音が出ているような感覚を伝えるのだそうです。

アップルはApple TV+をスタートするなど、今後自社デバイスを映像消費に最適なものへとさらに進化させていくことになります。このスピーカーのトリックは、なかなかテキストやレビューのビデオではお伝えできない「感覚」。ぜひApple Storeなどで体験してみてください。

●鮮やかに連携する3カメラシステム

iPhone 11とiPhone 11 Proシリーズを分ける部分は、背面ガラスの仕上げ、有機ELディスプレイ、より長くなったバッテリー持続時間、そして望遠カメラと、意外と少ない要素しかありません。

スマホの要であるカメラ機能に注目しても、ナイトモードや撮影した後から写真やビデオに残すフレームを調整できる機能などは11もProも共通機能なのです。iPhone XSシリーズとiPhone 11 Proシリーズを比較すれば、iPhone 11同様、13mm/f2.4の超広角カメラが追加されたことが大きな違いです。

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▲iPhone XS MaxとiPhone 11 Pro Max。カメラの配置は端末上部に広角、下部に望遠という構成が共通しており、3つ目のカメラに超広角が割り当てられている。

このカメラは単独でも、よりダイナミックな風景や、距離が取れない被写体をすべておさめる、今までiPhoneで撮れなかった写真が撮れるようになる点は同じですが、それ以外にも働き続けてくれます。

例えば通常の広角カメラでの撮影時は、ファインダーの外側も画面内に表示してくれて、あとから写真に含める領域を調整できる機能の実現に役立てられます。そうでなくても、オートフォーカスやホワイトバランス、色の調整などの分析に活用され、特にiPhone 11 Proでは、望遠に加えて広角ともにポートレート撮影をサポートしました。

実は望遠のポートレートモードも、より距離を詰めて撮影できるようになるため、iPhone XSやiPhone 11に比べて、ポートレートモードの自由度が格段に高まっているのです。

ナイトモードも、暗いレストランで白いお皿は白く、赤い肉は赤く、色を正確に映し出してくれる点で、他のスマートフォンよりも効果的な結果が得られる、という印象でした。

それぞれのカメラが常に作動して写真作りに役立つことから、1つのカメラシステムとしてとらえた方が良いかもしれません。その上でスタンダードモデルは2つのカメラで、Proモデルは3つのカメラでの絵作りとなり、画質の向上に寄与することになります。

ただし、短いレビュー期間の中で、iPhone 11 Proがよりアドバンテージを発揮する場面に出会うことは難しかったと言えます。もちろん望遠カメラ主体での撮影が可能で、こちらもF2.0へと明るくなったことから、より自由度やクリエイティブ性が高まっています。

だからといってiPhone 11のカメラが見劣りするわけではありません。なんとなくカメラに関しては、13mm-26mm広角ズームレンズにするか、13mm-26mm-52mmの広角標準ズームレンズにするかを選ぶような感覚かもしれません。

●作例

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▲上から、13mm / 26mm / 52mm。いずれの写真も、複数の素材、光と影が入り乱れている風景だが、影の木目まで綺麗に映し出す。

●作例

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▲上から13mm / 52mm

●秘密のU1チップ

最後に、通信周りについて触れておきましょう。

今回は5Gに対応しなかったため、あまりアピールされていませんが、通信周りでも高速化が進んでいます。今回のiPhoneの世代で、IEEE802.11ax、いわゆるWi-Fi 6をサポートし、通信速度が最大38%向上します。加えて、多ユーザー環境でも接続までの時間が短縮するなど、より快適さを追求したWi-Fi環境に対応するようになります。

もちろん、Wi-Fiステーション側がWi-Fi 6に対応しなければその恩恵に授かれないため、iPhone 11だけではあまり意味がないのですが、今後整備される次世代Wi-Fiに対応する点は、長く使う上でありがたいポイントです。

そしてもうひとつ、超広帯域通信(Ultra-wide band、UWB)に対応するU1チップというワイヤレスチップが新たに搭載されました。これはWi-FiやBluetoothではつかめなかったデバイスの方向や距離を正確に取得することができるようになる仕組み。

次のソフトウェアアップデートで、iPhone 11シリーズ同士のAirDropをする際、iPhoneを向けた方にいる人のデバイスを優先的に表示する機能を実装するそうです。

UWBは近接データ通信の規格としても期待され、Bluetoothより高速な通信にも対応しますが、現状普及には至っていません。一方、車のセンサーやレーダーなどで用いられるパターンが見受けられるようになりました。アップルもクルマで人や障害物を検知するセンサーの例を挙げ、UWB活用で大きなアドバンテージを得ることになる点を指摘していました。

●例年以上に面白さが詰まった1台だった

iPhone 11、iPhone 11 Pro Maxの新しい部分について、実際の使用感を交えてお伝えしてきました。

堅牢性とバッテリー持続時間という、すべてのスマホユーザーの悩みに対処し、常に連携するカメラシステムを構成する2つ・3つのカメラのユニークかつ効果的な連携、そして新しいワイヤレス技術への対応と、今年は例年以上にテクノロジーとしての面白さが詰まった1台だった、という印象でした。

技術の踊り場を停滞とせず、次世代モデルの主役となる技術を専攻して導入していく、そんなアップルの強さと余裕が現れた新モデルとして、楽しめるはずです。

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筆者紹介――松村太郎

1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。

公式ブログTAROSITE.NET
Twitterアカウント@taromatsumura

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