ソフトバンクのウーバー出資、低い評価額が壁か

ソフトバンクのウーバー出資、低い評価額が壁か

  • WSJ日本版
  • 更新日:2017/09/15
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米配車サービス大手ウーバー・テクノロジーズの経営に関与できるだけの同社株を取得しようとするソフトバンクグループの取り組みが実を結ぼうとしている。ただ、大幅な値引きでの株式売却に二の足を踏む株主もいる。

複数の関係者によると、ウーバー取締役会は数週間に及ぶ協議を経て、ここ数日はソフトバンク主導の投資計画への対応を詰める作業に入っている。合計で最大100億ドル(約1兆1000億円)の出資を受け入れる可能性があるという。

合意が成立した場合、ベンチャーキャピタル(VC)を後ろ盾に持つ非上場新興企業への1回の投資としては過去最大級になる。またソフトバンクは世界のほぼ全ての大手配車サービスの大株主になることができる。ソフトバンクの孫正義社長はウーバーのような企業が世界を変えるとみている。

関係者らによると、ソフトバンクと10兆円規模のハイテク投資ファンド「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」は、ウーバーの株式少なくとも17%、最大で22%を、同社からの直接購入とTOB(株式公開買い付け)の組み合わせで取得することを提案している。出資の一環として2人の取締役を送り込むことも求めている。ウーバー取締役会は現在9人で構成されている。

事情に詳しい関係者によると、交渉は早ければ来週にも決着する見通しだ。

ソフトバンクとウーバーの代表者はコメントを差し控えた。

ソフトバンクはアジアでウーバーの主要な競合他社にも出資するだけに、同社にこれほどのコントロールを与える見込みが出ていることで、ウーバー取締役会が直面する圧力のほどがうかがわれる。ウーバーは不祥事に揺れた厳しい1年を経て、同社株を処分したい株主グループをなだめようとしている。数人の取締役は、ソフトバンクが競合配車サービスを資金面で増強することでウーバーが劣勢に立たされないよう、出資の受け入れは不可欠だとみている。

調査会社カナリスのアナリスト、ルシャブ・ドーシ氏(在シンガポール)は、ウーバーに出資すればソフトバンクは多くの市場で競合各社に資金をつぎ込むことになるが、それが競争の促進につながれば同社にとってゆくゆくは有利だと指摘。「配車サービス市場に健全な競争がある方がソフトバンクには望ましい」と語った。

だがハードルもある。関係者によると、株主がウーバーの直近の評価額700億ドルから30%以上割安となる価格で十分な保有株を手放さなければ、ソフトバンクは大量のウーバー株を取得できない。ウーバーの価値は500億ドル前後に下がることになるが、関係者によれば、どれだけの株主が売却の意向を示すかによって買値が変わる可能性がある。

この低バリュエーションでは持ち株を手放さないと非公式に話す投資家もいる。数人の投資家は、バリュエーションが高くなるまで待つ理由として、大株主ベンチマークの8月のツイートを引き合いに出した。ウーバーの株式約13%、84億ドル前後を保有し、取締役1人を送り込んでいるベンチマークは、ウーバーの価値が2年後には1000億ドルを「軽く超える」との見方を示していた。関係者によると、ベンチマークのパートナー陣は孫氏と7月に会談したが、双方はウーバーのバリュエーションについて折り合えずに終わった。ベンチマークの代表者のコメントは今のところ得られていない。

ソフトバンクはウーバーの足元のバリュエーション(約680億ドル)に基づいて、少なくとも10億ドルの直接投資も計画しているという。ウーバーが早ければ1年半以内に新規株式公開(IPO)を実施する可能性があるなか、出資のプロセスで同社の価値が落ちることを警戒する既存株主をなだめられそうだ。

関係者によると、ソフトバンクの他に出資する予定の投資家にはサンフランシスコのヘッジファンド、ドラゴニア・インベストメント・グループ、ニューヨークのプライベートエクイティ(PE)会社ゼネラル・アトランティックが含まれる。両社からのコメントは今のところ得られていない。

ウーバー取締役会は数週間前、ソフトバンクとの独占交渉期間を設けることを認め、財務情報へのアクセスを提供した。新最高経営責任者(CEO)にエクスペディアからダラ・コスロシャヒ氏を迎えた後、ここ数日はソフトバンクによる出資計画がウーバー取締役会のただ一つの焦点となっている。

大まかな条件はコスロシャヒ氏がCEOに就任する以前から決まっていた。コスロシャヒ氏は既にソフトバンクとやり取りした経験がある。ソフトバンクは今月、インターネット通販の米ファナティクスの10億ドル規模の資金調達ラウンドを主導したが、コスロシャヒ氏はファナティクスの取締役でもある。

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