小池百合子の“天敵”ジャーナリスト・横田一が注目する2018年問題「日本人にとって“知らない”では済まされない」

小池百合子の“天敵”ジャーナリスト・横田一が注目する2018年問題「日本人にとって“知らない”では済まされない」

  • 日刊SPA!
  • 更新日:2018/01/13
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横田 一 氏

衆院選直前の会見で、小池百合子希望の党代表(当時)の「排除」発言を引き出した注目のジャーナリスト、横田一氏にインタビュー。「2018年の日本人にとって、憲法改正と危機管理が重要なテーマになる。“知らない”では済まされない」と横田氏は警告する。

◆結果的にウソをついた形になったのが希望の党の敗因

――小池百合子都知事の“天敵”と呼ばれ、横田さんへの注目が高まっていますね。

横田:私は“敵”のつもりではなく、むしろ小池さんに期待していたんです。森友・加計問題で情報隠蔽体質丸出しの自民党を批判し、都民ファーストを圧勝に導いた手腕を高く評価していました。国政でも、自公体制を打ち破る政治家として注目していたのです。

――しかし、横田さんが「排除」発言を引き出した2017年9月29日の会見が、希望の党を失速させることに繋がりました。

横田:いえ、このときは政権交代に向けた建設的提案の意味合いを込めた質問でした。「(希望の党の綱領にある)『寛容な保守』というのなら、どうしてハト派からタカ派まで包み込まないのですか」と聞きました。「『排除』発言を引き出した」と言われていますが、これはその前日に両院議員総会で前原誠司・民進党代表(当時)が「排除されません」と説明した言葉を、そのまま小池さんにぶつけただけなのです。

――その質問に小池さんが「排除いたします」と答えたことで、前原さんと小池さんの説明が違うものになってしまいました。このことが希望の党と立憲民主党の分裂を招き、結果的に自民党を利するようになったとの見方もありますが。

横田:注目してほしいのは、このときまだ小池さんには3日間の余裕がありました。枝野幸男さんが立憲民主党の設立会見をする2017年10月2日までに「排除」発言を撤回していれば、あるいは前原さんと相談して「民進の希望への合流」を白紙に戻し、「希望合流組」と「リベラル新党」に分党したうえでお互いに選挙協力をしていれば、結果は違うものになったと思います。結果的に前原さんがウソをついた形になったことが、有権者の支持を失った最大の原因です。

◆“天敵”は小池知事だけでなく、石原慎太郎氏、鈴木宗男氏、橋下徹氏……。

――会見でいつも厳しい質問をする横田さんは、これまでも“天敵”をたくさん作っていますね。

横田:石原慎太郎さんや鈴木宗男さんには何度も大声で怒鳴られました。また、橋下徹前大阪市長とも会見でよく論争になりましたね。その他、批判記事を書いた政治家の支援者に恫喝されたり、集会を取材しようとして追い出されたりということはよくあります。安倍総理の参院選補欠選挙での山口入りを直撃しようとしたきは、山口県警の警察官に阻止されました。その後尾行された挙句、翌日の街頭演説では街宣車に近づくことさえ警察官に妨害されました。

――安倍総理のほかに、安倍昭恵夫人の追っかけ取材もしていますね。

横田:昭恵夫人はさまざまな現場に赴いて当事者の話を聞き、「脱原発の人々の意見を夫に伝えます」とか「防潮堤見直しについて夫に伝えます」などとコメントしていて、安倍総理の近くにいながら政策への異論を伝えられる稀有な存在として注目してきたんです。私は昭恵夫人の視察に(勝手に)密着した記事をたびたび書いています。ただ、最近はそうした発言をされなくなっているので、残念に思っています。昭恵夫人の講演会に忍び込んだところ、いきなり「横田さんが来ていて(記事にされるので)、今日は突っ込んだ話はしません」と名指しされたこともありました。

◆思想や人物ではなく、政策の中身を是々非々で判断

――サングラスをかけているのはなぜですか?

横田:記者が素顔をさらして得することはありません。潜入取材をすることもあるので、人前に出るときはなるべく素顔を明かさないほうがよいと思っています。例えば2017年3月3日の石原慎太郎・元都知事の豊洲問題に関する会見は、日本記者クラブの主催でした。記者クラブ主催の会見は、記者クラブ側が情報を独占しようとしてフリー記者が排除されることが多く、このときも直談判をしましたが入れてもらえませんでした。そこで受付をせずに会見場に入って、石原元知事に質問したのです。

――バレて追い出されることも多そうですね。

横田:安保法制に関する公明党の部会を取材しようとしていたら、記者クラブ加盟社の新聞記者に告げ口をされ、追い出されたうえ追いかけ回されたこともありました。2015年4月の北海道知事選では、告示日には札幌市内の高橋はるみ陣営の選挙事務所で取材できたのですが、私が高橋知事に質問したり批判的な記事を書いたりしたところ、会見から追い出されるようになりました。投開票日に事務所で当確が出るのを待っていたら、いきなりスタッフに取り囲まれて追い出されたのです。追加取材のために翌日あらためて事務所を訪れると、今度は「住居侵入、不退去。警察を呼ぶ」と言われ、エレベーターの中では「コラ! いい加減にせいこの野郎」と恫喝されもしました。

――その一方で、鈴木宗男さんや小泉純一郎さんの著書で編集協力を行い、小池知事や橋下前市長、小泉進次郎氏らについて肯定的な記事も多く書いています。

横田:僕は、思想や人物で判断してはいないんです。小池さんについてもそうですが、政治家の場合は、その人の政策の中身をその場で是々非々に判断しているだけです。

◆公明党の動向が政界再編を左右!?

――2018年、横田さんが注目する取材ポイントはどこですか?

横田:これまで取材してきた小池都政や永田町の動向、安倍総理周辺にある一連の疑惑を追い続けることに加え、2018年はいよいよ憲法改正が一気に押し進められることになりそうです。これは、公明党の動向がポイント。安倍政権は改憲に積極的な姿勢を見せていますが、与党は一枚岩ではない。当の自民党内でも反発があるし、このまま憲法改正をゴリ押ししようとすれば公明党はついていけない。支持母体の創価学会、特に婦人部からの突き上げに耐えられなくなっています。自公連立に、大きな軋みが出てくるでしょう。

――となると、自民党は公明党ではなく、維新・希望との連携が視野に入ってくる?

横田:希望の松沢成文氏、細野豪志氏、長島昭久氏らが自民党との連携・改憲に向けて積極的な動きを見せています。しかし、維新はまだしも希望の民進系議員はそれについていけないでしょう。連合が希望を完全に見放す可能性もあります。2018年に安倍政権が改憲を進めようとすればするほど、政界再編は避けられない事態になってくるでしょう。また、自民党内でも石破茂氏、細田博之氏、小泉進次郎氏など、安倍政権の政策に異を唱える動きも強くなってきています。あまり無理に進めようとすれば、党内からも“安倍おろし”が起こってくる可能性があります。

◆米国本土を守るため、日韓に100万人規模の被害!?

――そのほかに注目していることはありますか?

横田:対北朝鮮をはじめとする危機管理です。2018年は米朝戦争のリスクがさらに高まります。米国ジョンズ・ホプキンス大学の北朝鮮分析サイト「38ノース」が2017年10月、「北朝鮮の核ミサイル攻撃によって東京で死者100万人規模。水爆なら200万人規模」という衝撃的な被害想定を発表しているのです。同じ10月に元CIA長官も「米国の軍事オプションの可能性は20~25%」と警告しました。

トランプ大統領に近いグラハム上院議員は、「大統領は(日本・韓国の北東アジア)地域よりも米国を選ぶ」と発言。「ワシントンなど米国本土を北朝鮮の脅威から守るために、100万人規模で日本人や韓国人が犠牲になる」という事態が現実味を帯びてきているのです。でも多くの日本人はこのことを知りません。そこを取材し、読者に伝えたいと思っています。

――米トランプ政権は、北朝鮮だけでなくパレスチナやアラブ諸国との関係も悪化しています。

横田:そのトランプ政権に日本はベッタリですが、日米の親密さを世界にアピールすることで、イスラム勢力からのテロのリスクまで高めてしまっています。北朝鮮からのリスクも含めて、日本でいちばん怖いテロの標的は、原発です。

2017年12月6日の会見で、原子力規制委員会の更田豊志委員長は「原発テロ対策は十分」と私の質問に回答しました。しかし、自民党の石破茂さん(元防衛相)や泉田裕彦さん(前新潟県知事)らも原発テロ対策は不十分であり、テロが起きた場合のリスクについて警告しています。それなのに、政府は原発再稼働を進めようとしている。

これらの危機的状況について、多くの日本人が気づいていない。知らされていないのです。僕はまた、会見で怒鳴られたり無視されたり追い出されたりするのでしょうが、2018年もこれらのテーマについて追及したいと思っています。

【横田 一】(よこた・はじめ)
1957年生まれ。奄美大島で起きた右翼襲撃事件を描いた『漂流者たちの楽園』で1990年にノンフィクション朝日ジャーナル大賞を受賞。アポなし直撃を得意とし、政官業の癒着や公共事業・原発問題などを取材。著書に『トヨタの正体』『政治が歪める公共事業』『亡国の首相 安倍晋三』『新潟県知事選でなぜ大逆転が起こったのか』『検証・小池都政』、編集協力書に小泉純一郎『黙って寝てはいられない』 鈴木宗男『ムネオの伝言』など。

撮影/権徹 写真/産経新聞社

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