山の木霊が教えることは

  • 西日本新聞
  • 更新日:2017/08/11

「山の単語帳」(世界文化社)という自著で、昨秋他界した登山家の田部井淳子さんは〈木霊(こだま)〉の項をこう記している。

〈木に宿る精霊が応えるものと考えられたことから、大きな音や声が山や谷に反響して聞こえることをいいます。「山びこ」とも〉

山には精霊がいる-。日帰り登山でも、山小屋泊でも、その雰囲気はよく分かる。自然とより一体となるテント泊ならなおさらである。

田部井さん自身が陽気な妖精のような人だった。

トークショーを聴きに行ったことがある。飾らず、威張らず。故郷の福島なまりで、女性として世界で初めてエベレスト登頂に成功したときの様子などをユーモア交じりに語ってくれた。

「みなさん、歩くことは生きることです。背筋をぴんと伸ばし、前に進むことこそ、人が他の動物と違う点です」

なるほど。たとえ低い山でも気を抜かないで、と指導していた。昨夏、76歳で高校生と富士山に登ったのが最後の登山だったと記憶する。

きょう8月11日は祝日となって2度目の「山の日」だ。

日本山岳会の働き掛けをきっかけに、国民の祝日法に基づいて制定された。同法の第2条は「山に親しむ機会を得て山の恩恵に感謝する」日としている。

健康志向を背景に、登山愛好者の裾野は広がっている。頂上だけを目指す従来のピークハントだけでなく、途中で弁当開きをして引き返したり、麓の湿原だけを歩いたり、楽しみ方はさまざまだ。

とはいっても、山は生きものである。多くの死傷者を出した3年前の御嶽山(長野、岐阜県境)の噴火は、秋のお昼時という登山者にとって至福の時間を襲った。

九州で人気の阿蘇山、九重山、雲仙岳などは、いずれも活火山であることを忘れないようにしたい。

山には人々の歓声だけでなく、落石の音などもこだまする。大自然を楽しみつつ、危険の兆候にも耳を澄ましたい。

=2017/08/11付 西日本新聞朝刊=

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