【座間9人遺体】快楽としての殺人&死体解体の究極型...殺人研究家が解説

【座間9人遺体】快楽としての殺人&死体解体の究極型...殺人研究家が解説

  • Business Journal
  • 更新日:2017/11/14
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「世界的に見ても、そうとうに奇異な事件です」

現場にまで足を運んで世界中の殺人を研究する殺人研究家であり翻訳家の、柳下毅一郎氏はそう語る。

白石隆浩容疑者(27)は、神奈川県座間市のアパートで、8月下旬から10月にかけ、2カ月間に9人を殺害し遺体を解体、頭部など遺体の一部をクーラーボックスに入れて自室に保存していた。

殺人者が犠牲者の遺体を解体することは、日本でもしばしば起きている。その最大の目的は犯行の隠蔽である。遺体を解体し分散して遺棄すれば、まるごとの遺体を遺棄するのに比べてはるかに発見されづらい。解体された遺体が発見された場合でさえ、加害者の特定は難しい。1994年の「井の頭公園バラバラ殺人事件」は、被害者の特定はできたが、犯人にはたどり着けないまま公訴時効を迎えた。88年の「篠崎ポンプ所女性バラバラ殺人事件」、2003年の「つくば市男性バラバラ殺人事件」、08年の「琵琶湖バラバラ殺人事件」では被害者の身元さえわかっていない。

もちろん遺体を解体して遺棄しても、犯人逮捕に至った例も多い。だが殺人者が罪を逃れるために、遺体解体はかなり有効な手段なのだ。解体した遺体をアパートに残していなければ、白石容疑者の逮捕にはもっと時間がかかったか、あるいは逮捕に至らなかった可能性さえある。

世界を見渡してみても、解体した遺体を手元に残しておいた殺人者は、片手で数えられるほどしかいない。

最も有名なのは、映画『羊たちの沈黙』『サイコ』『悪魔のいけにえ』のモデルになった、エド・ゲインである。1957年、米ウィスコンシン州プレインフィールドの彼の家に保安官たちが踏み込むと、人間の皮で作ったランプシェード、ベルト、椅子、ブレスレット、人皮製の衣装、人面マスク、頭蓋骨からつくったスープ椀などがあった。ゲインは墓から掘り出した死体と、自分が殺害した死体から、それらをつくったのだ。

ジェフリー・ダーマーは、1978年から91年にかけて、警察が掴んでいるだけで17人の青少年を殺害した。ウィスコンシン州ミルウォーキーにあったダーマーのアパートに警官が踏み込むと、鍋には脳のトマトソースが出来上がっており、冷蔵庫にはラップでくるまれた2つの首、キッチンのガラス瓶には塩漬けにされたペニスがあり、煮込んだ手脚も出てきた。

●フェティッシュな快楽

世界の殺人に通暁した、柳下氏は座間の事件をどう見るのか。

「今まで伝えられている情報から言うと、ジェフリー・ダーマーのケースに一番近いと思います。トロフィーですね。トロフィーというのはそもそも、ハンターが猟をしたときの記念の獲物のことで、一緒に写真に写ったりしますね。殺人者のトロフィーというのは、自分が殺した証拠としてのものを取っておくことです。快楽殺人というのは、殺人そのものが快楽なわけで、自分が殺したときのことを思い出したりするために、なにかをとっておくのです。

ジェフリー・ダーマーは、ネクロフィリア(死体愛好)で、本当に死体が好きだったようです。生きている人が怖かったっていうことらしいです。ダーマーは死体を扱うのは全然苦じゃなかったし、むしろ死体を解体することを楽しんでいた。座間のケースは、これは本人に聞いてみないとわかりませんが、遺体は大きすぎるし置いとくのは無理だから、一番大事な首だけ取っておいたという気がします。フェティッシュな快楽として……。棄てにくかったんだ、と言ってるようですけど、他の部位は棄ててるわけですから」

2カ月で9人を殺害して解体するというスピードも、驚異的だ。

「最初に事件のことを聞いて、ジェフリー・ダーマーやテッド・バンディなどの連続殺人鬼の末期に近いかなと思ったんです。どちらも、一見すると正常に見えるタイプ。ダーマーの標的は男性で、バンディが狙ったのは女性ですが、最初はだいたい1カ月単位で殺していく。殺人欲求に従って殺していくわけですけど、1カ月ぐらいすると強迫にとりつかれて我慢できなくなって殺人を犯す。自分の殺人衝動を押さえ込める限界がだいたい1カ月ということです。

だけど、やっていくにつれて、一度の殺人で得られる刺激が少なくなってきて、次への間隔が短くなっていく。それと同時に、最初は凄く丁寧に死体を始末していたのが、処理がだんだん雑になってくる。最終的には死体がそのまま転がっていたりするところに人を連れ込んだりして、捕まるということになっていく。そういうパターンに近いかなと思いましたね」

白石容疑者は、最初から殺人衝動をコントロールできなかったということだろうか。

「よく言われるのは、小動物への虐待から始まるとか、あるいは最初は暴行から始まって、それでは満たされない血の渇きのせいで殺人に至る。そういう殺人鬼に育っていく過程というのがあるのですが、今のところ、そういう前段階の話も出てきていないので、まだまだわからないところがあります。

今言われているように、一人暮らしを始めてから殺人と解体を繰り返すようになったということになると、本当に世界的に見ても奇異な事件でしょう。遺体を解体するというのは、殺人そのものよりもずっとハードルが高い。解体の方法をインターネットで調べたと言っているようですけど、実際にやるとなったら、血は出る、臓物がある、臭いはきつい。やり方がわかったからといって、できるもんじゃない。

たとえ相手のことをそんなに知らなかったとしても、普通は1人殺すだけでも精神的にダメージを受けるわけです。しかも死体を埋めたりするわけじゃなく、わざわざ解体している。それを精神にまったくダメージを受けずに次から次にやっていたというのが、非常に特異なところですね。いきなり殺してから死体の解体に熟達するには早すぎるので、これ以前にもやってたんじゃないかという気が、どうしてもしてしまう。警察もそのあたりは必死に洗っているとは思うのですが……。本当にこれが初めてだとすると、やってみたらできてしまった、それで犯行が加速して繰り返したみたいな新しいタイプの殺人者ということになるでしょう」

●問われる、殺人者を見る社会の眼

殺人の快楽に、取り付かれてしまったということなのだろうか。

「日本の警察は、動機至上主義みたいなところがあって、最初に動機があってこれこれこうだから殺したんです、みたいなストーリーにしないと、裁判も持たないというところがあります。今伝わってくる彼の供述というのは、『お前、金取ってるんだろ』『取りました』みたいなやり取りがあって、そういう断片的な言葉から『楽して暮らしたいと思いました』みたいな動機に落とし込もうとしているように見えますね。

だけど金目当てでやるには大変すぎるんで、どこかに殺意がある。『殺したいから殺しました』というのを、警察が認めたくないだけのような気がします。アメリカではそんなことはなくて、快楽が動機だという連続殺人鬼がけっこういることと、外形的事実が揃っていれば裁判では内面までは踏み込まないということがあるので、『俺は殺したかったんだ』というのがそのまま通っているように思います」

日本でもこれまで、快楽殺人と思われる事例はあったが、法廷はそれを認めてこなかった。殺人者を見る社会の眼が、問われている事件だといえるだろう。
(文=深笛義也/ライター)

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