【シネマVOYAGE】ゆっくり過ごす旅に連れて行きたい本「名編集者パーキンズ」

【シネマVOYAGE】ゆっくり過ごす旅に連れて行きたい本「名編集者パーキンズ」

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  • 更新日:2016/10/19
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出張でもない、家族や友人たちとの賑やかな旅行でもない、ただゆっくり過ごす旅に出るとしたら、何を持って行くのか、何を持っていきたいか──を考えるのが好きだ。現実的には、日本でも海外でもスマホやタブレットは必須、スマホさえあれば旅はどうにでもなる気がする。けれど、旅に出たいなぁと思うときはゆっくりしたいときであって、できることならスマホやタブレットは使わないにこしたことはない。旅の供は本がいい。いつか「読みたい」と思っている本はたくさんあっても、そのためだけの時間を作ることはなかなか難しかったりする。だからこそ旅にはそういう本を持っていきたい。

旅に持っていきたい本リストに新たに加わったのが、映画『ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ』の原作「名編集者パーキンズ」だ。映画は、コリン・ファース、ジュード・ロウ、ニコール・キッドマン、ローラ・リニー、ドミニク・ウェスト…豪華なキャストはもちろん魅力的で、世界的ベストセラーはどうやって作られたのか、という内容も興味深かった。少し前に公開された『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』は、『ローマの休日』をはじめ有名な映画脚本がどうやって生まれたのか、名脚本家ダルトン・トランボについての物語でそれはそれで面白かったが、今回の映画は名作家と名編集者の物語──。

編集者のパーキンズと作家トマス・ウルフ、2人の出会いに始まり、ベストセラー「天使よ故郷を見よ」「時と川の」がどうやって世に送り出されたのかが描かれる。現代のようにパソコンやコピー機のない時代に膨大な原稿を推敲していく作業はどんなに大変だっただろう…とか、本の背景に隠された歴史を目にすることも面白かったし、2人の絆が深まっていく姿も感動的だった。また、個人的に大好きな映画『華麗なるギャツビー』(F・スコット・フィッツジェラルド著)の原作を世に送り出した人物がパーキンズであることを知ったことも大きな収穫。映画のなかにはフィッツジェラルドやヘミングウェイも登場し、彼らとパーキンズの関係も描かれる。

この映画は作家と編集者の物語ではあるが、そこには情熱を持って仕事と向きあうことはどういうことなのか、何かを犠牲にする覚悟や大切な人との向き合い方など、大人に必要な人生のヒントも詰まっている。とはいってもやはり物語としては地味…だろう。けれど1冊の本の背景にあるドラマチックな物語を知っていると知っていないとでは、1冊を読み終えたときの感動は全然違うはず。1泊でもいい、小さな旅でもいい、次の旅にはこの映画の原作「名編集者パーキンズ」、そしてトマス・ウルフの著「天使よ故郷を見よ」「時と川の」も連れていきたい。(text:Rie Shintani)

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