JAL・ANAの「医師登録制度」は問題だらけ! 飛行機内で急病人が発生したら......

JAL・ANAの「医師登録制度」は問題だらけ! 飛行機内で急病人が発生したら......

  • HEALTH PRESS
  • 更新日:2016/10/18
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「医師登録制度」はJALもANAの問題だらけ! EQRoy / Shutterstock.com

「お客様の中にお医者様はいらっしゃいませんか~!」毎度おなじみのこのフレーズ。颯爽と手を上げたイケメン医師がすばやい処置を施す。現実はドラマのようにはいかない。

今春、公益社団法人日本医師会とJAL(日本航空)は、国内初の「JAL DOCTOR登録制度」を立ち上げた。

日本医師会が発行する「医師資格証(=IC付きカード)」を持ち、事前登録した「医師(=JALマイレージバンク会員)」が機内で不調を訴えた急病者に迅速かつ適切な応急措置を行う、それが「JAL DOCTOR登録制度」のねらいだ。

海外35億2500万人(ICAO/国際民間航空機関統計)、日本9519万7000人(国土交通省航空輸送統計年報)。延べの人口比率で見れば、海外なら世界人口の48%、日本なら日本人口の75%にもなる。

機内で頭痛や腹痛に襲われることがあるかもしれない。急に体が不調に陥った時、機内でどんなケアが受けられるのか? そんな時、機内に医師が搭乗していたら、安心できるにちがいない。

JALとANAの「医師登録制度」がスタートしたが……

JALのテイクオフから7カ月後の9月1日、ANA(全日空)は、JALを追うように「ANA DOCTOR ON BOARD」の導入に踏み切り、「お客様の中にお医者さまはいらっしゃいませんか?」の機内アナウンスを消した。

この制度は、医師個人の意思と判断に基づいて登録するので、登録医師が搭乗すれば、航空会社は医師の搭乗を事前に掴める。体調が急変した乗客が出ても、客室乗務員が医師の席へ行き、「お願いします」と依頼できる。

「お医者さんはいらっしゃいませんか?」のドクターコールがないので、乗客は不安感をもたない。何よりも人命救助がよりスムーズに行われる可能性が高まる。それが、この制度のメリットだろう。

「医師登録制度」の足並みは揃ったかに見えるが、「JAL DOCTOR登録制度」も「ANA DOCTOR ON BOARD」も難題を抱えている。制度設計の甘さを指摘する声が根強いからだ。

なぜ医師が名乗り出ない? 「医師登録制度」の数々の問題点

JALとANAの「医師登録制度」の問題点は何だろう?

第1点、責任の所在の不明確。JALもANAも「故意、重過失の場合を除き、会社が対応する」としている。だが、設備も環境も不十分な機内の医療行為の故意、重過失をどのような基準で判断するのか?

患者が死亡すれば、訴訟のリスクを負わされる。善意の行為でも、医師は業務上過失致傷罪・致死罪に問われるリスクがある。民事責任を免責されても、刑事責任は避けられない。

ちなみにアメリカには、「災難に遭った人、急病の人を救うために無償で良識的かつ誠実に善意の行動をとったのなら、失敗しても結果責任を問われない」という「善きサマリア人の法」が立法化されている。

第2点、登録時の専門とする科の選択肢が不十分。登録できるのは麻酔科医、産婦人科医、一般開業医、内科医/心臓専門医、神経科医/精神科医、その他だ。

科は必ずしも医師の専門スキルを表していないので、専門スキルを選べるように変えるべきだ。

第3点、機内の医療設備が未整備。設備が未整備のため、病態の原因が分からず、十分な診断ができない。

原因が分かっても、設備も薬剤もなければ、対応できることは限られ、最適な治療ができない。救急バッグは常備されているが、超音波装置などの診断装置も必要になる。

第4点、登録できるのは医師だけ。救急医、救急救命士、看護師は除外。

救急救命が必要な急病者なら、救急医、救急救命士、点滴の準備をする看護師が不可欠だ。救急医、救急救命士、看護師も登録できるように改善しなければならない。

第5点、報酬の明示が不明確。機内の治療行為は、医師法に定める勤務時間外の診療だ。医師への報酬を明示しないのはなぜか?

JALは「空港のsakuraラウンジが使える」、ANAは「お礼状など常識の範囲内での対応」としているが、医師にボランティアを求めるのは、誠意も礼儀も失する行為だ。

ちなみに、ルフトハンザ航空(ドイツ)なら、医師登録すれば5000マイルの付与と、次回使える50ユーロ分のチケットがプレゼントされるという。

JALもANAも「医師登録制度」の見直しを急ぐべきだ

このように、JALとANAの「医師登録制度」は、難題ばかりだ。

早急に医師をはじめ、救急医、救急救命士、看護師の意見をヒヤリングして、設備の整備、救急医、救命救急士、看護師の登録、責任の所在と報酬の明確化に取り組まねばならない。「善きサマリア人の法」の立法化も重要課題になるだろう。

「医師登録制度」のスタートラインはできていない。制度の趣旨と目標が明確になれば、使命感と善意がある医師らは、安心して登録するはずだ。乗客の信頼感も満足感も高まるだろう。JALもANAも制度の見直しを急いでほしい。
(文=編集部)

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