宅配ピザを救う、あのアイテムの正体に迫る

宅配ピザを救う、あのアイテムの正体に迫る

  • ITmedia ビジネスオンライン
  • 更新日:2016/11/30

来週話題になるハナシ:

24時間365日、いまも世界のどこかでユニークで刺激的な話題や新しいトレンドが次々と生まれている。だが、大半は情報としてこぼれてしまっている。そんなメインストリームでない情報こそ、ビジネスで使えるネタが詰まっているのではないだろうか。

そこで、情報感度の高いビジネスパーソンならば、ぜひとも押さえておきたいトレンドや話題をちょっと先取りして紹介したい。プライベートにビジネスに、ちょっとしたインスピレーションのネタとして、役立つハナシを探るコラム。

2016年の米大統領選挙は「世紀の大番狂わせ」と言われるほど盛り上がった。

初の女性大統領と期待されたヒラリー・クリントン候補の勝利が確実視されていた選挙だったが、テレビで生放送された開票速報では次々と予想外の結果がもたらされ、国民は固唾(かたず)を飲んでその行方を見守った。結局、過激な発言を続けたドナルド・トランプ候補が勝利し、世界に激震が走った。

実は、そんな大統領選の裏で、ホクホクの業界が存在した。デリバリーフード業界だ。悪天候だとオーダーが増えるのと同じように、波乱の大統領選によって米国のデリバリーフード業界は大盛況だったと報じられている。

デリバリーフードの定番と言えば、やはり「ピザ」である。大統領選の期間中でも、根強い人気を誇るデリバリーピザの売り上げは好調だったという。

モルガン・スタンレーの調査によると、米国でのデリバリーフードの市場規模は300億ドルで、ダントツ人気のデリバリーピザはその3分の1にあたる約100億ドルを占めている。また、別のデータでは、テイクアウトのピザを含めると、ビジネス規模は250億ドルになるとも言われている。

中心部に刺さっている「ピザセーバー」

そんなビッグビジネスとなっているピザ業界だが、実はある小さなプラスチックのアイテムによって、デリバリーピザが支えられていることはあまり知られていない。

そのアイテムは、「ピザセーバー」だ。

聞きなれない名前だが、日本でもデリバリーピザを注文したことがあれば、一度は目にしたことがあるはずだ。配達されたピザの中心部に刺さっている謎のプラスチックの物体、あれこそが「ピザセーバー」である。

この革命的なアイテムのおかげで、デリバリーピザはここまで普及したといっても過言ではない。というのも、「ピザセーバー」は、ピザをベストコンディションで届けるのを可能にした立役者だと言えるからだ。

もはや、デリバリーピザになくてはならない存在になっている「ピザセーバー」が発明されたのは約30年も前のことになる。

ニューヨーク州ロングアイランドに住む、カルメラ・ヴィターレ(Carmela Vitale)という女性(当時46歳)が、このアイテムを考案し、1983年に特許を申請したことで生まれた。

技術者でも何でもない、普通の主婦だったヴィターレは、普段からデリバリーピザにかなり不満を感じていたのだろう。なぜなら、専門知識のない彼女が「ピザセーバー」を考案したきっかけは、デリバリーピザの最大の弱点に着目したことだったからだ。

ピザセーバーが浸透した理由

デリバリーピザで使用されるダンボール製の箱は、コストの面から使い捨てされるチープな素材でできている。そのため、熱々のピザをデリバリーしようとすると、湯気で箱がしなってしまうため、どうしても天井が潰れるのを避けられなかった。

そうなると、配達中に中央部分が沈んでしまい、ピザのチーズやトッピングがフタにくっついてしまうことが多かった。ピザを台なしにする原因になっていた。

この致命的な問題を解決したのが、「ピザセーバー」だ。特許取得の際には、「パッケージ・セイバー」と名付けられていたこのアイテムは、ピザの中央部に置くことでデリバリーの箱のフタを支え、ピザがダメージを受けずに済む。そして申請から2年後に、このアイテムは特許が認められた。

また、「ピザセーバー」がここまで浸透したのには、そのミニマリズムなデザインが一役買っている。「ピザセーバー」は三脚のような形状をしているのだが、そのデザインは、ヴィターレによってコンパクトで軽くて低コストになるように計算されている。

さらに、このアイテムがプラスチック製なのは、焼きたてのピザの上に乗せても熱や蒸気に耐えられるように考慮されているからだ。特許書類には、華氏500度(摂氏260度)まで耐えられるようにすべきだと書かれている。

ただヴィターレは、このアイデアを商品化して大量生産する資金は持ち合わせていなかったようで、1993年に特許は失効している。すると、その翌年からヴィターレのアイデアに類似するアイテムが誕生するなどして、現在に至っている。ただ今でも、ヴィターレは「ピザセーバー」の生みの親として、語り継がれている。

ピザ業界を支えてきた

この「ピザセーバー」……ピザを守る姿がまさに「セーバー」という名にふさわしい。ピザが無残な状態で消費者に届けられることを防ぐためにフタを支えるだけでなく、デリバリーやテイクアウトピザのビジネスも支えてきたと言えるのである。

近年、デリバリーフード業界は、テクノロジーを使ったビジネス戦略に力を入れている。モバイルアプリを開発するなど、より簡単にオーダーができるようにして顧客を取り込んでいる。また絵文字や音声認識でピザのオーダーをできるようにしたり、GPSでデリバリーをトラックしたり、アルゴリズムを使用してデリバリータイムを表示するなど、さまざまな技術を導入している。

そんなデリバリーピザ業界は、ヴィターレが「ピザセーバー」を考案した時代には考えられないような状況になっている。

ただそんな現在でも、デリバリーピザをベストコンディションで消費者に届けることができている影には、30年ほど前にニューヨークの女性が考えついたアイデアが生きているのである。今度「ピザセーバー」を見かけたときには、地味にピザを支えるアイテムに目をとどめてみてはいかがだろうか。

著者プロフィール:

藤井薫(ふじい・かおる)

大学を卒業後、広告代理店や出版社を経てライターに。

『POPEYE』『an・an』(マガジンハウス)や『GLAMOROUS(グラマラス)』(講談社)などで、ファッション、ビューティ、ビジネスなど幅広い記事をカバー。日本と海外を頻繁に行き来して、海外トレンドを中心に情報発信している。

そんな思いをベースに、世界の企業動向や経営哲学をはじめ、それをとりまくカルチャーやトレンドなどを中心にして、思わず誰かに言いたくなるようなネタを提供していくコラムです。

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