泰明小学校「アルマーニ標準服」問題、校長による“学校ルール”は撤廃できる? できない?

泰明小学校「アルマーニ標準服」問題、校長による“学校ルール”は撤廃できる? できない?

  • サイゾーウーマン
  • 更新日:2018/02/15
No image

東京・銀座の中央区立泰明小学校の校長・和田利次氏が、高級ブランドであるアルマーニがデザインした最大約8万円する標準服を今春から導入すると決定し、物議を醸している。一部保護者から「負担が重い」などと区教育委員会に苦情が寄せられ、この件がニュースサイトで報じられると、国会でも希望の党・寺田学議員が話題に取り上げる事態に。

ネットでは、「公立で、この値段はいくらなんでも高額すぎる」「大人の自己満足にしか思えない」「子どもが置いてきぼり」といった批判がある一方、同校が「入学条件(児童とその保護者が就学を希望する特認校の教育方針に賛同すること等)を受け入れた銀座在住者と、学区外の在中央区の希望者が抽選で就学できる特認校」である点を指摘し、「銀座住まいのセレブなら買えるでしょ」「教育方針に賛同している人が通ってるんだから問題ない」などの意見も出ている。

和田校長は、新標準服採用の狙いについて、保護者向けの文書で「銀座の街のブランドと泰明ブランドが合わさったときに、もしかしたら、潜在意識として、学校と子供らと、街が一体化するのではないかと、また銀座にある学校らしさも生まれるのではないか」と説明していたとのこと。また、騒動を受けて、2月9日に行われた会見では、標準服は制服とは違い、学校が着用を“推奨する”もので、「購入者側の判断で購入してほしい」と語り、新標準服の採用を撤回する考えはないことを表明した。

そんな賛否両論の泰明小学校“アルマーニ標準服”問題。標準服といえど、これまではほとんどの生徒がこれを着用してきたという背景により、実質的に“制服”との指摘もある。新標準服が導入された今春からは、児童間で「アルマーニを買ってもらえた子と買ってもらえない子」という分断が起こる可能性も否定できない。和田校長は、採用の撤回はしない意向だが、こうした学校側からの“決まりごと”を、保護者側が拒否することは法的に可能か。弁護士法人ALG&Associatesの山岸純弁護士に話を聞いた。

「そもそも、アルマーニ標準服は、“校則”や“学校規則”など、拘束力があるルールに基づくものではないので、“撤廃”はできません。これは、単に、『遠足のお菓子の代金は500円までとします。バナナはお菓子に含みません』『夏休み前に、ハーモニカを持ち帰ること』といったような拘束力のない指導のレベルです。裁判所に、『泰明小学校でアルマーニを着る義務はないことを確認する判決を求める』という訴えを起こしても、裁判所は『そもそも、義務ではないので、判断しません』と回答するでしょう。例えば、今春以降、アルマーニの標準服を着た児童が嫌がらせを受けたといったことがあっても、着たい児童(正確には着せたい親御)と嫌がらせをする人間との関係なので、これを理由に撤廃を法的に要求することもできません」

昨年には、“校則問題”が世間の話題を浴びたことも。生まれつきの茶髪だったにもかかわらず、教員から黒染めをするよう強要され、精神的苦痛から不登校になったとして、大阪府立高校の女子高生が府に対して裁判を起こしたことがきっかけとなり、学校の理不尽な校則に異論を唱える人が増えたのである。こうした“校則”に関してはまた扱いが異なるようだ。

「法的拘束力のある“校則”に関しては、“合理性や必要性を欠く校則は無効である”ということを確認するため、裁判所に訴えを提起できるかもしれません。もっとも教育については、最高裁の判例でも、義務教育等の学校や教師に対し、教育の自由について一定程度の“裁量”を認めています。その校則を維持するための合理性や必要性、規制する手段の程度がよっぽど逸脱していない限り、校則が無効とされることはないでしょう」

拘束力のない学校の決まりに関しては、撤廃は不可能。校則に関しても、無効化は難しいとのことだが、そもそも保護者側が校長の教育方針に疑問を抱き、異動もしくは辞職させることはできるものなのだろうか。実際に和田校長に対して、「公立の校長を辞めて、私立に行けば?」といった声も出ており、ネットを見ると「校長を異動させるにはどうしたらいいか?」と質問をする者が少なからず見受けられるが、「校長は、都道府県の教育委員会が任免権をもっているので、保護者が辞めさせることはできません」(山岸氏)とのことだった。

最後に山岸氏は、今回のアルマーニ標準服問題に関して、“私立であれば炎上していなかった”と自論を展開する。

「ネットでは、『校長とアルマーニが癒着している』『リベートをもらっている』うんぬんと、だいぶ炎上しているようですが、“公立”である点が問題なのでしょう。“私立”であれば、その学校の校風、歴史、伝統などがあるわけなので、どんな制服であっても文句を言われる筋合いはありません。実際、過去の裁判例でも、私立の校則等の有効性の基準は、公立と比較して緩やかに考えられています。やはり“公立”というのは右に倣え、ということで、どこでも同じようなレベルの授業やルールでいくべき、という考えが強いのでしょう」

14日、島田勝敏中央区教育長が、「関係者への説明が不十分で、校長への指導が足りなかったと反省している」と陳謝し、「銀座だからブランドという考えは、公教育には望ましくない」との見解も述べた。和田校長によると、4月入学の新1年生は「全員ではないがほとんど(標準服の)採寸に来ている」と、保護者がおおむね賛同していると説明したが、今回の問題から浮き彫りになった“公立とはどうあるべきか?”という議題は、今後も話し合われていくことになりそうだ。

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

社会カテゴリの人気記事

グノシーで話題の記事を読もう!
「マクドナルドで会おう」という名のヘアカット 校則で禁止に(英)
左手にスマホ右手に飲み物で左耳にイヤフォンのまま自転車に乗り77歳女性を死なせた女子大生に怒りの声
「コーヒーがない!」女性客が大暴れ... 中央線遅延トラブルの一部始終目撃談
この夏は猛烈に暑い 北から南まで高温
コロッケ 怖くてできない
  • このエントリーをはてなブックマークに追加