くら寿司ひとり負け。炎上動画でイメージ悪化、未だ回復せぬ信頼

くら寿司ひとり負け。炎上動画でイメージ悪化、未だ回復せぬ信頼

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  • 更新日:2019/10/15
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業績好調な回転ずし業界にあって、くら寿司だけが不振にあえいでいます。さまざまな集客策を施してはいるものの、客足減は止まりません。今回の無料メルマガ『店舗経営者の繁盛店講座|小売業・飲食店・サービス業』では著者で店舗経営コンサルタントの佐藤昌司さんが、同社一人負けの原因として今年2月に起きた「バイト炎上動画」による企業イメージの毀損を挙げ、その改善策を考察しています。

くら寿司が一人負けのワケ

回転ずしチェーン「くら寿司」が一人負けしている。9月の既存店売上高は前年同月比1.7%減だった。8月も6.0%減と大きく減った。一方、競合はどこも好調だ。「スシロー」は9月が12.2%増、8月が9.1%増とぞれぞれ大きく伸びた。苦戦が続いていた「かっぱ寿司」も好調で、9月が5.3%増、8月が5.2%増と高い伸びを示している。元気寿司も好調だ。9月が5.7%増、8月が5.1%増となっている。くら寿司の負けっぷりが際立っていることがわかるだろう。

くら寿司は今期(2019年10月期)に入ってから不振が目立つようになった。前の期の18年10月期の既存店売上高は前期比0.7%増とわずかながらもプラスとなっていた。ところが、今期に入ってからマイナスの月が続くようになり、月が経つにつれてマイナス幅は拡大していった。今期上半期(18年11月~19年4月)は前年同期比4.0%減だった。また、特にマイナス幅が大きかったのが7月で8.7%減となっている。

マイナス幅が拡大した要因として、2月に世間を賑わせた「バイトテロ」が挙げられるだろう。店舗の調理室でアルバイト店員が魚の切り身をゴミ箱に捨ててまな板に戻す様子を動画で撮影し投稿したことが報道で広く知れ渡るようになった。当該アルバイト店員に対してはもちろん、くら寿司に対しても批判の声が多く上がった。

いずれにせよ、このバイトテロでくら寿司のイメージは大きく悪化し、客足は遠のくようになった。2月の既存店の客数は6.1%減、翌3月は5.2%減と大きく減少した。これが尾を引き、現在まで客数減・売り上げ減が続いている。

バイトテロを巡っては、定食チェーン「大戸屋ごはん処」でも起きているが、同様に客数減で苦しんでいる。店舗内でアルバイト店員が配膳用のトレーで裸の下半身を覆う様子が映った動画がSNS上で確認され、報道を通して2月に世間に広く知れ渡ることになった。

このバイトテロが影響し、2月の既存店客数は6.4%減、翌3月が10.8%減と大きく減少している。これ以降も大幅減が続き、19年4~8月は6.5%減となっている。もっとも大戸屋の場合、値上げなど他の要因も大きく影響しているだろう。とはいえ、バイトテロが大きく影響したことは間違いない。

このように、くら寿司と大戸屋はバイトテロ後に大幅な客数減が続いているわけだが、このことからブランドイメージの重要性を再確認することができるだろう。

近年は商品の均質化が進み、差別化が難しくなっている。特に回転ずし店はすしネタで違いを打ち出すことが難しく、ネタの品ぞろえは似通いがちだ。差別化が難しい業態といえるだろう。そこで大手各社はサイドメニューを強化して差別化を図ろうとしているが、近ごろは各社が競合の後追いを強めており、サイドメニューでも違いはなくなってきている。

こうなってくると、消費者に選ばれる要素として「イメージの良さ」がより重要となってくる。当然、イメージが良い方が選ばれやすい。そうしたなか、くら寿司はバイトテロでイメージが悪化し、選ばれにくくなったといえるだろう。

イメージ悪化で業績が悪化した企業は枚挙にいとまがない。くら寿司と大戸屋以外では、「大塚家具」と「ワタミ」がわかりやすい例となるだろう。

大塚家具は大塚久美子社長と父親で創業者の大塚勝久氏が経営権を巡って激しく争う「骨肉の争い」を演じてイメージが悪化し、業績が低迷するようになった。今も苦境が続いており、19年1~6月期単独決算は、売上高が前年同期比26.3%減の138億円、純損益は24億円の赤字(前年同期は20億円の赤字)と厳しい状況になっている。

止まらぬ客足減に有効な施策は?

ワタミは従業員に過酷な労働を強いるなどしてイメージが悪化した。「ブラック企業」と批判され、一時は営業赤字に陥るなど深刻な状況に陥った。ただ、“ワタミ”の名を冠する総合居酒屋の「和民」や「わたみん家」を、“ワタミ”の名を冠していない専門居酒屋の「三代目鳥メロ」や「ミライザカ」へ転換を進めたことが奏功し、業績は底を打ちつつある。

ワタミの19年4~6月期連結決算は、売上高が前年同期比1.1%減の228億円、営業損益は8,400万円の黒字(前年同期は2億2,300万円の赤字)だった。減収ではあるが微減にとどまっているし、営業損益は黒字に転換している。最終損益は6,500万円の赤字(同3億800万円の赤字)だが、赤字幅は縮小した。

ワタミはいわゆる「ワタミ隠し」が奏功したかたちだが、これはイメージの良し悪しが業績を左右することを端的に示したといえるだろう。これは、廃れ気味の総合居酒屋から勢いがある「専門居酒屋」に転換したことも大きいが、それと同じくらい、“ワタミ”の名を冠していない居酒屋に転換したことが大きい。仮に「和民」の名前のまま専門居酒屋に転換したとしたら、名前から「ブラック企業の居酒屋」と思われてしまい、集客はままならなかっただろう。

このように大塚家具やワタミはイメージの悪化で業績が悪化したわけだが、くら寿司も業績悪化の構造は同じだ。

もっとも、くら寿司はイメージ悪化の度合いは大塚家具やワタミほどではない。「バイトテロ」は「骨肉の争い」や「ブラック企業」と比べてだいぶマシだろう。

とはいえ、くら寿司の全社業績は伸び悩みを見せており予断を許さない。19年10月期第3四半期(18年11月~19年7月)連結決算は、売上高が前年同期比2.6%増の1,005億円と伸び悩んだ。前年同期の18年10月期第3四半期の伸び率が7.6%だったことを考えると失速していることがわかる。既存店の不振が新規出店効果を削いだかたちだ。また、利益が大きく減っており、営業利益は25.9%減の38億円、純利益は30.3%減の26億円とそれぞれ大幅減となっている。

もちろん、くら寿司は手をこまぬいているわけではない。例えば、6月から炙ったウナギのすしを売り出したほか、7月から2種類の新しいハンバーガーを、9月からは新たに立ち上げたスイーツのブランドのパフェやタピオカドリンクを発売するなど集客策を施している。だが、抜本的な対策にはなっていないのが現状だ。客数減を食い止めることができていない。

悪化したイメージを改善するには時間が必要だ。とはいえ、それまで何もしなくていいわけでは当然なく、地道に集客策とイメージ向上策を実施していくほかない。粘り強く対策を施していく必要があるだろう。

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image by:liu yu shan/ Shutterstock.com

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