世界の配車アプリの覇権を握る、ソフトバンク孫正義の野望

  • Forbes JAPAN
  • 更新日:2018/01/13
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中国の配車サービス市場を席巻する滴滴出行(Didi Chuxing)は1月4日、ブラジルの配車サービス「99」を買収すると発表した。99はラテンアメリカにおけるウーバーの最大のライバルだ。

配車サービス業界では昨年12月、ソフトバンクがウーバーの株式の14%を取得すると発表していた。関係筋の情報では創業8年のウーバーの損失額は50億ドルにも達するという。2015年当時の損失額は25億ドルとされていたが、そこから2倍に膨らんでいることになる。

ソフトバンクCEOの孫正義はウーバーに救いの手を差しのべたようにも見えるが、孫は今回の出資にあたり、ウーバーの評価額を2016年当時の700億ドルから480億ドルまで引き下げる、したたかな交渉に成功した。ウーバー側としては30%相当のディスカウントに応じてでも、資金を手に入れ、世界各地で高まる競合との戦いに備えたい事情もあった。

ソフトバンクが設立した1000億ドル(約11兆円)規模の「ビジョン・ファンド」の出資者にはアップルのティム・クックやサウジアラビアの皇太子らが名を連ねている。孫はウーバーに対し彼が望む金額で商談に応じなければ、ライバルのリフト(Lyft)に投資するぞ、と脅しをかけたこともあった。

一方で滴滴も昨年末にソフトバンクらから40億ドルを昨年末に調達している。ソフトバンクが出資する配車サービス企業は、滴滴やウーバー、ブラジルの99、さらに東南アジアの「グラブタクシー(GrabTaxi)」、インドの「Ola」とかなり多彩だ。

GGV CapitalのHans Tungは「孫は世界の配車サービスの覇権を握りたいと考えている」と述べる。ソフトバンクは利害が対立する配車サービス企業に一斉に投資を行っており、これは一見すると理解しにくい面もあるが、香港中文大学ビジネススクールのXufei Ma教授は次のように述べる。「彼らの戦略は、その地域でナンバーワンの配車サービスに投資することだ」

中国の滴滴も海外展開を強化

ソフトバンクがウーバーに出資を行うと発表した後、ウーバーの共同創業者で元CEOのトラビス・カラニックが彼のウーバーの持ち株の29%を手放す意向であるとブルームバーグが報道した。カラニックはこれまで一切の持ち株を手放していなかった。

カラニックは一連の騒動の責任を取らされる形で、昨年6月にウーバーCEOを辞任した。後任のダラ・コスロシャヒCEOが社内を沈静化させた後、長らく期待されたウーバーからの出資話がようやくまとまった形だ。

ただし、孫の投資スタイルは対立する企業のそれぞれに資金を注ぐだけではない。孫は、かつて滴滴出行によるウーバーの中国事業の買収を手助けしたように、企業を合併させてそこからさらなる利益を生み出すことでも知られている。

滴滴の中国圏以外への進出は、今回のブラジルが初めてだ(滴滴は台湾には既に進出している)。Ma教授によると滴滴はまだ若いユニコーン企業だが、「投資家や競合企業やパートナーを、いかにうまく操るかを心得ている」という。

滴滴は昨年から中東やアフリカ、アジアで人気のライバル企業「Careem」にも戦略的な投資を行ってきた。さらに、滴滴は欧州とアフリカでサービスを展開するエストニア本拠の配車サービス「Taxify」とも提携を行っている。

そして、滴滴は日本の第一交通と組んで、今春から東京で中国からの観光客向けの配車サービスを開始する。

滴滴はさらに、ウーバーがシェアを伸ばしているメキシコにも進出する意向だ。メキシコで滴滴はスペイン本拠のキャビファイ (Cabify)と手を結ぶ可能性もある。

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