「監査役 野崎修平」 大人を魅了するWOWOWドラマの秘密

「監査役 野崎修平」 大人を魅了するWOWOWドラマの秘密

  • 現代ビジネス
  • 更新日:2018/01/14
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提供:WOWOW

「大人の鑑賞にたえるドラマがめっきり少なくなった」――。

そんな言葉が聞かれるようになって久しい中、他の追随を許さない見応え充分のドラマを連発しているのが、WOWOWだ。

そのドラマ作りへの評価は高く、2016年だけでも「ドラマW この街の命に」が日本民間放送連盟賞のテレビドラマ番組の最優秀賞を、「連続ドラマW 沈まぬ太陽」が、東京ドラマアウォード2016で連続ドラマ部門優秀賞を受賞している。

WOWOWは、なぜこれほどクオリティの高いドラマを作り続けることができるのか?

「沈まぬ太陽」を始め「連続ドラマW 空飛ぶタイヤ」など、数多くの話題作を手がけてきた同社の青木泰憲プロデューサーに、WOWOWのドラマ制作へのこだわり、そして1月14日放送開始の最新作「連続ドラマW 監査役 野崎修平」の魅力について、詳しく語ってもらった。

「大人に楽しんでもらえる」ことに集中する

―― WOWOWのドラマに対する評価が高まっています。WOWOWのドラマ作りには、他にはない特別な秘密があるのですか?

青木 いきなり直球で来ましたね。もっとも大きな違いは、「ターゲットがはっきり見えている」ことだと思います。

地上波のドラマは、小学生からお年寄りまで、幅広い視聴者が見る可能性があることを前提に、なるべく平易に、わかりやすく作る必要があるように思います。

それに比べると、弊社は加入者の方に楽しんでいただくことを前提としているので、ターゲットが絞り込みやすい。具体的には、40代から60代の年齢層が加入者の中心世代であることがわかっているので、それを前提に作品を作っていきます。

また、視聴者の性別を考えてみると、地上波では圧倒的に女性が多いと思いますが、WOWOWの加入者の男女比に偏りが少ないため、過剰に性別を意識する必要がないのです。

つまり、男女を問わず、「大人が興味を持ってもらえるもの」であれば、多少難しい内容でも楽しんでもらえる。それが、WOWOWのアドバンテージと言えるでしょう。

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WOWOWが連続ドラマに挑戦した当初から制作を手がけてきた青木泰憲氏(撮影:村上庄吾)

―― WOWOWがはじめてオリジナルドラマを作ったのが2003年。その後も試行錯誤を重ね、5年後の2008年には「連続ドラマW パンドラ」を制作し、連続ドラマにも進出しています。ただ、その道のりは平坦ではなかったようですね。初期には、いまほど視聴者からの支持を得られず、苦しい時期もあったと聞きましたが。

青木 1991年開局という「若い企業」であるWOWOWには、ドラマ作りの歴史もなければ、お手本になる偉大なドラマの先輩もいませんでした。すべてをいちから手探りで学んでいったという印象です。

ようやくWOWOWがドラマで目指すべき方向性が見えてきたのは2008年前後で、その大きな柱のひとつが「社会派ドラマ」でした。

ときには企業や業界の暗部に切り込み、行政や司法の矛盾なども取り上げることになる社会派のドラマは、スポンサーの影響を大きく受ける地上波では作りにくくなっています。

その一方で、40代から60代というWOWOWの視聴層を考えると、社会の動きに対する関心は高い。

そこで、社会性があり、かつ、エンターテイメントとしても成立しているWOWOWならではの社会派のドラマなら加入者に支持されると考えたのです。

地上波では挑戦できないものを作る

青木 その頃、私が手がけたのが作家・池井戸潤さん原作の「空飛ぶタイヤ」(2009年放送)。この作品は、大手自動車メーカーのリコール隠しという、実際に起きた社会問題を背景にしていました。

運送業者のトラックが、ある日、タイヤの脱輪事故を起こし、死傷者を出してしまう。でも、それは運送業者の整備ミスではなく、メーカー側が欠陥を隠蔽したからではなかったか――。

小さな企業が、巨大企業を相手に立ち向かう。そこに、家族や従業員の思い、被害者の思いなどが重なっていきます。

社会派ドラマというと、サラリーマンの男性が主なターゲットになるとイメージされがちですが、このテーマなら女性にも見ていただけると思いました。

そしてまた、自動車メーカーが一大スポンサーである地上波では、なかなかこういう企画を率先して具体化することは難しかったわけです。

この「空飛ぶタイヤ」が成功したことで、社会派をメインにしたWOWOWらしいドラマ作りに手応えを感じました。

WOWOWとしての、ひとつの「正解」に辿り着いた時期だったと言ってもいいと思います。

「仮説と検証」を繰り返して辿り着いた答え

―― そうして、果敢に他ではできないドラマ作りに挑戦されてこられたわけですが、青木さんご自身は、テレビ業界に足を踏み入れる以前から、ドラマを手がけたいという希望を持っていたのですか。

青木 若い頃から映画やドラマは好きでしたが、人並み以上というわけではなかったように思います。

制作局に異動になったときも「こんな作品を作りたい」とか「こんな作品なら受けるだろう」といった具体的な構想はまだありませんでした。

そこで、自分なりに何に軸足を置いて仕事をしていこうかと考えたとき、「どうすれば視聴者の好みに合うか」に徹底的にこだわってみようと思ったんです。

それまでドラマを作った経験がありませんでしたから、まずは頭で仮説を立てて、「こういう要素があれば当たるのではないか」という要件を整理してみました。

そして、実際そのうちの何個を満たせばヒットするのかという検証を繰り返した。そんな中でようやく、先ほどお話した「社会派ドラマ」のような、いくつかの「正解」に辿り着いたわけです。

オリジナルドラマに力を入れ始める前は、外部から購入する映画・ドラマといったコンテンツが中心でしたが、それでもWOWOWの社内には、やがてオリジナルのコンテンツも打ち出していく必要があるだろう、という意識は共有されていたと思います。

ですから、ある程度の試行錯誤は許してもらえるだろうと思ってはいましたが、正直、無駄なお金を使えるほどの余裕はありません。ある程度の数字が稼げるようになるまでは胃の痛い日々が続きましたね。

大人が共感する「不条理との戦い」

―― 社会派ドラマと一口に言っても、たとえば『連続ドラマW 震える牛』では食肉偽装問題、『沈まぬ太陽』では航空機墜落事故、昨年放送の『連続ドラマW 石つぶて』では外務省の機密費流用問題と、テーマにはかなりの幅があるように見えます。テーマ選びで、とくに意識していることはありますか?

青木 基本は今までお話してきたように、「視聴者にどう響くか」を考えることを最優先しています。それに加えて、個人的には「不条理との戦い」が根幹にあるドラマに惹かれている面は大きいと思います。

不条理というのは、社会生活を営んでいる「大人」ならば、誰もが何かしら経験しているものだと思うんですね。たとえば、「なぜ、満足のいく結果も出していないのにアイツが出世するのか」とか(笑)。

そのように、多くの人が、さまざまな場面で、何らかの不満を感じながら日々、暮らしている。でも、現実世界で不条理に真正面から立ち向かえる人は、多くありません。僕自身もできないですよ。

でも、ドラマの主人公たちが、それをやってくれたら、どうだろう。「本当はこうであってほしい」ということに、勇気を持って声を上げてくれたら、共感できるのじゃないか。そういう感情を、作品に託している部分はあると思います。

* * * * *

1月14日放送開始の最新作「連続ドラマW 監査役 野崎修平」も、まさに「不条理との戦い」を描いた作品だと言える。周良貨・原作、能田茂・作画による同名の経済漫画をドラマ化。「金融ビッグバン」が叫ばれた1990年代末、大手都市銀行を舞台に、いち支店長に過ぎなかった主人公・野崎修平が思いがけず監査役に就任し、銀行内にはびこる不正や経営問題に果敢に立ちむかう物語だ。

主人公の真っすぐさと熱量に惹かれた「野崎修平」

―― 原作漫画「監査役 野崎修平」が雑誌で連載されたのは、舞台設定と同時期の1998年から2002年ですから、15年以上の前の作品ですね。また、漫画が原作であるドラマは、今回が初めてだと思いますが、どのような経緯でこの作品をドラマ化することになったのですか?

青木 一番のポイントは、「もう少し長めの連続ドラマに挑戦したい」ということでした。

従来、WOWOWの連続ドラマは完全オリジナルの作品以外は、小説をベースにした5話完結のものが多かったんです。ところが、山崎豊子先生の大作をドラマ化した「沈まぬ太陽」は、全20話でした。なので、放送開始前には「こんなに長いドラマに、最後まで視聴者がついてきてくれるだろうか」という心配があったんです。

しかし、いざ蓋を開けてみると、予想以上の好評を頂きました。ならば、今後も長めの作品に挑戦してもいいのではないかと思ったんですね。

ところが、いざそういう原作はないものかと探してみると、小説ではなかなか長く物語が続けられるものが見つからない。山崎作品のような超大作はありますが、そのバリエーションはごく限られてしまうんです。

そこで思い至ったのが、漫画でした。漫画なら何十巻も単行本が出ている作品があるじゃないか、と。

「監査役 野崎修平」は知人に勧められて読んだのですが、正義感溢れる主人公が、馬鹿正直なまでに正面から不条理に立ち向かっていくんですね。その熱とエネルギー、テンションの高さをドラマで描ければ、多くの視聴者に元気になってもらえるし、救われたような、すっきりした気持ちになってもらえるのではないかと直感したんです。

―― 社会派ドラマで、かつ不条理との熱い戦いを繰り広げる物語は、まさにWOWOWの「大人の心が躍るセオリー」に合致するものですね。ただ、「銀行の監査役」というのは一般の視聴者にとっては、ほとんど馴染みのない職種だと思います。プロデューサーとして、そこに不安は感じませんでしたか。

青木 それは、まったくありませんでした。たしかに、銀行内部を描いた完全なノンフィクションで監査役が主人公であれば、ドラマ原作としては地味になりすぎる可能性はあります。しかし、そこは漫画の力の見せどころで、主人公も含め、登場人物たちはみな、キャラが立っていて存在感があるんです。

予告編やポスターを見ていただいても、たとえば岸谷五朗さん演じる剛腕専務の武田などは、「これでもか」という眼力の強さ、激しい表情が目を引くと思います。

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ポスターデザインにもこだわった。「映画に負けない雰囲気を出したかったですね」(撮影:村上庄吾)

ですから、「監査役」という仕事の具体的な内容は知らなくても、まずそうした熱い人間性の部分で物語の魅力を感じてもらえると思います。

それに、監査役を主人公にすえたドラマは、過去に例がないものだと思います。つまり、ドラマのテーマとしては、非常にフレッシュなんですね。

だとすれば、これほど「WOWOWのドラマ」として相応しい原作はない、と思っています。

―― 監査役は、取締役の業務を監査するのがその役目で、経営陣に違法行為や会社に不利益を与える行為がないかを調べ、阻止・是正するのが職務ですね。ドラマに登場する野崎修平の魅力はどこにあると思いますか?

青木 不正や不条理と闘う仕事はいろいろありますが、監査役が対峙するのは「社内の不正」です。つまり、本来は仲間であるはずの、自分と同じ会社の人間と敵対することになる。

実は、これはかなりつらい立場で、「憎まれ役」とも言えるでしょう。でも、野崎は周囲から嫌われないんです。

それは野崎が、つねに「全行員のため」という、ぶれない立ち位置を貫こうとするからであり、上層部にも平の行員にも、平等な目で向けているから。その姿勢には、多くの人に共感してもらえるのではないかと思いますね。

また、野崎以外のキャラクターも、魅力的な人物ばかりです。ドラマの中では、野崎とは対照的に、自分の利益しか考えない人物も大勢、登場します。現実の世界では、むしろそういう人のほうが多いかもしれません(笑)。

そういう、野崎と対決していくようなキャラクターたちを、「あ、これは自分の身の回りにいるアイツと同じだ」などと思って見ていただけるというのも、この作品の楽しみな部分かもしれません。

―― 他にも、この作品では豪華な俳優陣も楽しみな要素ですね。主役の野崎修平には織田裕二さん、野崎と対峙する京極頭取に古谷一行さん。そして、先ほどお話に出た、キャラの濃い武田専務を演じる岸谷五朗さん。また、1990年代の金融界という男社会で、女性初の支店長となり、野崎さえもしたたかに利用するやり手の立川祥子役に松嶋菜々子さん。
WOWOWドラマ史上でもトップクラスの豪華さだと思いますが、キャスティングに苦労することはありませんでしたか?

青木 オリジナルドラマに進出した頃は、何の実績もありませんでしたから、正直に言えば、出てもらえる俳優さんに出ていただくしかないという時期もありました。

そこで、出演者の方のネームバリューに寄りかからない作品作りをしよう、という考え方を取ったんですね。ですから、内容の部分ではできることを何でもやって、「見る人に満足してもらえる作品」を作ろうと躍起になってきたわけです。

ところが、不思議なもので、それを続けていくうちに、業界でもWOWOWへの見方が変わってきたところがあるんです。俳優さんたちの心の中にも、当然、「もっと、いい仕事をしたい」「どうすれば、いい仕事ができるのか」という気持ちがある。それで、「面白いものを作っているらしいから、WOWOWに出てみようか」と思ってくださる方が、増えてきたのではないかと思います。これは最近の、ほんとうに大きな変化ですね。

それから、ありがたいことに、一度お仕事をした方々が、「また出たい」と言ってくださるようにもなってきました。

織田裕二さんは、今回がWOWOW出演2作目になります。前回は僕も初対面で、まだ遠慮があったのですが、今回はお互いに言いたいことを言い合える関係になって収録に臨めました。その意味でも、いい作品に仕上がった自信がありますよ。

―― 「プロデューサー」の仕事は、ドラマの企画を立て、出演者を決めることが主な仕事で、現場は製作スタッフに任せるのだろうというイメージがあると思いますが、青木さんは出演者とのやりとりにも直接、タッチしているのですか?

青木 もちろん、現場は監督に任せていますが、結果を出すことが僕らプロデューサーのなにより重要な仕事です。そのために必要なことには、どんなことでも積極的に関わるのが僕のやり方なんです。

生意気に聞こえるかも知れませんが、WOWOWの視聴者の方々が、どんなものを求めていて、どんな作品でよろこんでいただけるのかを、誰よりも研究しているのは僕たちだと自負しています。だから、どんなに監督や出演者と意見がぶつかっても妥協はしません。本当に面白いと思ってもらえる作品を提供することが、僕らが加入者の方々に対して果たすべき「責任」だと思っているんです。

* * * * *

「大人のエンターテインメント」にターゲットを絞り、社会の不条理を描きながら、多くの人が心動かされる作品に取り組む――。その徹底した姿勢が、ドラマを見る人々から熱い支持を受け続けている。

WOWOWのドラマ制作が導き出した、愚直で真摯な「成功の方程式」。その方法論とポリシーが活きた、最新作「監査役 野崎修平」も、きっと視聴者の期待を裏切らない作品に仕上がっているに違いない。

今後も、WOWOWのドラマ作りから、目が離せそうにない。

「連続ドラマW 監査役 野崎修平」は1月14日(日)スタート。毎週日曜夜10時放送(全8話)で第1話は無料放送される。出演は織田裕二、岸谷五朗、松嶋菜々子(特別出演)、古谷一行ほか。
番組特設サイト:http://www.wowow.co.jp/dramaw/nozaki/

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