日本人が年間13リットルも飲む「植物油」が体を壊す

日本人が年間13リットルも飲む「植物油」が体を壊す

  • Business Journal
  • 更新日:2017/12/05
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先日、興味深い記事が発表されました。それは11月7日付NIKKEI STYLE記事『「炭水化物が毎食7割超え」は注意 死亡リスク上昇』で、8月29日付ランセット誌電子版に掲載された論文を基にした記事です。ちなみに、ランセットは世界五大医学雑誌のひとつです。

元の論文は、世界18の国と地域の13.5万人以上を対象にした食と死亡リスクの観察調査です。低所得国、中所得国、高所得国を網羅し、人数も多く期間(中央値で7.4年)も長いので、今までに例のない調査といえます。

記事では主な調査結果として、次の2点を取り上げています。

(1)炭水化物については、最低群(総エネルギーに占める炭水化物の割合の中央値が46.4%)と比較した最高群(同77.2%)の総死亡のリスクは28%高く、摂取量が多いほど死亡リスクは高い傾向が見られました。

(2)脂質については、炭水化物とは反対に、最低群(総エネルギーに占める脂質割合の中央値が10.6%)に比べ最高群(35.3%)の総死亡リスクは23%低くなっていました。

記事では、この結果を受けて、炭水化物の摂取が非常に多いと死亡リスクが高く、脂質の摂取が多いと死亡リスクが低いことが「意外」と受け止めています。しかし、筆者はこの結果を「意外」とすることにかなりの違和感を覚えます。

●栄養素は単独では働かない

私たちが生きてゆく上で必要な三大栄養素は「たんぱく質、脂質、炭水化物(糖質)」で、どれもエネルギー源ともなります。これにビタミン、ミネラルを含めた五大栄養素の相互作用で生命活動を維持します。その際に重要なのは、栄養の摂取バランスです。調査では、栄養素を単独で扱っているので誤解しがちですが、実際には栄養素は単独では働かないので、摂取バランスで捉えないとあまり意味がありません。

栄養の摂取バランスで捉えると、炭水化物の摂取量が多いというのは、その他の栄養素は必然的に少なくなります。脂質もたんぱく質も少ないと考えられます。炭水化物摂取の最高群(同77.2%)の死亡リスクが高いのは、栄養バランスが悪い、もしくはかなり偏っているためだと考えられます。

逆に、脂質の摂取量が多い群(35.3%)は、炭水化物が少なくなります。脂質は肉類や卵などに多く含まれます。これらにはたんぱく質も豊富に含まれるので、その摂取量も自動的に増え、摂取される栄養バランスが良くなると考えられます。つまり、死亡リスクの少ない脂質摂取の多い群は、栄養バランスが良いと言い換えられます。

したがって、この調査結果は決して「意外」なものではなく、栄養の摂取バランスが悪い群は死亡リスクが高く、栄養の摂取バランスが良い群は死亡リスクが低いという栄養学の常識と一致した結果にすぎないのです。

●日本人は栄養バランスの変化と寿命の関係を体現した

今回の調査の特徴のひとつは、対象に低所得国、中所得国、高所得国を加えたことです。低所得国と高所得国では摂取する栄養バランスの良し悪しに差があることも、平均寿命が違うことも容易に想像ができます。

低所得国が経済発展し、中所得国、高所得国へと姿を変えると、食糧事情も変化し、栄養バランスも変わり、寿命も延びることは、我々日本人がこの70年の間に体験しています。

米を主食とした日本人の食生活は、世相の安定した江戸中期以降、少ないおかずで大量の米を食べる炭水化物偏重の食生活が戦前まで続き、その間、平均寿命が50歳を超えることはありませんでした。この食生活が急変するのは、第二次世界大戦以後のことです。

下の図は、1955年から2015年までの10年ごとの三大栄養素の摂取割合(エネルギー比)の推移と、その年の平均寿命(男女の平均)を表したグラフです(赤字が平均寿命)。

前述の調査結果の死亡リスクが高い群と符合するように、炭水化物の摂取割合が78%と高率だった1955年の平均寿命は63歳で、脂質の摂取量が増えるとともに寿命は延び続けます。

平均寿命を延ばす要因は食生活ばかりではありませんが、1955年は高度経済成長の始まりの年であり、経済大国になるにつれ食卓にいろいろな食材が並ぶようになったことは事実です。ちなみに、日本人の平均寿命が50歳を超えたのは1947年で、今からわずか70年前のことです。

●寿命が延びると病気が増える

摂取する栄養バランスがよくなり寿命は世界のトップクラスまで延びましたが、新たな問題として、病気が増えました。特に慢性疾患である高血圧、脂質異常症、糖尿病は「三大生活習慣病」と呼ばれ、罹患者は増加の一途をたどっています。これらの病気は直ちに死に結びつくものではなく、長い時間をかけて合併症とともに重篤な状態に至るのが特徴です。つまり、ある程度の長生きはできるが、不健康な時間も長いというおかしな時代になっています。

生活習慣病の原因として、偏った食生活、運動不足、喫煙、過度の飲酒、過度のストレスなどが挙げられますが、なかでも食生活の占める割合は大きく、最近はがんや認知症なども食生活に原因があるケースが指摘され、生活習慣病の範疇に入れる傾向にあります。

栄養豊富な飽食の時代なのに病気が増えているのは、食生活における栄養の質と食の安全性に関する誤った情報に問題があると考えられます。本連載で一貫して指摘しているように、ヘルシーだと誤認識され多量に消費される植物油はその筆頭です。サラダ油やマヨネーズの主原料である大豆の輸入自由化は1961年で、キャノーラ油の原料である菜種の輸入自由化は1971年です。この時期を境に植物油の大量消費が始まっていますが、生活習慣病が急増する時期と一致します。今では一人当たりの植物油の年間消費量は13リットルにも及んでいます。

●調理油以外にも加工食品には大量の“隠れ油”

糖尿病の原因は炭水化物の過剰摂取にあるといわれますが、上図から読み取れるように炭水化物の摂取量は減り続けており、炭水化物だけでは増える糖尿病の説明がつきません。動物実験の結果から、糖尿病の原因としてキャノーラ油などが指摘されています。これは植物油の消費量の増加と合致します。

厚生労働省が推奨する「食事バランスガイド」などでは、動物性の脂肪を控え、植物性の脂肪に置き換えることを推奨していますが、こうした一見“常識”とも思える指導が生活習慣病を助長する原因にもなります。植物油には健康を害する隠された負の作用があるからです。

先日も、砂糖の取りすぎの有害性について指摘しようとした研究を、米国の砂糖業界が50年前に打ち切っていたという事実が報道されたばかりです。

食材に含まれる成分には、判明している栄養素以外に解明されていない未知の成分があり、人体への影響も解明されていません。栄養の摂取と死亡リスクの関係が解明され、それが公正に発表され、正しく活用されることを望みます。
(文=林裕之/植物油研究家、林葉子/知食料理研究家)

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