Apple Pencilに対応した廉価版iPadを1週間使ってわかった○と×

Apple Pencilに対応した廉価版iPadを1週間使ってわかった○と×

  • @DIME
  • 更新日:2018/04/15

■連載/石野純也のガチレビュー

低価格版の『iPad』が、これまで『iPad Pro』の専売特許だったApple Pencilに対応した。9.7インチの第6世代『iPad』が、それだ。チップセットにはiPhone 7と同じ、「A10 Fusion」を採用。Apple Pencilによる手書きが可能になっただけでなく、パフォーマンスを必要とするアプリを駆動させるのにも十分なスペックとなった。

必要十分な機能を満たしながら、Wi-Fiモデルの32GB版は3万7800円と低価格だ。組み合わせによって10万円を超えてしまう『iPad Pro』と比べると、気軽に買えることは間違いない。では、この新しい『iPad』は本当にきちんと使えるレベルに仕上がっているのか。アップルから借りた実機をレビューした。

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第6世代の『iPad』。写真はスペースグレイ

■書き心地の良いApple Pencil、難点はその価格か

『iPadPro』で定評のあったApple Pencilに対応した第6世代の『iPad』。『iPad Pro』ではないため、書き心地に違いがあるかと思いきや、それは杞憂に過ぎなかった。メモアプリで文字を試し書きしてみたが、ディスプレイの表示が、Apple Pencilの動きにきっちり追従してくれる。非常にスムーズで、まるで紙にメモを取っているかのような感覚になる。

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『iPad Pro』以外では、初のApple Pencil対応となる

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Apple Pencilの動きに、線がしっかり追従する

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筆圧を検知できるのも、Apple Pencilの魅力といえる

一方で、ディスプレイのガラスの上に樹脂製のペン先を走らせる形になるため、書き心地はやや硬めの印象を受ける。本物の紙とペンを使ったときのような、適度な引っかかりはないため、多少の慣れは必要になるだろう。ディスプレイに多少の抵抗感を与えるような保護シートも販売されているため、気になった人はこうしたアイテムを使うといい。

筆者が日常的に使っている10.5インチの『iPad Pro』は、ディスプレイが倍速表示になっており、120Hzで駆動する。その差がApple Pencilの書き味に出るかと思いきや、文字を書く程度であれば、違いを感じることはほとんどなかった。むしろ、ほぼ同じような書き心地を実現しているといっていい。低価格ながら、この点では『iPad Pro』との差はわずかだ。

ただし、ディスプレイの方式に違いがあり、新しい『iPad』はガラスと液晶が一体となっていない。そのため、『iPad Pro』に比べると、やや奥の方に画面があるように見える。Apple Pencilを使う場合、ガラスを1枚隔てて紙の上に文字を書いているようになるといえば、わかりやすいかもしれない。

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ガラスと液晶の間の“段差”は目立つ

感覚的な問題だが、こうした見え方の違いがある点には注意しておいた方がいいだろう。逆にいえば、細かな仕様の違いを積み重ねることで、コストダウンしているのが新しい『iPad』といえる。背面のアンテナの処理の仕方や、カメラ、スピーカーなども、最新の『iPad Pro』と比べると見劣りする。

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カメラは画素数が低い反面、本体からせり出していないというメリットも

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スピーカーは底面にあり、ステレオ対応だ

これらの機能にこだわりたい人は、『iPad Pro』を選んだ方がいい。ただし、そのぶん、コストは2倍弱に跳ね上がってしまう。悩ましいところだが、『iPad Pro』までのスペックは要らないという人には、いい選択肢といえる。Apple Pencilを試してみたい人にも、オススメできる。

ただし、『iPad』そのものの価格に対し、Apple Pencilが少々高すぎる。もとが高い『iPad Pro』とセットで買うとき以上に、負担が重い印象だ。アップルの発表会では、米Logitech社の「Logitech Crayon」というペンが紹介されていたが、こちらはBluetoothでペアリングができず、筆圧を検知できない代わりに、価格は49ドルに抑えられている。こうした製品を、純正でも出してほしかったというのが本音である。

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Logitechの「Logitech Crayon」は価格が49ドルと安い(写真上)

■パフォーマンスは十分、ARアプリもサクサクと動く

低価格版といっても、チップセットは『iPhone 7』と同じA10 Fusionで、レスポンスは申し分ない。『iPad Pro』に搭載されているA10X Fusionに比べると、グラフィックスの処理を司るGPUの性能は落ちるが、CPUのパフォーマンスを見ると、初代『iPad Pro』よりも高い。Geekbenchでスコアを取ってみると、その性能がよくわかる。ちなみに、メモリ(RAM)は2GBとなっているようだ。

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Geekbench 4でのスコア。CPU性能が高く、iPhone 7に近い数値

実際、いくつかのAR対応アプリを動かしてみたが、特に引っかかることなく、スムーズに操作できる。これらのアプリはパフォーマンスを必要とするため、長時間使っているとほんのり『iPad』が熱くなってくるが、シャットダウンしたりすることはなく、安定していている。廉価版といいながらも、パフォーマンスでは上位モデルに迫っているのだ。

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高いパフォーマンスが必要になるAR対応アプリも、スムーズに動く

iOS 11でドックが進化し、2つのアプリを同時に動かしやすくなったが、こうした使い方をしても十分安定している。下に掲載した画面のように、Apple Pencilでメモを取りながらメールをチェックするといったことも可能だ。名前こそProとは銘打っていないが、仕事にもきっちり使えるスペックを備えている。

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画面を分割して、複数アプリを動すのに十分なパフォーマンスだ

Wi-Fi+セルラー版の場合、下り最大300MbpsのLTEに対応している。最新モデルに比べるとピーク時の通信速度は遅くなっているが、スループットは十分だ。試しに筆者の事務所がある東京・渋谷で、ドコモのSIMカードを挿して測ってみたが、60Mbpsを超えるスピードが出ていた。『iPad Pro』でも結果はほぼ同じだったため、この場では差が出ていないといえる。

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LTEのスピードも十分といえる

ただし、『iPad Pro』とは異なり、Apple SIMが本体に内蔵されていない。別途、SIMカード型のApple SIMを用意する必要があるため、海外に出たときなどは少々不便だ。第6世代の『iPad』は、こうした点でも、コストダウンを図っていると見ていいだろう。

■ディスプレイとスピーカーは違いが分かるが、総じて優秀

『iPad Pro』に比べてコストダウンしている影響が目立つのは、やはりディスプレイかもしれない。先に挙げたように、画面がガラスの奥にあるように見えるだけでなく、環境光に応じて液晶の色合いを変える「True Tone」にも非対応だ。これは、使い始めるとすぐ、その差に気づいてしまう。10.5インチ版の『iPad Pro』は、左右のベゼルが細くなっているため、ここも比べると目につく。

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ナローベゼルになった『iPad Pro』に比べると、『iPad』の太い額縁が気になる

もっとも、これは『iPad Pro』などの製品を使った経験があることが前提の話。初めて『iPad』を使う人はもちろん、『iPad Air 2』あたりから、Apple Pencilを目的に乗り換える人には、さほど気にはならないレベルといえる。スピーカーの音量は現行の『iPad Pro』に比べると小さめだが、ステレオになっているため、音質は悪くない。

『iPad Pro』との違いでいえば、Smart Keyboardに非対応な点も挙げておきたい。Smart Keyboardは、ディスプレイを保護するケースとキーボードを兼ねたアクセサリーで、『iPad Pro』にはこれを装着するための専用端子が備わっている。第6世代の『iPad』には、この端子がなく、Smart Keyboardは利用できない。Bluetoothでペアリングするキーボードとは違い、装着するだけでよく、ペアリングや充電も要らないため、使いたい時だけサッと取り出してすぐに使えるのが便利だ。

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『iPad Pro』にあるコネクターも省かれており、Smart Keyboardには対応しない

ただし、第6世代『iPad』でも、Bluetoothのキーボードは接続できる。Smart Keyboardは便利な反面、アップル純正のものは種類が1つしかない。カバーと一体になっているため、キーストロークも浅い。打ちづらいわけではないが、ややクセがあり、慣れるのに少々時間がかかるのも事実だ。キーボードが必要な時は、Bluetooth対応のアクセサリーでまかなうようにすれば、困ることはないだろう。

発表会では、教育用途が前面に打ち出されていた新しい『iPad』だが、ここまでコストパフォーマンスがいい端末を、学生や教師向けだけにするのはもったいない。プロ用のツールとして作られたのが『iPad Pro』ならば、新しい『iPad』は、"みんなのための『iPad』"といえる。コストダウンの仕方もバランスがよく、幅広い利用者にオススメできる1台だ。

【石野's ジャッジメント】
UI         ★★★★
レスポンス     ★★★★
バッテリーもち   ★★★★
連携&ネットワーク ★★★★
アプリの数     ★★★★★
文字の打ちやすさ  ★★★★
質感        ★★★★
撮影性能      ★★★★
*採点は各項目5点満点で判定

取材・文/石野純也
ケータイジャーナリスト

■連載/石野純也のガチレビュー

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