ジュビロで覚醒して帰還。ハリルよ、サンフレッチェ川辺駿を見よ!

ジュビロで覚醒して帰還。ハリルよ、サンフレッチェ川辺駿を見よ!

  • Sportiva
  • 更新日:2018/02/15

2018年、私のイチオシ「Jリーガー」(2)

川辺駿(サンフレッチェ広島/MF)

サンフレッチェ広島のアカデミーは、森﨑和幸・浩司の双子の兄弟を筆頭に、駒野友一、髙萩洋次郎、槙野智章、柏木陽介ら数多くのタレントが輩出してきた。

Jリーグでも屈指の下部組織を備える広島は、金銭的に恵まれているわけではない。だからこそ地方クラブが生き残るため、育成型クラブの道を着実に歩んできた。とりわけ、ミハイロ・ペトロヴィッチ監督が指揮した時代は、スタメンの半数近くをユース出身選手が占めたこともあった。

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ジュビロ磐田から今季サンフレッチェ広島に帰ってきた川辺駿

しかし近年は、そのクラブのアイデンティティが崩壊しつつある。

そのキッカケは、2012年のJ1リーグ初優勝だろう。悲願の初タイトルを手にしたことで、育成型クラブは常勝を義務づけられたチームへと変貌。毎年のように主力が移籍したものの、他クラブから実績十分の選手を補うことで、チーム力を維持してきた。

一方で、決して広島ユースが選手を育てられなくなったわけではない。高円宮プレミアリーグでは常に上位に顔を出し、チャンピオンシップでは過去7年で2度の優勝と1度の準優勝を成し遂げている。また、毎年のようにユースからトップチームに昇格しており、選手の供給源の役割も維持されている。

しかし、3度の優勝経験を誇るメンバーが軸をなす主力の壁を打ち破るのは容易ではなかった。昇格しても出場機会はほとんどなく、2年目、3年目ともなれば他クラブにレンタル移籍となる。そして、そのまま帰ってこないケースも少なくはない。

2015年にジュビロ磐田にレンタル移籍した川辺駿(かわべ・はやお/22歳)も、同じ道を歩むかと思われた。

川辺は中学時代から広島の下部組織に在籍し、ユースでは高校1年次からレギュラーを掴んだ。主要ポジションはボランチながら、トップ下でも起用される攻撃能力が最大の持ち味だ。

2013年の高校3年次には、ユースに在籍しながらプロ契約を締結するなど、クラブもこの才能に高い評価を与えていた。同年にはリーグ戦で3試合に出場し、ACLのピッチにも立つなど、今後の飛躍が期待されていた。

しかし、広島のボランチには青山敏弘、森﨑和幸という不動の存在が君臨し、翌年もチャンスはほとんど与えられなかった。そこで川辺は2015年、自身の能力を高く評価してくれていた名波浩監督率いる磐田に武者修行の場を求めることになる。

この移籍が川辺にとってのターニングポイントとなったのは間違いない。当時J2だった磐田では、移籍1年目から33試合に出場し、J1昇格に貢献。レンタル期間を延長した2年目はチームの中心選手としての存在感を放つまでになった。

元来、高い技術を備えていた川辺が磐田でブレイクできたのは、考える力を身につけたことだろう。どこでボールを受けるか。今、何をすべきか――。現役時代から頭脳的な選手として知られていた名波監督のもとで、判断力や戦術眼を身につけた。うまいだけではない、言い換えれば効果的な選手に川辺は成長を遂げたのだ。

一方で、課題の守備力も向上した。果敢にプレスを仕掛けてボールを奪い、ショートカウンターから一気に前線に飛び出すプレーも川辺の真骨頂だ。

さらにレンタル期間を継続した昨季は、横浜F・マリノスからやってきた中村俊輔との出会いも大きかった。「日本で一番うまい選手」と憧れる稀代のレフティから、プレーだけではなく、一流選手としてのあり方も学んだ。

「日本を代表する選手が加入してきて、そういう選手を普段の生活から見ることができたことが自分の成長につながっていると思います」と、その存在の大きさを語る。32試合に出場し、4得点・5アシスト。昨季6位と躍進を遂げた磐田において、川辺は間違いなく不可欠な存在となっていた。

名波、中村という日本サッカー史に名を残すふたりのレジェンドに影響を受けた川辺だが、今季、広島への復帰を決断する。

「J1で活躍できるという自信を確信に変えて帰ってきました。広島のクオリティの高い選手たちと主導権を握ってボールを動かす広島らしいプレーをして、結果を出したいと強く思っています」

自信を確信に――。充実の3年間を経て、川辺は自身を育ててくれたクラブへと満を持して帰還を果たしたのだ。

城福浩新監督が就任した今季の広島は、まさにゼロからのスタートとなる。残留争いを強いられた昨季の悪夢を払拭し、ふたたび強豪クラブへの一歩を踏み出せるのか。川辺は新生・広島の象徴として、重要な役割を担うだろう。

ここまで城福監督は4-3-3と4-4-2のフォーメーションを試しているが、川辺がより生きるのは4-3-3のインサイドハーフだと思われる。高い位置で決定的なパスを通せるし、ハードワークもいとわない。後方からドリブルで持ち上がることもできれば、前線を追い越しゴール前に顔を出す走力も備えている。その推進力は昨季、得点力不足に苦しみ下位に低迷した広島にとって大きな武器となるはずだ。

また、「インサイドハーフ」と「推進力」というワードでくくれば、それは日本代表にも求められる要素だ。いまだ適任者が見つからないこのポジションに、川辺が入り込む余地は決してゼロではないだろう。

「A代表に入ってワールドカップで活躍することを、今は一番近い目標に設定しています。来シーズンは開幕と同時にスタートダッシュを切って、今いるメンバーを脅(おびや)かすようにがんばります」

昨年末、Jリーグの若手選手の活躍を讃える表彰式で川辺はこんなことを語っていた。まずは広島でレギュラーの座を掴み、ワールドカップ開幕までの限られた期間でインパクトを放つ活躍を示す。そのハードルはあまりにも高いが、運命的なキャリアを積み上げ、右肩上がりで成長を続ける川辺がハリルホジッチ監督のリストに入ってきても不思議はない――。そんな期待を抱かせる稀有な選手である。

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