「確定申告書A」と「確定申告書B」、どう違うの?

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  • 更新日:2018/01/16

ふるさと納税や仮想通貨投資、副業などにより、今年初めて確定申告を行う人もたくさんいることだろう。いざ確定申告すべく書類を用意しようとしたら、AとBがあることに気づき、迷ってしまう人もいるのではないだろうか。今回は、確定申告とは何か、確定申告書の提出期間や方法、AとBの違いやそれぞれの内容、注意点などについて解説する。

■確定申告とはそもそもどんなものか

確定申告とは、個人や法人が会計年度における所得や納税額を計算し、その内容について国や地方自治体に対し、申告期限までに申告し、納税する作業をいう。個人の場合、所得税の確定申告を行わなくてはならない。また、個人の会計年度は暦年(毎年1月1日から12月31日まで)となっており、申告期限及び所得税の納付期限は毎年3月15日(この日が土曜日あるいは日曜日に重なる場合には、その翌々日あるいは翌日の月曜日)となっている。

■確定申告書の提出期間、提出及び納付の方法

「毎年1月1日から12月31日までの所得と税金を計算する」といっても、年明けてすぐに確定申告書を提出できるわけではない。確定申告書の提出期間は毎年2月16日から3月15日までとなっている。ただし、還付については2月15日以前からでも可能だ。

申告書の提出方法は、直接税務署の窓口での提出の他、郵送、e-taxなどで提出ができる。納税については、税務署窓口での納税の他、郵便局や金融機関、クレジットカード、ダイレクト納付や口座振替が活用できる。納税額が30万円以下ならばコンビニでも支払いが可能だが、この場合、バーコード付きの納付書を税務署に発行してもらう必要がある。

ちなみに還付については4月下旬に確定申告書に記載した郵便局あるいは金融機関の口座に振り込まれるケースが多い。

■所得税の仕組み

3月15日までに行う確定申告の対象となるのは所得税だ。所得税とはどのようなものだろうか。

所得税とは、個人の1年間の所得に対して課される税金だ。所得税は、その収入の形態に応じ、次の10種類の所得に区分して計算する。

・給与所得
・不動産所得
・事業所得
・配当所得
・退職所得
・利子所得
・譲渡所得
・山林所得
・一時所得
・雑所得

なぜ10種類に分けるのだろうか。それは収入の形態によって担税力(税金を負担できる能力)が異なるからだ。汗水流して働いて得た給与所得と、たまたま当たった懸賞金の一時所得は明らかに担税力が異なる。そして、その担税力を考慮することで公平な税負担を図っている。

所得の細かい計算方法はその種類に応じて異なるが、基本的には「総収入金額‐必要経費=所得」という考え方で計算が行われる。原則としてすべての所得を合算し、納税者に応じた控除を行った上で課税所得額を算出する総合課税が行われるが、株式の売買に関する譲渡所得やFXの雑所得のように、総合課税の対象から外し、単独で一定の税率を乗じて税額を算出する分離課税の対象となる所得も存在する。

最終的には、総合課税で算出した税金と分離課税で算出した税金を合算した金額が1年間の所得に対する納付すべき税額となる。ただし、源泉所得税や予定納税のように、事前に徴収あるいは納付した税金がある場合には、その徴収あるいは納付済みの税金を鑑み、不足額があれば納税、過納額があれば還付という形で精算が行われることになる。

■確定申告書Aと確定申告書Bの違い

初めて確定申告にチャレンジする人が最初に困惑するのが確定申告書の種類だ。確定申告書には「確定申告書A」と「確定申告書B」の2種類がある。それぞれざっくりと次のような特徴がある。

・確定申告書Aは確定申告書の簡易バージョン。あまり難しい計算や処理がいらない場合に使う。
・確定申告書Bはオールマイティーな確定申告書。迷ったらこっちを使えば正解。

このように大別できるのだが、細かい用途や条件が気になるところだ。これは以下に説明する。

■確定申告書Aはどのような場合に使うのか

確定申告書Aは確定申告書の簡易バージョンだ。会社からの給与収入一本のサラリーマンや年金暮らしの高齢者が、たまたま医療費控除が発生したり、ちょっとしたバイトをしたり……といったケースに使われる。具体的には次のようになる。

【申告できる所得】
確定申告書Aを使うことができる所得の範囲は次の5つに限られる。

・給与所得者:会社員やバイト、パートなどで給与所得を受け取っている人、2か所以上の会社から給与を受け取っている人
・公的年金等の雑所得者:年金受給者(公的年金等の雑所得を受け取っている人)
・その他の雑所得者:本業で給料をもらうかたわら、副業でライターやアフィリエイト、FX、仮想通貨などで雑収入のある人
・配当所得者:株の配当を申告する必要のある人
・一時所得者:競馬や懸賞などで50万円以上の賞金を当てた人、ふるさと納税の返礼品の1年間の総額が50万円を超えた人、生命保険や損害保険の満期金を受け取った人、

【申告できない所得】

・前述の所得以外の所得(事業所得、譲渡所得、不動産所得など)
・前述の所得だけだとしても、予定納税額がある人
・前述の所得だけだとしても、前年分(2016年分)から繰り越された損失額を本年分(2017年分)から差し引く人

【よくあるケース】

上記の「申告できる所得」の範囲の内、次のケースで確定申告を行わなくてはいけない人は確定申告書Aを使うことが多い。

・会社からの給与が年間2000万円を超える人
・ふるさと納税を行ったけどワンストップ特例は使わない人
・サラリーマンなどで初めて住宅ローン控除の適用を受ける人
・医療費控除を行う人
・年末調整の際、提出し忘れた控除証明書がある人
・年末調整後、扶養家族に異動があった人
・年の途中で会社を辞め、自分で確定申告を行う必要のある人
・受給年金の年間合計額が400万円以下で、かつ年金以外にバイトや副業、投資を行い、その年金以外の所得額の合計が20万円以上の人
・受給年金の年間合計額が400万円を超える人

【必要書類】

・確定申告書A第一表
・確定申告書B第二表
・給与所得の源泉徴収票
・公的年金等の源泉徴収票
・配当などの支払通知書、特定口座年間取引報告書など
・控除関係の証明書
・医療費控除についてはレシート及び計算明細書
・寄附金受領証明書
・住宅借入金等特別控除額の計算明細書、住民票の写し、登記簿謄本など
・財産及び債務の明細書

【注意事項】
その他の雑所得、一時所得、配当所得については、総収入額と必要経費の額を記入する欄が第二表にある。そのため、別途計算明細書を作成しておいたほうがよい。確定申告書に計算明細書を添付する必要はないが、第二表に書きこむ際、かなりラクになるはずだ。

■確定申告書Bはどのような場合に使うのか

活用が限定的な確定申告書Aに対し、確定申告書Bはオールマイティーな申告書となっている。具体的には次の通りだ。

【申告できる所得】

・すべての所得。特に、譲渡所得、事業所得、不動産所得などは確定申告書Bでないと申告できない。
・予定納税額や損失の繰越があったがために確定申告書Aが使えなかった人も確定申告書Bは活用できる。

【よくあるケース】

・フリーランス
・スポーツ選手、保険の外交員、キャバクラ嬢など、給与というカタチで報酬を受け取っていない人
・アパートやマンションの経営者
・土地や建物などを譲渡した人
・源泉徴収なしの特定口座を使っていて、株の売買による利益がある人

【必要書類】

・確定申告書B第一表
・確定申告書B第二表
・確定申告書第三表(分離課税用):株式や土地、建物などの売買で利益が出た場合に使う
・確定申告書第四表(損失申告用):譲渡損失の損益通算や前年から繰り越された純損失がある場合
・収支内訳書:事業所得や不動産所得、山林所得で白色申告を行う場合
・青色申告決算書(一般用・現金主義用):事業所得や不動産所得、山林所得で青色申告を行う場合
・給与所得の源泉徴収票
・公的年金等の源泉徴収票
・配当などの支払通知書、特定口座年間取引報告書など
・控除関係の証明書
・医療費控除についてはレシート及び計算明細書
・寄附金受領証明書
・住宅借入金等特別控除額の計算明細書、住民票の写し、登記簿謄本など
・財産及び債務の明細書
・国外財産調書

【注意事項】

不動産所得や山林所得、事業所得について、白色申告及び10万円控除の青色申告ならば現金出納帳や売掛帳などによる簡易な簿記も可能だが、65万円控除の青色申告については手間のかかる複式簿記が必須となっている。

なぜかというと、貸借対照表と損益計算書は複式簿記でないと作成できないからだ。そのため、多少コストはかかるが、必ず会計ソフトなどで年間の売上と収入を計算し、決算書を正確に作成していただきたい。さらに、帳簿については原則7年、レシートなどの資料については原則5年の保管義務がある。確定申告が終ったからといってレシートや帳簿を破棄することがないように注意したい。

なお、確定申告書Bについて見かける巷の解説のひとつに、「確定申告書Bは記帳が必要」「確定申告書Bには貸借対照表と損益計算書の作成が必要」といったものがある。これは間違いだ。記帳が必要なのは不動産所得や事業所得、山林所得のように青色申告決算書や収支内訳書を添付しなくてはならない場合だ。貸借対照表や損益計算書は、青色申告決算書や収支内訳書の中で作成される。つまり、「確定申告書B」に添付が必要なのではなく、その所得の種類に応じて添付が必須となる「青色申告決算書」や「収支内訳書」に記帳や貸借対照表や損益計算書が必要なのだ。確定申告書Bだからといって決算書や収支内訳書が必ずしも必要になるわけではないから注意しよう。

また、確定申告書Bには確定申告書Aと違い、職業や屋号などを記載する項目がある。収支内訳書や青色決算書にも同様の項目があるので、事業所得などを申告するフリーランスなどについては、二つの項目に同一の内容を記入するよう注意していただきたい。

■その他の注意点

この他、確定申告書全般にわたる注意点としては、次のようなものがある。

・還付の場合の金融機関の口座の書き間違いなどに注意
・マイナンバーの記載欄も漏れなく記入すること
・書類で提出する場合は、控えにも押印を忘れないこと
・給与所得者などで、会社に副業がバレると困るなら、第二表の住民税の納付方法は「自分で納付」を選択すること
・郵送で提出する場合には、切手貼付済みの返信用封筒を確定申告書に添付すること

初めての申告だとうっかりミスも多くなりやすい。そのため、早めに準備をし、完成したら見なおしを丁寧に行っていただきたい。確定申告時期になると、駅や公共施設などで税理士などが確定申告の相談会を行っている。心配なら、そういうところでチェックをしてもらうのもよいだろう。

【訂正】必要書類「確定申告書第四表(損失申告用)」の箇所で誤りがありましたので、訂正いたしました。

鈴木 まゆ子
税理士、ライター、心理セラピスト。2000年、中央大学法学部法律学科卒業。12年税理士登録。外国人の日本国内での起業支援に従事。会計や税金、仮想通貨に関する話題についての記事執筆を行う。税金や金銭、仮想通貨、お金に関する心理学についても独自に研究中。共著『海外資産の税金のキホン』(税務経理協会、信成国際税理士法人・著)。

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