なぜ40~50代男性は自殺するのか?身近の元気な人が突然自殺、こんな兆候は危険

なぜ40~50代男性は自殺するのか?身近の元気な人が突然自殺、こんな兆候は危険

  • Business Journal
  • 更新日:2017/09/22
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2017年、社会はAI(人工知能)で動き始めています。いたるところにAIが配置される社会になろうとしています。

対人サービスの介護施設ですら、AIによって異常をいち早く察知して速やかに対応できるようになりつつあります。AIは便利という言葉を超えて、その一部を人間にとって代わる可能性すらあります。つまり、介護施設において、異常があっても関心を示さない人間よりも、AIが異常を察知して、その指示に従って人が動くという未来が間近に迫っているかもしれません。

その一方、カウンセリングの現場ではAIは簡単に導入が進まないとの声があります。しかし、カウンセリングでも、膨大なケースを入力することにより、より適切で速やかな助言を提供することが可能になります。

AIに人間を超えられないものがあるとしたら、血の通った“生の感覚”でしょう。相談に来た人の発する言葉を一つひとつ確かめながら、受容・共感する対面のコミュニケーションを通じて生の感覚をつかむ――。ここに、精妙な人間関係を紐解くヒントが詰まっています。

今回は、そのような生の感覚をつかむカウンセリングの要素を紹介します。

●長時間労働が慢性化し、心を病む人が増加する社会

1998年から12年連続で自殺者が3万人を超えていましたが、2015年には2万4025人(厚生労働省)に減少しています。しかし、20歳から39歳までの死因の1位が自殺というのは気になるところです。

1991年に電通社員が過労自殺し、遺族が会社の責任を追及した「電通事件」で、2000年に会社が1億6800万円の賠償金を支払うことで結審した裁判をきっかけに、日本社会でメンタルヘルスへの取り組みが動き出しました。労働安全衛生法により、長時間労働への歯止めとして100時間の残業を超えた場合は産業医の面接が義務化されました。

ところが2016年、再び電通社員が自殺するという事案が起こってしまいました。長時間労働と、それに伴う過労死に対する企業の理解が進んでいない実態が露呈したのです。

現代は、職場でも家庭でも心を病む人が増加しています。通信や情報技術の進展とともに仕事の量も増え、同時に質も早さも求められるようになりましたが、人間の対処能力が追い付かず、結果的に心身共に疲弊してきたことによると考えられます。

そのようななか、国は「働き方改革」を掲げています。企業も、単なるパフォーマンスではなく、実際に労働者が働きやすい職場づくりや休暇を取りやすい仕組みをつくる必要あります。

労働者の側も、職場での人間関係、家庭内の家族関係改善に取り組み、心にゆとりを持つ必要があります。「働く」とは何か、「生きる」とは何か――、そうしたことを普段から考えられるくらいのゆとりを持ちたいものです。

●働き盛りの40代の自殺が最多

さて、15年の自殺状況を見ると、2万4025人で前年に比べて1402人(5.5%)減少しました。性別では男性が1万6681人で全体の69%を占めています。年齢別に見ると、40代が4069人で全体の16.9%を占め、次いで50代3979人(16.6%)となっています。自殺はどの世代でも丁寧なケアが必要となる問題ですが、特に社会を支える働き盛り世代の自殺は深刻です。

また、職業別状況では、「無職者」が1万4322人で全体の59.6%を占めています。次いで「被雇用者・勤め人」(6782人、28.2%)、「自営業者・家族従業者」(1697人、7.1%)、「学生・生徒等」(835人、3.5%)となっています。この順位は前年と変わりません。原因別では、原因が特定された1万7981人で分析すると「健康問題」(1万2145人)、「経済・生活」(4082人)、「家庭問題」(3641人)、「勤務問題」(2159人)の、いわゆる“4K”が上がっています。

しかし、自殺者の4分の1については、その動機・原因が特定できないとしています。また、遺書などがあっても、複数の動機・原因が考えられる場合もあり、単純ではありません。

統計上、自殺者は減っていますが、警察が扱った死因不明の「異状死体」の件数が急激に伸びています。 08年には「異状死体」が16万1838体となっています。国際的には、「異状死体」の半分は自殺者とみなされています。ということは、自殺者の実数は10万人を超えている可能性があるのです。

自殺者を減らすためには、次のような対策が必要です。

(1)個々人のストレス対処能力の向上
(2)職場・家庭における関係づくりの見直しと改善
(3)企業における働きやすい職場づくり
(4)国や自治体等による就労支援のさらなら推進

企業や国レベルの対策が早く進展することを期待しつつ、まずは個人でストレス耐性を高め、身近な人間関係を改善することから始めていきましょう。

人間関係を改善するには、カウンセリングマインドが役に立ちます。カウンセリングマインドとは、カウンセリングで用いられる考え方や姿勢を生かして周囲の人との関係を構築することです。

カウンセリングマインドの特徴は、「関心」「配慮」「理解」にあります。自殺する人は特別な人ではなく、あなたの身近にいる、一見“元気な人”の可能性もあるのです。どうか、「関心」を持って身近な人が発信しているサインに気づいてください。普段と違うサインに敏感になってください。

たとえば、表情が冴えない、挨拶しても返答がない、あるいは声が小さい、一人でいることが増えたなど。反対に、普段おとなしい人がやけにおしゃべりが増えたりするのも危険な兆候です。こうした普段と違うサインを気づくことが何よりも大事です。

そして、「配慮」は、声掛けする、話しかける、ということです。上司の何気ない声掛けで救われたという話はカウンセリングの現場でも良く聴く話です。これは専門のカウンセラーでなくても、誰でもできることです。「関心→気づき→声かけ」という流れを、ぜひ試してみてください。

「理解」については、次の機会に解説したいと思っています。

人が人を相互に生かし合う社会づくりのために、まずは「関心」を持って自分と他人に向き合うことから始めてください。あなたの小さな行動が、ひとりの大切な命を救うことがあるのです。
(文=佐藤茂則/心理カウンセラー)

プロフィール
佐藤 茂則(さとう しげのり)
心理カウンセラー
有限会社ミック研究所 代表取締役社長
NPOメンタルサポートアカデミー 理事長
一般社団法人事業者厚生メンタルヘルス協会 代表理事
企業、自治体、医療施設、介護施設の人財教育とEAP(働く人のメンタルヘルス支援)支援。心問題をベースにした講演、セミナーは企業、医療施設、自治体まで多方面から好評を得る。講演を聴くだけで癒されると評判。NPOメンタルサポートアカデミーでは「聴くことは誰にでもできる身近な社会貢献」をスローガンに埼玉、東京でカウンセラーの養成講座を行う。著書多数。

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