『みなさん』『めちゃイケ』最終回...我々の知る、とんねるずと岡村隆史がいた

『みなさん』『めちゃイケ』最終回...我々の知る、とんねるずと岡村隆史がいた

  • マイナビニュース
  • 更新日:2018/04/02
No image

3月22日に『とんねるずのみなさんのおかげでした』、31日に『めちゃ×2イケてるッ!』というフジテレビの2つの長寿バラエティ番組が相次いで幕を閉じた。

それぞれ放送30年、22年の長寿番組であるとともに、「お笑い純度の高いバラエティが同時期に終了した」ことに寂しさを感じる人は多いのではないか。ただ、両番組の最終回に向けた足取りと放送内容は対照的だった。

○最終回は視聴者とスタッフへの「お礼参り」

とんねるず(上段)とナインティナイン

『みなさん』は、昨年12月から「博士と助手~細かすぎて伝わらないモノマネ選手権~」「モジモジくん」「とんねるずは突然に…」「ムダ・ベストテン」「男気ジャンケン」「全編コントスペシャル」「全落ファイナルオープン」「さいごのうたばん」と毎週のレギュラー放送で、各企画を丁寧に終わらせていった。

一方、『めちゃイケ』は、今年に入ってからもほぼ隔週の放送に留まるなど、ファンには寂しいカウントダウンが続いていたが、最終回は5時間超の特番。「シャンプー刑事」「めちゃ日本女子プロレス」「七人のしりとり侍」「突然熱湯コマーシャル」などの過激企画を復活させ、ビートたけし、明石家さんま、中居正広ら豪華ゲストを招いて派手にブチ上げた。

スタート当初を思い起こすと、とんねるずもナインティナインらめちゃイケメンバーも、人気こそあったものの、まだ20代であり若手芸人の段階。それだけに両番組は未知数な要素があり、「思い切った笑いで面白くしますんで、絶対に見てください!」「自分たちの看板番組として成功しますように……」と、視聴者やスタッフに願いをかけるようなムードがあった。

だから最終回の内容は、長年見てくれた視聴者と長年サポートしてくれたスタッフへのお礼参りのような印象を受けた。「いつも通り」でサラッと終わらせたとんねるず、「最後まで全力投球」で駆け抜けためちゃイケメンバー。振る舞いこそ異なるものの、その表情や一挙手一投足から感謝の気持ちがにじみ出ていた。

実際、『みなさん』は、「30年間支えてくれたすべての仲間とテレビの前で同じ時代を過ごしてくれたあなたに感謝を込めて…みなさんのおかげで"した"」のテロップで終了。『めちゃイケ』の番組サイトには、「22年間の応援ありがとうございました。めちゃイケは終わりますが、面白いテレビは永久に不滅です。いつの日かこの場所で逢える日まで…」と大きな文字でメッセージが書かれている。

しかし、そこは「さすが、とんねるず!」であり、「やっぱりめちゃイケメンバー!」。お礼参りだけでは終わらなかった。

○怒りを見せた石橋、繊細な顔を見せた岡村

とんねるずは、最後に自らのヒット曲『情けねえ』を歌い上げた。石橋貴明は怒りをにじませながら、木梨憲武は不敵な笑みを浮かべながら、「バラエティ(この国)を滅ぼすなよ」「フジテレビ(この国)をおちょくるなよ」と替え歌に思いを込めたのだ。大半の人々に感謝している一方で、「一部のクレーマーや愉快犯には毅然としたメッセージを放つ」という姿勢は、確かに我々の知る、とんねるずだった。

めちゃイケメンバーは、十八番のドキュメンタリー的な演出に合わせて、素直な思いを吐露。なかでも岡村隆史は、「しんどかったり、苦しかったり、痛かったり、悲しかったり、悔しかったり……他の番組と違ってキュッと心が苦しくなるような気持ちでレインボーブリッジを22年間渡ってきました」「こんなこと言うのは恥ずかしいのですが、めちゃイケは僕の青春でした。本当にありがとうございました」と繊細な顔をのぞかせ、号泣した。その姿もまた我々の知る、岡村隆史だった。

両番組の主役たちが見せた怒りと涙。その率直かつ"らしい"姿は否応なしにカッコよく、彼らの魅力こそが長寿番組となりえた最大の理由ではないか、と思わされた。彼らのような冠番組を持てるMCはテレビ業界の宝だけに、笑いの表現が狭められ、窮屈な番組作りを余儀なくされる中、今後どう起用していくのか注目していきたい。

両番組の終了によって、お笑い純度の高い地上波のバラエティは壊滅的な状況にある。「今後は地上波より自由度の高いネットテレビや動画配信サービスの専売特許になるだろう」という見方がされているが、本当にそれでいいのだろうか。両番組の終了で、いよいよその未来が近づいてしまったという感がぬぐえずにいる。

○視聴者の声が純度の高い笑いを守る

最後に、両番組を長年放送し続けたフジテレビについて、ふれておきたい。

近年は低視聴率や打ち切り説ばかり報じられる中、それでも「放送枠を変えず、他番組よりも思い切った企画を採用していた」という事実は、もっと称えられてしかるべきではないか。

いまだ視聴率という限定的な指標が絶対のテレビ業界では、失策とされてしまうのかもしれない。しかし、番組を見た視聴者たちは、「今さら」と言わず、「両番組とフジテレビにエールを送ってほしい」と思ってしまう。そうした1人1人の声が、お笑い純度の高いバラエティを守っていくことにつながるからだ。

『みなさん』『めちゃイケ』の後番組を見る限りフジテレビは、視聴率トップを走る日本テレビのような「旅、地域、生活情報、話題の人物」らの手堅いジャンルに切り換えようとしている。しかし、番組スタート前の現段階では、その方針転換に好意的な声をあげる視聴者はほとんどいない。だからこそ新番組は、「手堅いジャンルでも、フジテレビらしい純度の高いお笑いを盛り込んでほしい」と願っている。

とんねるずも、めちゃイケメンバーも、フジテレビへの感謝と愛があるからこそ、そう思っているのではないか。

■木村隆志

コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者、タレントインタビュアー。雑誌やウェブに月20~25本のコラムを提供するほか、『新・週刊フジテレビ批評』『TBSレビュー』などに出演。取材歴2,000人超のタレント専門インタビュアーでもある。1日のテレビ視聴は20時間(同時視聴含む)を超え、ドラマも毎クール全作品を視聴。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』など。

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

プロフィールを見る

テレビカテゴリの人気記事

グノシーで話題の記事を読もう!
【試写室】「黒井戸殺し」野村萬斎を“生かす”大泉洋の芸達者ぶり
江口ともみが溺愛するぬいぐるみ“もぐたろう”と再会し、ネットが感動の渦に!
上戸彩、「絶対零度」月9で復活も過去に視聴者ブチギレさせた問題場面とは?
「やりたくない!」米倉涼子が「ドクターX」続編を断ったワケ
『花のち晴れ』松本潤の「老けぶり」が衝撃的...井上真央との共演思い出されザワつく
  • このエントリーをはてなブックマークに追加